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Vol.21 佐野実最後のプロデュース店 唐津「らぁ麺むらまさ」

玄界灘塩らぁ麺


唐津市がどこにあるか、ご存知だろうか?佐賀県北西にあり、玄界灘に面している。県内では佐賀市に次いで第二の都市になる。都内から行くとなると飛行機を使っても約6時間ほどかかる。

唐津の地図(出典:唐津観光協会

新横浜ラーメン博物館では、創館15周年企画として『新ご当地ラーメン創生計画』の第3弾を進めていた。そしてその対象地を佐賀県「唐津市」に決定。プロデューサーはあの「支那そばや」創業者である佐野実氏で本人最後のプロデュースになる。

プロデューサーの佐野実さん

その企画で2009年9月に誕生したのが「らぁ麺 むらまさ」である。唐津にもラーメン店はたくさんあるが、同じ九州の地なのでご多分に漏れず豚骨ラーメン隆盛の地である。そんな中で佐野さんが選んだ味は、なんと玄界灘の塩を使った『塩味』のラーメンだったのだから驚きである。

玄界灘塩チャーシューメン

2000年を過ぎて間もない頃の話だが私が佐野さんの事務所を訪れたことがある。その際に、ある戸棚の扉を開けて中を見せてくれた。そこにはズラッと塩が並んでいた。“塩だけ”が並んでいる“塩棚”だったのである。

佐野さんの塩コレクションの一部

佐野さんが全国の食材に精通し、研究しているという話は有名だったが、塩だけでこんなに揃えているとはビックリした。その時に聞いたのは「ここにあるだけでざっと150種類くらいかな」ということだった。その場に無いものも含めて数百種類の塩を集めて試していたようだ。ラーメン店主に限らず、全国でこんなに塩を研究して、塩に詳しい人がいるだろうか?鶏に関してもトップクラスの知識を持ってそうだが、塩に関しても日本上位になるのではないかと思った。そんな佐野さんが唐津市で採れる食材をリサーチし、食文化を深掘りし、辿り着いたのが『玄界灘の塩』を使ったラーメンなのである。
かねてより「料理で一番大切なのは水と塩」と言って憚らなかった佐野さん。そんな佐野さんが選んだのが玄界灘に囲まれた加唐島で作られる「一の塩」。塩の専門家と言っても過言ではないくらい塩に精通した佐野さんが絶賛した塩である。

佐野さんが惚れ込んだ「一の塩」

そして、佐野さんと言えば“鶏”にも詳しく、ラーメン業界に銘柄鶏を持ち込んだ人でもある。ところが、このラーメンは“豚”中心で構成された。

豚主体の極上スープ

いやはや、何度驚かせてくれれば気が済むのだろうか?豚を主体に使いながらも他に佐賀産のミツセトリを加え、アゴ(トビウオ)、昆布などの魚介系もブレンドしてコクのある清湯に仕上げている。
そこに合わせる麺はしなやかでなめらかな国産小麦を使用した中細ストレート麵。素晴らしい塩らぁ麺が完成した。

国産小麦を配合した自家製麺

もちろんラー博出店時に速攻で食べに行ったし、唐津市に凱旋帰郷出店してからもわざわざ食べに行った。しかし唐津市の店には一度行ったきりなので、もう10年以上経っている。

らぁ麺むらまさ唐津本店

かの豚骨ラーメンの地で10年以上愛され続けてきた「塩らぁ麺」。それが『あの銘店をもう一度"銘店シリーズ"』第18弾として進化してラー博に戻ってくるのだ。出店期間は、2023年6月27日(火)~7月17日(月)。なんせ唐津市のお店に再訪するとなったら約6時間かかるので、この機会に何度か行ってみたい。これは楽しみだ!
文/大崎裕史

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あの銘店をもう一度 第18弾 佐賀・唐津「らぁ麺むらまさ」
※らぁ麺むらまさの詳細はコチラ
出店期間:2023年6月26日(火)~7月17日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21 
     新横浜ラーメン博物館地下1階
     ※第16弾「IKEMEN HOLLYWOOD」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる。
     詳細はコチラ

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