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未来の図書館

――ゴーライブラリーの調査の結果、「図書館が高齢者たちの居場所になっている」というデータが取れたわけですが、これはとっても大事なデータだと思っていて、図書館が「本を読む場所」ではなく「居場所」として機能していることを伝えています。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしてます。

今回は「未来の図書館」というテーマで話していこうと思います。


📚中学生が図書館アプリを!?

昨日の昼間、第5回プレゼンテーション大会「IBARAKIドリーム・パスAWARD」の様子をオンラインで視聴していました。「IBARAKIドリーム・パス」とは、アントレプレナーシップを持った人材の育成を目的として、それぞれの夢の実現や地域課題の解決に向けて企画を立て、実践していく高校生たちを、サポートするプロジェクトです。

どうして僕がこのプロジェクトを観覧することになったかというと、少し前に僕のことをインタビューしてくれた中学生たちが出場しているからでした。

僕は去年、全国大学ビブリオバトルに挑戦していました。自分のお気に入りの本を5分間で紹介するプレゼンバトルのことなんですが、無事に勝ち進めていって、全国大会に進出することができたんです。最終的な結果は準決勝敗退だったんですが、僕の挑戦は少なからず周りの心を動かすことができたんです。

全国大会が終わって数日後、僕のもとに、水戸第一高等学校附属中学校の先生から連絡が来まして、本学の生徒が僕にインタビューしたいといっている旨を聞かされました。その彼らこそ、「IBARAKIドリーム・パス」に参加していた精鋭たちでして、「成長する図書館」と題して、図書館の活性化を図る企画を遂行していたんです。

その企画の一環として、僕に注目してくれたみたいで、新年明けてからインタビューの機会が設けられました。そのときに知ったんですが、彼らは図書館のアプリを開発することを目指していたんです。使いやすい便利なアプリを開発することで、図書館の利用者を増やしていこうというわけです。

中学生なので面白いことしているなあと僕は圧巻されました。そういえば、大会の仕組みはよく分かりませんが、中学生も出場できるみたいですね。周りは高校生ばかりでしたが。

さて、今回は昨日の彼らの勇姿を振り返ると共に、「未来の図書館」に思いを馳せてみようと思います。


📚図書館を考える

彼らは「ゴーライブラリー」という団体名で、「誰一人取り残さない図書館」をモットーに新規利用者の獲得や、利便性の向上を目指した図書館アプリの開発を目指しています。プレゼン大会本番では、掲げるコンセプトの補足説明や活動実績、これからの展望について語っていきました。

思わず声を出して驚いてしまったのが、プレゼンの途中で僕が登場したことです。というのも、以前インタビューしていただいたとき、同時に撮影も行っていまして、それを編集した動画をつくってくれたんですね。ビブリオバトルに挑戦していた大学生の紹介という文脈で、その動画のはじめの部分が使われたんです。あの会場でどれくらいの人が僕のことを覚えておいてくれるか分からないけれど、少なからず認知を広めることができたので、ゴーライブラリーのみんなには感謝です。


さて、ここからは僕も真面目に彼らのプレゼンを振り返りながら、図書館について考えていこうと思います。

中学生で図書館の活性化を目指したり、そのためにアプリを開発しようとしていたりする姿勢が本当にステキなものであることは前提なので、ゴーライブラリーの掲げるコンセプトや取り組む事業には少なからず価値はあると思うんですが、筋が通っていないと感じてしまう部分がありました

「誰一人取り残さない図書館」という言葉には、ランガナタンの図書館学の五原則の第二法則「Every reader his or her book(いずれの読者にもすべて、その人の図書を。)」やSDGsの「全ての人に教育を」の要素が含まれているといえます。これは本人たちも言っていました。

しかし、蓋を開けてみると、彼らのターゲット層は若者で、実際に取り組んだ内容も、若者の新規利用者を増やすためにSNSを動かしてみたというものでした。中学生がその場しのぎで運用を始めたSNSですから、すごく注目された結果も出ていません。

また、自分たちの調査の結果、「図書館が高齢者の居場所になっている」と判断したにもかかわらず、それを横に置いておいて、あるいは好ましくないようなことに捉えて、若者の新規利用者の獲得に力を入れたことにも筋が通っていないなあと感じてしまいました。

審査員の方々もあんまり良い反応をしているとは見受けられなくて、「この企画の戦略は何なのか?」という質問が飛んできたり、「もっと楽しいを追求した方がいいと思う」という提言があったりしました。

ゴーライブラリーの企画は今回のプレゼン大会で賞を獲れなかったんですが、それはつまり大人たちからしたらまだまだ詰めが甘く、その方向に可能性を感じなかったということです。それを認識できただけでも、今回は貴重な経験だったのではないでしょうか。

社会経験のない大学生が偉そうに中学生にプレゼンにあれこれ言ってきましたが、僕が中学生のときなんて社会貢献なんて考えたこともなくて、一人よがりに面白いことや楽しいことに飛びつくだけの子どもでしたから、中学生の時点でアントレプレナーシップを持っていることに頭が上がりません。それに、彼らのおかげで図書館事業についても興味を持つことができたし、こうしてnoteの記事で考えを整理することができているので感謝するばかりです。

最後に、お詫びがてら、僕がぼんやり考えたことをつらつらと語っていきますね。未来の図書館とはいかなるものか、妄想を綴っていきます。今後の何かの参考になったら幸いです。

僕が興味を持っているからこそ際立っているのかもしれませんが、昨今のテーマは「仲間」「体験」です。このふたつのどちらか、あるいはそのどちらをも追求したような図書館こそ、今後求められているのではないかと考えます。


📚「仲間」が集まる図書館

今僕のいちばん身近な図書館は、シェアハウスのなかにあります。去年からお世話になっている「はちとご」というシェアハウスがあるんですが、そこは「まちライブラリー」に登録しているので私設図書館としても機能していているんですね。

ってなわけで、シェアハウスでありながら、いろんな人がやってくるんです。近所の子どもも、僕みたいな大学生も、クリエイターも、おじいちゃんおばあちゃんも。全員が全員本を読みにきているわけではないとは思いますが、みんな図書館を利用しているんです。

ゴーライブラリーの調査の結果、「図書館が高齢者たちの居場所になっている」というデータが取れたわけですが、これはとっても大事なデータだと思っていて、図書館が「本を読む場所」ではなく「居場所」として機能していることを伝えています。つまり、本がたくさんあろうが、面白い本があろうが、「居場所」と感じるくらいに居心地がよくないと、現代の図書館としては間違いであるわけで、逆をいえば、本が少なくても、面白い本がなくても、「居場所」を感じられるなら正解といえるわけです。

その正解のひとつが、僕は「はちとご」だと考えます。図書館に比べたら蔵書数も少ないし、マス向けの本が揃えられているわけではありませんが、はちとごの利用者は「居心地の良さ」を求めて来館する人が多い印象です。

そこに行けば誰かがいる。

そこに集まった人と交流ができる。

仲間をつくれて、孤独を消せる。

そんな場所だからこそ、多世代にわたっていろんな人の「居場所」になり得ているのではないでしょうか。


📚「体験」できる図書館

僕の22歳のテーマが「Biblio(本)」ということもあり、機会があれば、図書館に限らず、本屋さんやブックカフェを巡るようにしているんですが、今日の「本のある場所」は「体験」を提供してくれることが多いという結論を得ることができました。

ブックカフェなんてまさにそうですよね。おしゃれな店内でおしゃれな飲み物を片手に読書するという体験を提供してくれるわけですから。また、読書離れが進んでいる今、以前よりも読書に価値が生まれているので、「読書する場所」にも需要があるんですよね。下北沢にある「fuzkue」という店は「本の読める店」というコンセプトで、快適な読書する空間を提供してくれます。音楽、照明、室温……あらゆる空間的要素に配慮したブックカフェなんです。


渋谷にある「森の図書室」にも行ってきました。三方の壁が本棚になっていて、その本を自由に手に取り読書することができます。飲食もできるんですが、この店のメニューにはこだわりが見られます。実際の物語に登場するメニューが並んでいるんです。分かりやすい例でいうと、「天空の城ラピュタ」の「ラピュタトースト」みたいな感じ。店名の通り、森のなかにある秘密基地のようなインテリアなので、空間的価値がめちゃくちゃ高いんですよね。


僕も「場所」に興味を持つようになったので、将来的には、本のある場所をつくりたいなあと考えています。それが本屋さんなのか図書館なのか、はたまた別の何かなのかは分かりませんが、本のある場所をつくりたいんです。そのときの時代性、社会性にも因ると思いますが、多分、ここ10年、20年くらいは、「仲間」や「体験」を重視するコンテンツの価値が高いと思うので、図書館においても、それらを追求することが必要なんじゃないかなと思いました。

本にまつわる話題は熱が入ってしまいますね。気が付けば4000字を越していました(笑) 

あなたはどのような「未来の図書館」を思い描きますか? 是非、コメント欄で教えていただければと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240125 横山黎



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