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Vol.35 白丸・赤丸が誕生する前の原点の味が復活 博多「一風堂1994」

白丸・赤丸が誕生する前の「原点のラーメン」が復活


新横浜ラーメン博物館の30周年記念企画「あの銘店をもう一度」は、ラー博30年間の集大成とも言える『ラー博史上最大のプロジェクト』。3週間ごとに店舗が入れ替わる「銘店シリーズ」と創業メンバーが3ヵ月ごとに出店する「94年組シリーズ」で構成される。
その“94年組”第6弾は、博多「一風堂1994」が出店。ラー博創館時、インターネットも無かったのでそんなに情報量が多くはなかったが、多数ある「博多ラーメン」からラー博が選んだのが「一風堂」。私もまったく知らなかった存在。それもそのはず、「一風堂」がまだ一店舗しかなかったのである。

一風堂創業のお店「大名本店」(現在は移転)

今や“世界の一風堂”であり、国内131店舗、海外129店舗を構えており、『世界一有名なラーメン店』と言っても過言ではない。(店舗数は2023年9月末時点)もし、「一風堂」がラー博に出店していなかったら、それでも“世界の一風堂”になっていたのであろうか?たった一店舗しかなかった当時の「一風堂」に目を付け、引っ張ってきたラー博の“目利き”(選択眼)にはホントに感服する。

1994年ラー博開業時の一風堂外観

ラー博のオープン翌年に「一風堂」は都内初進出の恵比寿店をオープンする。私の会社から近いこともあり、よく通った。これからラーメン店を目指そうとする人達を前に講演をすることが当時、何度かあったがその際にいつも「店を出す前に、恵比寿にある「一風堂」をぜひ食べに行ってください。これからのラーメン店に必要な“接客”というのを学べると思います。」と言い続けた。そして、「一風堂」が店舗展開するたびに追いかけた。私は店を出したいと思ったことはないが、ラーメン評論家として学べる物が「一風堂」にはたくさんあった。地方の「一風堂」は地方なりに勉強になった。さらにはニューヨークの1号店・2号店にも行った。新しい「一風堂」に接するたびに刺激になった。

2008年に開業した一風堂NY1号店

ここ20〜30年のラーメン業界の進化や変貌は目をみはるものがある。その多くに「一風堂」は影響を与えているのでないか?と思えるほどに「一風堂」はラーメン業界のステージをあげてきた。女性が食べに行きたいと思える店作り、ラーメン店の接客はかくあるべし、ラーメン店の見た目(外観・内装)の改革、ラーメン店の世界展開、等など、ラーメン店にとって多くの新たな道筋を創り上げてきた。
「変わらないために変わり続ける」を掲げ、今まで何度も人気の味を刷新してきた。限定メニューへのチャレンジも頻繁に行ってきた。
そんないろんなエポックメイキングとなったラーメンを歴史と共に振り返る”一風堂クロニクル“というテーマで、期間中に様々なメニューを限定復刻販売するというのも楽しみ。

一風堂クロニクルのスケジュール

しかも、「一風堂」創業者であり、いつも先陣を切ってきた河原成美さんが全期間、自ら厨房に立つらしい。(一部日程を除く)

一風堂創業者河原成美さん

これはスゴいことだ。「一風堂」の出店期間は、2024年2月9日(金)~ 5月12日(日)までの約3カ月。この期間中は何度も新横浜に足を運びそうだ。
文/大崎裕史

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あの銘店をもう一度"94年組" 第6弾 博多「一風堂1994」
※博多「一風堂1994」の詳細はコチラ
出店期間:2024年2月9日(金)~2024年5月12日(日)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※"94年組"5弾札幌「すみれ1994」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ

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