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【連載】Vol.6 時代の先を行っていた伊豆「あまからや」

あまからやのスパイス醬油ラーメン(2022年撮影)

1994年にオープンした「新横浜ラーメン博物館」は大成功を収め、ラーメン店にとって、ラー博に出店することが大きな『夢』になった。

開館当時の入館待ちのお客様の列(1994年)

しかし、現実的には有名ご当地ラーメンじゃないと難しいという大きな壁があった。そんな時、ラー博5周年記念イベントとして「登竜門」という企画が立ち上がった。
これは「今までの既成概念にとらわれない新しい発想発掘の場」、「これからラーメンに人生をかけようと考える方への夢の場の提供」というコンセプトのもと、全国から新しいラーメンを募集し、優勝者にはラー博に3ヶ月間出店できるという、まさに『夢』が実現できる企画だった。

そんな『夢』にチャンレンジした人は300人を超えた。画期的な企画だったことは、その応募数だけではなく、応募はしたものの落選した後に奮起して有名になったラーメン店主が何人もいたことからも伺える。
そんな多数の応募者の中から1次審査、2次審査を経た10名が3次審査の審査員試食に進んだ。審査員は、佐野実氏(支那そばや)、山田雄氏(麺屋武蔵)、河原成美氏(一風堂)、村中伸宜氏(すみれ)等、ラーメン界では有名な店主達。

ラーメン登竜門のメインビジュアル(1999年)

そんなかに混じって、まだ「いちラーメンフリーク」だった私も北島秀一さん、石神秀幸さん等と一緒に参加させていただいた。
テレビによく出てくるラーメン店主はラーメン好きにとっては芸能人並みに眩しい存在だったが、そんな人達と一緒に審査に参加できることは食べる側にとっても『夢』のような話で大変嬉しかった。
10名の作品はそれぞれが個性のあるラーメンで、四半世紀経った今でも通用する、あるいは今になってようやくトレンドになった斬新なラーメンばかりだった。

ラー博のリピーター向けに送られた最終審査員募集のはがき

そして最終審査は3名に絞られ、約250名の試食審査の結果は、1位86票、2位が同点で79票、という漫画かドラマでも見ているかのような大接戦。結果的に優勝はスパイスラーメンの「あまからや」になった。

優勝旗を掲げる海老名東人さん(1999年)

スパイスラーメンは、ここ数年で新たなトレンドになり、「あまからや」の先見性と、審査員の時代の先を見る目があった、と言えよう。

「あまからや」はいったん2005年に閉店したが、2015年実家の古民家に復活オープン。私も先日行ってきたが、素晴らしい環境でおいしいラーメンを提供していた。そのラーメンがラー博30周年企画【あの銘店をもう一度」の第5弾としてラー博に出店。(2022年9月23日(金)~10月13日(木))時代の先を行っていたスパイスラーメンを堪能してみて欲しい。

自然豊かな里山の古民家にあるあまから屋本店(撮影:大崎裕史)
看板メニュースパイス醤油ラーメン(撮影:大崎裕史)

文/大崎裕史

📖バックナンバー
Vol.1「2年で味わい尽くす、ラー博30年史」(2022年6月17日)
Vol.2 伝説の銘店 和歌山「井出商店」(2022年6月24日)
Vol.3 創業90余年 福島・会津「牛乳屋食堂」(2022年7月15日)
Vol.4 魚粉のパイオニア 川越「頑者」(2022年7月31日)
Vol.5 敦賀ラーメンの老舗「中華そば一力」(2022年8月29日)

あの銘店をもう一度 第5弾 伊豆「あまからや」
※あまからやの詳細はコチラから
出店期間:2022年9月23日(金)~10月13日(木)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第1弾「井出商店」、第3弾「頑者」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ

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