石神マリエ@ご自愛エッセイ

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石神マリエ@ご自愛エッセイ

根暗で有名です。火曜、金曜に更新しています。    あなたの心を突き刺し、抱きしめる言葉たち。     https://www.instagram.com/gamiyoga.0

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さようなら、お花のお家

私、生まれてから今まで10回ほど引っ越したことがある。本当に幼かった頃の記憶にある「初めての家」は、3才から6才くらいまでの幼少期に住んだ、田舎でも都会でも無い街の…

雲が進む

それはもう本当にゆっくりと、雲が進む。 のろまな雲と私の間には静かな風が通ったり、緑がさわさわと音を立てて揺らいだり、部屋のカーテンには木漏れ日が写り不規則に靡…

褒めてもらうこと

当たり前の仕事や 当たり前の家事や 当たり前の育児の中には どのくらいの細々とした苦労が詰まっていたのだろうね。それはたとえば、土砂降りの中のゴミ捨てとか、50分立…

優しさの味を知る

昨日、熱を出した。(私が) 朝からなんだか身体が動かず横になると、みるみるうちに体温が上がり、こりゃ参ったぞ。と慌てて午後の仕事をお休みした。身体は震え上がると…

ぼぅっとしてちゃ、ダメなんだ。

たとえば、大地震の予兆を感じて犬や、猫や、鳥なんかがその日、その時だけ普段と違う素振りを見せていた。なんてことはよく聞くよね。それは「本能」のような「勘が鋭い」…

生死

君は毎朝、毎晩、死んでいいんだ 谷川俊太郎の「詩の本」を読んでいて 革新的な一行に出会った。 この一行をどう頂くか。 私の中で浮き上がった答えは一つ、 「死」とは「…

小さな事件

今日は、母の誕生日だった。 私のお母さんはめちゃくちゃファンシーである。というのも普段はお花の先生でありつつ、趣味ではベリーダンスを儚く踊り、なおかつラジオのパ…

みーちゃん

些細な痛みでも 参ってしまう日があるように。 人間の体は嫌なほど正直にできている。 心は元気なふりをして嘘ばかりついてヘラヘラしていても。やっぱり痛いことや、怖…

おかあさん

「おかあさん」というのはとてもじゃないけど不自由だ。それは「おかあさん」という名の強力な価値観が社会にあって。「おかあさん」という存在を知らない人なんていないか…

正解の少し先へ

ゴミを捨てた、捨てない 電気を消した、消さない 言った言わない、違う違わない そういうちっぽけなことで傷つけあったり、大切な者を失ったりするのが人間だ。 まぁるい…

気が狂ったまま

本当は心の中で「つまんない」と思っていることがあるかもしれない。たくさん自分に嘘をついて、アホなフリして振り絞る笑顔で頷いて、心の大安売り。そんなのもう 「つま…

応援歌

心を痛めてばかりのあなたへ。 きっと これからもおんなじ毎日じゃ 「なくならない痛み」があると思う。 たとえばある位置を突破してみたり、破壊したり創造したり、とに…

いらないもの、いるもの

たまには心の模様替えも必要だし 頭の中の大掃除も必要。 そういうわけで、私は時より整理している。余計なものを退かしたり、溜まった埃を拭ったりして。すると本当に必…

歳をとる

お母さんが昔話なんてするもんだから、ある人の夢を見た。 わたしの夢の舞台はいつも白黒で、それでいて生々しくて、なんとなく今の私と同じ立場のまま繰り広げられる。ほ…

モットー

「明日、死ぬかもしれないのだから。」 という これが近頃の私のモットーでして。 それはたとえば、カフェでご飯を選ぶ時なんかにご飯はなるべく旨そうな方を選びます。 …

レイとわたし

私には5歳の息子がいる。 名前はレイ。 数日前、レイとふたりで保育園に向かう朝のこと。いつもの田舎道を通り、朝から暑いくらいで窓を開けたりして、BGMはなしだった。…

さようなら、お花のお家

さようなら、お花のお家

私、生まれてから今まで10回ほど引っ越したことがある。本当に幼かった頃の記憶にある「初めての家」は、3才から6才くらいまでの幼少期に住んだ、田舎でも都会でも無い街の住宅街。小さな平屋の賃貸だった。私はそこで父と母と、五個上の兄と4人で暮らしていた。そこは賃貸にしては立派な庭が付いていて、いつも庭中綺麗に花が咲いていたのをよく覚えている。というのも、父はとにかくマメで、庭いじりが趣味だった。春になる

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雲が進む

雲が進む

それはもう本当にゆっくりと、雲が進む。
のろまな雲と私の間には静かな風が通ったり、緑がさわさわと音を立てて揺らいだり、部屋のカーテンには木漏れ日が写り不規則に靡いていたりする。その様子を眺めている私はいつもよりもロクデナシっぽい感じ。脳みそが物事を感じる速度は緩やかになって、心にはモラルがなくなって、何もかもどうでもいい感じ。そうしているうちにただぼぅっと窓の外を眺めていたあの頃を思い出す。
そう

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褒めてもらうこと

褒めてもらうこと

当たり前の仕事や
当たり前の家事や
当たり前の育児の中には
どのくらいの細々とした苦労が詰まっていたのだろうね。それはたとえば、土砂降りの中のゴミ捨てとか、50分立ちっぱなしの満員電車とか、なかなか帰れない終業後の先輩のトークとか。はたまた泣きながら抱っこをせがむ幼い息子と、スーパーの床で泣き出す幼い娘を連れての買い物とか、全てに反抗してくる娘の反抗期とか。

泣きたくなっちゃうような、そんな細々

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優しさの味を知る

優しさの味を知る

昨日、熱を出した。(私が)
朝からなんだか身体が動かず横になると、みるみるうちに体温が上がり、こりゃ参ったぞ。と慌てて午後の仕事をお休みした。身体は震え上がるとともに、身体の中にはごぉーっと音を立て毒が移動していくのが分かった。節々がミシミシとひび割れていくようで、首や肘や、指はあまりの痛みに声が漏れた。必死でポカリを三本飲み切っても汗が出ず、毛布に包まるも足先はキンキンに冷たくて。身体は何時間も

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ぼぅっとしてちゃ、ダメなんだ。

ぼぅっとしてちゃ、ダメなんだ。

たとえば、大地震の予兆を感じて犬や、猫や、鳥なんかがその日、その時だけ普段と違う素振りを見せていた。なんてことはよく聞くよね。それは「本能」のような「勘が鋭い」などのイメージがあると思うのだけど。私はそれが、少し違うと思うんだ。

動物たちの勘が鋭いのではなく、人間側がただただ衰えてしまっただけではないか?

というのもあの、
「虫の知らせ」や「第六感」などという言葉は、まだこの社会にも残っている

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生死

生死

君は毎朝、毎晩、死んでいいんだ

谷川俊太郎の「詩の本」を読んでいて
革新的な一行に出会った。
この一行をどう頂くか。
私の中で浮き上がった答えは一つ、
「死」とは「味方」のようだなと。

あなたはこの一行に何をもらう?

私にとってこの世界は、とても不確かだという感覚がいつもついて回っていた。それは、「昨日まで信じていたことが一変する。」なんてことがいくらでもあるからだ。「僕は、ポリシーを持たな

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小さな事件

小さな事件

今日は、母の誕生日だった。
私のお母さんはめちゃくちゃファンシーである。というのも普段はお花の先生でありつつ、趣味ではベリーダンスを儚く踊り、なおかつラジオのパーソナリティもこなすミラクルお調子者。そうかと思えば実は裏側で介護のようなことをしている。癌や精神病である身内の看病をせっせとこなしながら生きているのだ。さわやかな風が吹く中にも、どこかドシッとした幹があるような、へこたれないお母さん。

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みーちゃん

みーちゃん

些細な痛みでも
参ってしまう日があるように。

人間の体は嫌なほど正直にできている。

心は元気なふりをして嘘ばかりついてヘラヘラしていても。やっぱり痛いことや、怖いことや、楽しくないことばかりの毎日を歩いていたら、病気になるようにできているんだ。それをわたしは、神様の優しさだと思う。

神様は言った。「この世界には辛いことが沢山あるから。」って。人間が我慢しすぎないように、前を向いて生きていける

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おかあさん

おかあさん

「おかあさん」というのはとてもじゃないけど不自由だ。それは「おかあさん」という名の強力な価値観が社会にあって。「おかあさん」という存在を知らない人なんていないからなのかも。

「おかあさん」は一つのモラルや、ルールに近いのかもしれないね。たとえば「お母さんが料理を作る」とかってガチガチのルールがあるみたいで。そこからはみ出した人は少し「出来損ないのおかあさん」みたいになる。モラルな世界。それはやっ

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正解の少し先へ

正解の少し先へ

ゴミを捨てた、捨てない
電気を消した、消さない
言った言わない、違う違わない

そういうちっぽけなことで傷つけあったり、大切な者を失ったりするのが人間だ。
まぁるいものをすぐに、二つに割りたがる。

それは私たちは常に自分が一番で、相手が二番にあるからだろう。そしてそれをみんなの心や身体はよく知っているのに、自分だけが知らないふりをして偽善ぶっているんだろう。
都合のいいもんだ。

いつだって、自

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気が狂ったまま

気が狂ったまま

本当は心の中で「つまんない」と思っていることがあるかもしれない。たくさん自分に嘘をついて、アホなフリして振り絞る笑顔で頷いて、心の大安売り。そんなのもう

「つまんない」

きっとその通りさ。あなたの心の通り、実はこの世界はどうでもいいことが大半なんだと思う。「大切なこと」ってこれっぽっちなんだと思う。

たとえばその「大切なこと」ってふたつ。

あなたが「元気に生きること」だし。「健康に生きるこ

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応援歌

応援歌

心を痛めてばかりのあなたへ。

きっと

これからもおんなじ毎日じゃ
「なくならない痛み」があると思う。
たとえばある位置を突破してみたり、破壊したり創造したり、とにかく景色を変えてみないと。どうにも「なくならない痛み」があると思う。薄々気がついているのかい?そのままじゃ誰といても、どこにいても、胸が軋むように窮屈なまま。おんなじ自分が胸を痛める。それを誰かのせいにしてみても、たぶんだけど景色は変

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いらないもの、いるもの

いらないもの、いるもの

たまには心の模様替えも必要だし
頭の中の大掃除も必要。

そういうわけで、私は時より整理している。余計なものを退かしたり、溜まった埃を拭ったりして。すると本当に必要なものだけが残っていくんだ。案外いらないものばかりが入っていたことにも気がつく。そうして「もっともっと良く生きること」よりも「生活」を愛したほうがいい。と、そういうことがわかる。

というのもやっぱり。この時代は目の前の大切なことがずい

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歳をとる

歳をとる

お母さんが昔話なんてするもんだから、ある人の夢を見た。

わたしの夢の舞台はいつも白黒で、それでいて生々しくて、なんとなく今の私と同じ立場のまま繰り広げられる。ほんの少しだけ気持ちは大胆になっているようで、現実のわたしの性格とはわずかに違ったりもする。心の奥の奥の方にあるちょっとした心残りみたいなものを引っ張り出してきては、ドラマにしているようなものなんだ。

そんな風に明け方見ていた夢は、昔の恋

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モットー

モットー

「明日、死ぬかもしれないのだから。」

という
これが近頃の私のモットーでして。
それはたとえば、カフェでご飯を選ぶ時なんかにご飯はなるべく旨そうな方を選びます。
それに友人と会う時には、大好きでたまらない奴と会います。「コイツちょっとムカつくところあるんだよなぁ」って奴にはそれがたとえちょっとでも、二度と声をかけることはありません。
それに息子と遊ぶ時には家事を放り出してでも遊びます。全力ダッシ

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レイとわたし

レイとわたし

私には5歳の息子がいる。
名前はレイ。

数日前、レイとふたりで保育園に向かう朝のこと。いつもの田舎道を通り、朝から暑いくらいで窓を開けたりして、BGMはなしだった。それでその日は赤信号で止まった時、息子がおもむろに言ったんだ。

「ママ見て!牛さんが乗ってるよ!」

言われるまま隣を見ると、大きなトラックの荷台に黒い牛が何頭か。口を縄で縛られ、暴れないように短い鎖のようなもので繋がれていた。おそ

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