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【千葉旅行記】パートナーが23歳の誕生日を祝ってくれた。

ーー机の上に置いてあったメニュー表を目にした瞬間、僕はパートナーがこの店を選んだ理由が分かりました。確かに、運命を感じるものでした。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「パートナーが23歳の誕生日を祝ってくれた。」というテーマで話していこうと思います。

もうすぐ僕の誕生日なんですが、月末は仕事もあるしイベントもあるしで忙しいので、1週間前倒しでおでかけをしようと、僕のパートナーが誘ってくれました。

どこへ行くのか、何をするのか、全く知らされないまま、僕は当日を迎えました。僕に内緒のまま企てられたプランは、僕だけのためにつくられたとっておきの物語のようで、本当に満足度が高かったんです。

ということで、昨日の余韻に浸りながら、ゆっくりと思い出のアルバムをめくりにいこうと思います。


①旅のしおり

唯一事前に知らされていたことといえば、県外に行くってことでした。僕らは今、茨城県に住んでいるので、他の46都道府県のどこかだろうと。また、車で日帰りでいくことを踏まえると、茨城のまわりの県なんだろうなと推察していました。

さて、この日の始まりを彩ったのは、「黎への物語」と記された旅のしおりでした。案内書といった方が分かりやすいかもしれません。なかには、パートナーからのメッセージが記されていて、ひとつの場所を巡る度に、ページをめくっていくという流れ。

ちなみに、この冊子はパートナーの手作り。ハンドメイドに強いことも、こういう冊子をつくっていたことも知っていたけれど、まさかここで伏線が回収されるとは……。

期待の膨らむ、一日の始まりでした。


②GREEN TIMES 海浜幕張店

高速道路を超えて、車で走ること2時間半。辿り着いたのは、千葉県の幕張。アパホテルの1階にある「GREEN TIMES」というレストランでした。どうしてホテルのレストランに連れてきてくれたんだろうと不思議がっていましたが、メニューを見て、その理由は一目瞭然。

「GRREN TIMES」は、オムライスのお店だったのです。

僕がオムライスが好きであることを受け、ランチの店として選んでくれたのです。僕が頼んだのは牛ハラミの添えられたオムライスで、これがまあ、美味いんだ。ドレス型のオムライスで、柔らかくて、甘くて、デミグラスソースと牛ハラミの肉汁が混ざり合って、口のなかで協奏曲を奏で始めて……ひこまろみたいになる前にこのへんで止めておきます(笑)

さらに、ガロニの野菜も絶品で、個人的にはピーマンがいちばん好きでした。どうやら地元千葉の野菜を使っているそう。こだわりぬかれた野菜は、本当に美味しいものです。

食後、膨れたおなかを撫でながらゆっくりしていると、僕のもとへ店員が……。

バースデープレートでした。

まさか昼からこんなに大々的に祝ってくれるとは思っていなかったので、本当にびっくりしました。サプライズって、やっぱり嬉しいものですね。


③本屋lighthouse

「GRREN TIMES」を後にして、パートナーが車で向かった先は「light house」という独立系書店でした。

暗闇に迷うひとには足下を照らす光を
夢を抱くひとには果てなき道を照らすしるべとなる光を
過去、そして未来へと あまねく光を

引用:本屋lighthouseについて – 本屋lighthouse (books-lighthouse.com)

こんなテーマのもと、運営されている本屋さんで、店名には読む人、あるいは書く人にとって、灯台のような存在で在りたいという思いが込められているそうです。

こじんまりとした本屋さんでしたが、そこに並べられている本はまさに光を感じるものばかりで、時間がないなかで本の世界を存分に味わいました。


ちなみに、こちらの棚の本は
茨城の知り合いの書かれたもの。
まさかこんなところで出逢うとは……。


④カウントレスリバー

その後に向かったのは、カウントレスリバーという革小物とシルバーの制作体験ができるお店。ここで僕たちはキーケースをつくりました。

そう、つまり、パートナーが僕にプレゼントしてくれたのは、キーケース、そして、それを自分たちでつくるという体験でした。

4月にパートナーの誕生日を祝った日がありました。そのとき僕は、笠間市の製陶ふくだというお店で、お皿やマグカップをつくる体験をプレゼントしたんです。

新生活を始める際に食器類をいくつか捨てたと聞いていたので、実用的な食器をプレゼントしようと思うのに時間はかかりませんでした。しかし、ただ良い食器を買って渡すのも面白くありません。別に僕じゃなくてもいい、誰でもできることです。

唯一性を追求するために、僕はプレゼントをつくることにしたんです。つくるまでの時間は思い出になるし、そこにも価値が生まれるからギフトになり得る。そう考えたのです。

きっとそこに満足してくれたからこそ、今回、パートナーは僕に体験をプレゼントしてくれたんだと思います。ゲストハウスのマネージャーという仕事柄、鍵をたくさん保管しないといけなくて、キーケースがボロボロになっていたんです。

そこに目をつけたパートナーは、僕に、キーケースをつくる体験をプレゼントしようと思い至ったというわけです。

キーケースをつくるのは初めてでしたが、先生が丁寧に分かりやすく教えてくださったこともあり、楽しく飽きずにつくることができました。

大切に、使います。


⑤お箸で食べる和フレンチそられ

キーケースづくりを終え、ディナーの時間に。パートナーが連れてきてくれたのは、「お箸で食べる和フレンチそられ」というお店でした。箸で食べるフレンチ。そのコンセプトに興味を持ったんですが、それだけじゃなく、パートナーは運命を感じた何かがあったのです。

一体なんだろうと不思議がりながら店内に入り、席に着きました。机の上に置いてあったメニュー表を目にした瞬間、僕はパートナーがこの店を選んだ理由が分かりました。確かに、運命を感じるものでした。

コースの名前が、「黎明」だったのです。

僕の名前は「黎」。夜明けを意味する「黎明」から父親が取ってつけた名前でした。そういった背景から、僕は夜明けという現象が好きだし、誰かの人生に夜明けを与えることを自分の生きる意味に掲げています。

まさか、自分の誕生日の夜に、「黎明」という和フレンチのコース料理を食べるとは夢想だにしていませんでした。

和フレンチの料理を、僕は昨日初めて食べたんですが、どの品も本当に美味しかったです。和食らしい上品さと強かさが、ひとつひとつの料理から感じられました。

目を丸くしながら味わう僕ら。こういう贅沢な時間を過ごせるようになるくらいに僕らは大人になったんだなと感慨深いものがあったし、その気づきを、パートナーと一緒に経験することができてよかったなと思いました。

これからもそんな「初めまして」を、たくさん更新していければなと夢を見ました。


⑥深夜高速

21:00を過ぎて、僕らは茨城へ飛び帰ります。パートナーの運転する車の助手席で、僕は初めての経験をしました。

高速道路を走る車の車窓から、都会の夜を眺めること。

幾重にも重なる高速道路の機能美、地平線まで埋め尽くす光の粒、時速100キロで駆け抜ける轟音。僕と君。昨日の夜を形づくるもののすべてを、僕は愛しく思いました。

フラワーカンパニーの『深夜高速』をBGMに、「生きてきてよかった」と、心のなかで何度も呟きました。


⑦絵本のプレゼント

家に着いたのは日付を回る手前頃。長距離の運転を労い、感謝を伝えました。

少しの間ゆったりしていたんですが、やがてパートナーは「目を瞑って」と一言。どうやらサプライズはまだあるみたい。

目を瞑った僕の手に乗せられたのは、『よあけ』という絵本でした。最後の最後も、僕の名前に収束する展開が待ってました。

他にも、僕の好きなにしのあきひろさんの絵本を2冊くれました。え、かなりの値段するじゃん......と心配していると、絵本を買ったのはブックオフらしいです。逆に安心しました(笑)

さて、そんな「黎への物語」も最終章。最後のページに綴られたメッセージを読み、この日を閉じました。

日付が変わり、6月23日。

僕とパートナーがふたりの関係に名前をつけてから11ヶ月の経った日でした。

「来月、1年だってよ」

「早いね」

なんて未来の話をさりげなくできていることに、僕はしあわせを覚えました。こんな日々が、ずっと続けばいいな。

体験のギフトをくれたり、名前に引っ掛けたコース料理を用意してくれたり、やっぱり感性が似ているんだと思います。そんなかけがえのないパートナーと、これからもふたりだけの物語を綴っていきます。そして、そこに栞を挿むように写真を撮り、noteの記事を紡いでいきます。最後まで読んでくださりありがとうございました。

20240623  横山黎



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