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みーちゃん



些細な痛みでも
参ってしまう日があるように。

人間の体は嫌なほど正直にできている。

心は元気なふりをして嘘ばかりついてヘラヘラしていても。やっぱり痛いことや、怖いことや、楽しくないことばかりの毎日を歩いていたら、病気になるようにできているんだ。それをわたしは、神様の優しさだと思う。


神様は言った。「この世界には辛いことが沢山あるから。」って。人間が我慢しすぎないように、前を向いて生きていけるように、脆く作ってくれたのだと思う。そして、ちゃんと治りやすいようにも作ってあるのだと。



というのも、話は少し変わるけど。
私の叔母さんは去年、がんの転移が四カ所に見つかって。更には医師からステージ4を申告されたんだ。叔母さんは私とそっくりな顔をしていて、口元のホクロまでお揃い。実の母よりも似ているもんだから、わたしは叔母さんのことを母と同じくらい慕ってきた。「みーちゃん」って呼んでいた。大人になってから私から見えたみーちゃんはとにかく気が強くて野心家。努力は人一倍。そしていつもどこか愛に飢えているように見えた。そんなみーちゃんに連絡をもらったあの日、わたしはどこかで納得してしまった。

みーちゃんの身体はほとんど無事なところがなくて、医者は「治る」とは言わなかったと言う。いきなり近づいた終わりに、みんなが少しだけ「生死」ということを身近に感じて、オドオドしたり、喧嘩をしたり、悲しんだり、焦ったりしていた。それからと言うものの、みーちゃんはすごくヒステリックになり、いつもメンタルダウンしてしまうようだった。私は喧嘩をしたまま、連絡が返ってこなくなった。なんとか奮起して、涙を堪えているような笑い方が印象的だった。

ただ、みーちゃんはそれから
自分をとことん労わろうとしたんだ。

今まで辛かったことや、痛かったことや、しんどかったことや、実は我慢していたことや、無意識で耐えてきたこと些細なものまで全部やめて、なんとか前を向いて歩いていた。

そして昨日、みーちゃんの体から
癌が消滅したと、母から聞いたんだ。
医師は驚いた様子だったと言っていた。




話は戻るけど。
私はやっぱり、人間は治りやすくできていると思う。神様は体を大事にするように。そして、魂を大事にするように。人間を弱く作ってくれたのだと思う。涙を流すことも、「助けて」と言える言葉も、誰かに愛して欲しいと素直になることも、ひとつのお守りなんだ。

わたしは、今を苦しむ人に伝えたい。もしかしたら自分の敵はいつも、自分なのかもしれないよ。自分の味方になってあげて、自分自身が幸せになりますように。

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