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Vol.22 昭和13年創業、京都の最古参ラーメン店「新福菜館」

新福菜館の中華そば

インターネットが普及する前から全国的な知名度を持つラーメン店がいくつかあった。京都の「新福菜館」もその一つだ。特に“出張族”には知られていた。京都駅から徒歩圏内と近く、朝9時から営業しているのも大きい。
商談前に一杯、あるいは帰京前に一杯、というパターン。昨今、中休みを取るラーメン店が多い中、通し営業なのも助かる。

新福菜館たかばし本店の行列(出典:じょなさんぽ

京都のラーメンは“ご当地”としての知名度こそ、札幌、博多、喜多方など『3大ご当地』に負けてはいるが、京都を代表する老舗である「新福菜館」の創業は1938年、屋台から始まった。もう85年にもなる。京都市内には今でこそ400店舗とも500店舗とも言われるほどラーメン店が数多く存在する。そんな京都ラーメンの最古参であり、草分け的存在が「新福菜館」なのだ。

特徴は、鶏ガラをベースに豚の旨みを加えたスープに熟成濃口醤油を使った黒いスープ。一時期、「○○ブラック」(○には地名が入る)と呼ばれる黒いラーメンがあちこちに出来たときにここは「京都ブラック」などと呼ばれることもあった。最近はそんなに言われないようだが、それくらい見た目が黒かった。

しかし、スープを飲んでみるとしょっぱいわけではなく、香ばしくするすると飲める。後を引く味わいがクセになり、リピーターを増やし続けてきた。
このスープに合うのがシャキシャキ食感のネギともやし。そして無くてはならないスライスチャーシュー。一般的な厚みのあるチャーシューだと箸休み的に食べることが多いが、このチャーシューは麺と一緒に食べるとより楽しめる。そのためチャーシューメンを頼む人も多い。

丼一面を覆うチャーシューメン

また、ここに来た時に忘れてはならないのが「ヤキメシ」である。
いわゆるチャーハンなのだが、中華そばの醤油ダレを使っているため、これまた見た目が黒くインパクトがある。中華そば用のチャーシューが細切れで入っており、当店の名物メニューである。
「ヤキメシ」というネーミングもいい。味濃いめに作られており、さっぱりした中華そばとの相性が良く、ラーメン店のサイドメニューランキングなどをやったら間違いなく上位入りするメニューと言える。

新福菜館の名物「ヤキメシ」

実はこのメニュー、創業時からあったものではない。二代目の山内勝さんが昭和40年代後半に考案したメニュー。このメニューをきっかけとして一際人気が高まっていった。

そんな「新福菜館」が21年ぶりにラー博に復活する。

新福菜館ラー博店の外観(1997年撮影)

「あの銘店をもう一度"銘店シリーズ"」第19弾。気が付けばもう19店舗目にもなる。出店期間は、2023年7月18日(火)~8月7日(月)
今回は二代目・山内勝さんの長女夫婦が陣頭指揮をとり、直系直伝の味を披露。中華そばとヤキメシのセットが今から楽しみである。
文/大崎裕史

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あの銘店をもう一度 第19弾 京都「新福菜館」
※らぁ麺むらまさの詳細はコチラ
出店期間:2023年7月18日(火)~8月7日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第17弾「CASA LUCA」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ


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