見出し画像

【連載】Vol.16 九州ラーメン総選挙第1位に輝いた銘店 博多「元祖名島亭」

元祖名島亭の現在のラーメン

「名島亭」の創業は1987年。

名島亭本店の外観(2014年撮影)

私が地方のラーメンを積極的に食べ始めたのはインターネットが日本に登場した1995年以降。
それから、博多は何度も行っているが、「名島亭」を食べたのは意外と遅い。1990年代に活用していたラーメン本に載っていなかったのかも?と調べてみたら、ちゃんと載っていた。改めてなぜ、足を運ぶのが遅れたか?

まず、今でこそ、福岡のラーメンシーンはやれ“非豚骨”だ“醤油味”だと言われているが、当時(1990年代後半)のラーメン本はほとんどが豚骨である(笑)。豚骨ではないラーメンもたまに載っているが、それは異端児的にしか見えず、とても優先的に食べに行きたくなる感じではなかった。
では「名島亭」は異端児だったのか?そうではない。今、改めてそのラーメン本を読んでみるが、同じような豚骨ラーメンが並んでおり、その差別化がほとんどなされていない。

2014年当時の名島亭のラーメン

ラーメンライターの器量もあるのだろうし、福岡の人が豚骨ラーメンを店によってその違いを書き分けられる時代ではなかったのだと思う。当時の私もできなかっただろう。それと店名の由来にもなっている東区名島は市内繁華街からちょっと離れたところにあった。なので優先順位が回ってくるのに時間がかかったのだ。

そんな私を行く気にさせてくれたのは2008年に放送された「九州ラーメン総選挙」。この番組で1位になったのだ。その頃、すでに福岡県だけで100軒以上は食べていたはずなのに、1位の店を食べていない自分が情けなかった。


そんな気持ちですぐに食べに行った。すると実においしかった。1位は伊達じゃないな、と思った。博多ラーメンなのに久留米っぽさもあり、十分過ぎる個性があった。あとでわかったことだが久留米から羽釜「築炉釜(五右衛門釜)」を取り寄せてスープ作りをしていたという。

築炉釜でスープをとる創業者の城戸大将

そしてそれ以降、コレクターの私なのに「名島亭」は何度も食べた。むしろ、追いかけるように食べた。「一風堂」の支援を受けるようになってからも食べたし、福岡ラーメンショーでは一風堂とのコラボでちゃんぽんを出していた。そのあと、東京ラーメンショーにも出店。この時、ブースの中に入るのではなく、ブースの前でお客様のお相手をしている店主の姿を毎日見ることができた。中に入ってラーメン作りをするのも店主としての重要な仕事だが、表に回ってお客様と接することも大事な姿勢だった。

そして新横浜ラーメン博物館出店、鴨居の商業施設、博多の駅ビルなどでも食べた。そしてその行く先々に創業者である城戸修さんの姿があった。

2015年ラー博オープン時の城戸大将

私は「名島亭」を食べに行っていたのではなくて、城戸さんの笑顔を見たくて足を運んでいたのではないか?そう思えるほど、城戸さんの笑顔があった。そしてそのたびに元気をもらって帰って来た。
私より、8歳も歳上なのに私以上に元気なのである。今は、現役を引退し、趣味の山登りなどをしているようだ。私は駅の階段を昇るのですら、難儀しているのに歳上の城戸さんは山登りをしているというのだから頭が下がる。

そして、「名島亭」は新横浜に復活する。2023年3月14日(火)~4月3日(月)の3週間だが、この期間中、城戸さんは常駐するという。

名島亭創業者城戸大将(2023年3月13日ラー博にて撮影)

あの笑顔に会えるのは嬉しい。そして「名島亭」のラーメンを久しぶりに食べられるのもありがたい。本店を閉店してしまった今、城戸さんの笑顔に会えるのはこんな機会しかない。「名島亭」が好きな人、そして城戸さんのファンの人、ぜひこの期間に新横浜へ!
文/大崎裕史

📖バックナンバー
Vol.1「2年で味わい尽くす、ラー博30年史」(2022年6月17日)
Vol.2 伝説の銘店 和歌山「井出商店」(2022年6月24日)
Vol.3 創業90余年 福島・会津「牛乳屋食堂」(2022年7月15日)
Vol.4 魚粉のパイオニア 川越「頑者」(2022年7月31日)
Vol.5 敦賀ラーメンの老舗「中華そば一力」(2022年8月29日)
Vol.6 時代の先を行っていた伊豆「あまからや」(2022年9月18日)
Vol.7知る人ぞ知る 岡山・笠岡「中華そば坂本」(2022年10月4日)
Vol.8札幌ブラックの先駆者、札幌「名人の味 爐」(2022年10月31日)
Vol.9 青森・煮干しラーメンを首都圏に広めた目黒「勝丸」(2022年11月5日)
vol.10 『呼び戻し』スープの発祥久留米「大砲ラーメン」(2022年11月23日)
vol.11幻の店が13年ぶりに復活!! 青森「八戸麺道 大陸」(2022年12月14日)
vol.12鍋焼きラーメン発祥のお店。高知・須崎「谷口食堂」(2023年1月3日)
vol.13とんこつを極めて35年。「麺の坊 砦」(2023年1月27日)
vol.14東京では味わうことの出来ないご当地ラーメン 飛騨高山「やよいそば」(2023年2月21日)
vol.15新東京ラーメンの一翼を担った 環七「野方ホープ1994」(2023年3月1日)

あの銘店をもう一度 第13弾 博多「元祖名島亭」
※博多「元祖名島亭」の詳細はコチラ
出店期間:2023年3月14日(火)~2023年4月3日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第11弾「麵の坊砦」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?