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【連載】Vol.7 知る人ぞ知るご当地ラーメン 岡山・笠岡「中華そば坂本」

「中華そば坂本」の中華そば

私が初めて笠岡に行ったのは2004年のこと。
「大崎さん、月に3回だけ素晴らしいラーメンを出す店(※)があるんですがそれを食べることができるチャンスです。行ってみませんか?」と誘われたことがきっかけ。
※「お多津」(当時の場所では閉店。2020年に「こうのしま お多津」として復活。)

まだその頃はぼんやりと「笠岡ラーメン」の噂を聞いていただけで、詳しく知らなかったし、恥ずかしいことに「笠岡市」がどこにあるのかすら認識していなかった。
笠岡市は岡山県西南部にあり、電車なら岡山駅からJRで40分ほど。
すぐ隣は広島県福山市で福山駅から電車で15分ほど。南側は瀬戸内海に面しており、世界唯一の「カブトガニ博物館」があり、『カブトガニの街』として知られている。宴会の一本締めが「カ・ブ・ト・ガ・ニ!」というのがとても印象的だった(笑)。人口は約4.5万人。ラーメン店は30軒ほど。

当時、地元の人から「笠岡ラーメン」の話を聞いて、8軒のラーメンを食べてみた。特徴としては、豚チャーシューではなく「煮鶏(にどり)」(かしわチャーシュー)を使っていること。

煮鶏(にどり)(かしわチャーシュー)

スープは老鶏を使った鶏ガラ清湯醤油味。麺は低加水細めのストレート。昔、養鶏業が盛んだったことからこういうラーメンが誕生したらしい。
笠岡ラーメンの元祖として戦前にオープンした「斉藤」というお店があったが、私が行ったときにはすでに閉店(1994年)しており、その味を継承している代表的な老舗店が「中華そば 坂本」だった。

笠岡のラーメンに大きな影響を与えた「斎藤(廃業)」の外観

1958年創業で笠岡に現存するお店の中では最古参。
朝9時台にオープンし、午後2時頃にはスープ切れで終了するという営業時間。煮鶏(かしわ)チャーシュー、笹切り青ネギ、拍子木型メンマがトッピングされ、シンプルな味わいだが、外観や店内も含めて「ご当地」を感じさせ、その存在を知らなかったことも含めて感動したことを覚えている。

中華そば坂本の外観

「笠岡ラーメン」が認知されていったのは、地元のラーメンを愛する人達が10年以上に及ぶ地道な取組があったから。2009年には「ラーメンのまち笠岡全国展開プロジェクト(通称:ラーメンプロジェクト)」が旗揚げされ、ラーメンのまち笠岡の魅力をもっと全国に知ってもらうために迄も活動を続けている。

2010年当時配られていたラーメンMAP

「笠岡ラーメン」は国内最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」にコラボで2回出店しており、さらにはカップ麵として発売されるなど、「ご当地ラーメン」としての知名度もあがってきた。

東京ラーメンショー2013に出店した「笠岡ラーメン」(味々亭 With お多津)
寿がきやから発売されている「笠岡ラーメン」(寿がきやHPより引用)

そんな笠岡ラーメンの最古参「中華そば 坂本」がラー博30周年企画【あの銘店をもう一度」の第6弾としてラー博に出店。(2022年10月14日(金)~11月3日(木))もちろん私は食べに行く!
文/大崎裕史

「中華そば坂本」の中華そば

📖バックナンバー
Vol.1「2年で味わい尽くす、ラー博30年史」(2022年6月17日)
Vol.2 伝説の銘店 和歌山「井出商店」(2022年6月24日)
Vol.3 創業90余年 福島・会津「牛乳屋食堂」(2022年7月15日)
Vol.4 魚粉のパイオニア 川越「頑者」(2022年7月31日)
Vol.5 敦賀ラーメンの老舗「中華そば一力」(2022年8月29日)
Vol.6 時代の先を行っていた伊豆「あまからや」(2022年9月18日)

あの銘店をもう一度 第6弾 岡山・笠岡「中華そば坂本」
※岡山・笠岡「中華そば坂本」の詳細はコチラ
出店期間:2022年10月14日(金)~11月3日(木)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第2弾「牛乳屋食堂」、第4弾「中華そば一力」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ


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