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雑文ラジオポトフ

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2022年11月の記事一覧

犬に月見せて月には犬見せて

犬に月見せて月には犬見せて

 現代川柳と400字雑文 その30

 先日(2022年11月8日)の月食は楽しんでいただけたでしょうか。欠ける月そのものより、誰もが外へ出て月に向けスマホをかざしていたあの光景が印象に残った方も多かったようだ。わたしも驚いた。しかし、わたしは見た。スマホをかざす人々の中に、犬をかざしている人も何人かいた。どういう状況だ? わたしは犬を飼ったことがないのでイメージできないが、月食を写真におさめたい

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ダルマ置きあるならすぐにでも置くさ

ダルマ置きあるならすぐにでも置くさ

 現代川柳と400字雑文 その33

 大学1年生のころ、PowerPointを習う授業があった。かんたんなグラフを作り、授業の最後に人前でプレゼンまでさせられる授業だ。個人的には、とくに訴えたい内容もないのに無理やりグラフを作らされるという体験が興味深かった。よし。1秒だけ考えると、わたしは、群馬県のダルマの生産量の推移を示すグラフ作成に着手した。なぜダルマか。そこに理由は無い。なんとなくのダル

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いい幅にはまった赤子光りだす

いい幅にはまった赤子光りだす

 現代川柳と400字雑文 その31

 わけのわからない書き出しだが、ここ最近、街で見かけた赤子を描写しておもしろがることに凝っている。やっぱりわけがわからないと思う。ツイッターでハッシュタグ「赤子がよかった」を検索してもらうのがいちばん早いと思う。わたししか使っていないタグである。ひとことで説明すれば、これは赤子の「かわいさ」を「おもしろさ=笑い」に変換する遊びだ。ルールは事実ベースで書くこと。

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あらわないあらがわないとわけないと

あらわないあらがわないとわけないと

 現代川柳と400字雑文 その47

 幼いころよく観ていたアメリカの医療ドラマ『ER』には、手術の前に医者たちが手を洗うシーンがよくあった。なにか小さいブラシのようなもので爪の先をシャカシャカと洗いつつ、患者のことや私生活について語りあうのだ。そういえば『ER』には生放送の回があって(もちろん現地での話。西海岸と東海岸の時差にあわせて1日2回やっていた、と記憶している)、アメリカのドラマの底力に

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豚肉にパン粉ストップ警察だ

豚肉にパン粉ストップ警察だ

 現代川柳と400字雑文 その50

 もともと粉だ。それを塊にして寝かせたり焼いたりしてパンにする。それをまた粉にする。しかしその粉はもとの粉とはちがう粉。つまり小麦粉とパン粉である。かつてシティボーイズのコントには「ピアノの粉末」が登場したが、あれは「ピアノ粉」と呼べるものだった。ときに「覆水盆に返らず」とはネガティブな言葉だろうか。たしかに小麦粉もパン粉もピアノ粉も、粉々にしたら最後、もとに

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Y字路でしかこんな顔と会わない

Y字路でしかこんな顔と会わない

 現代川柳と400字雑文 その49

 そういえば、Y字路、Uターン、S字クランクなど、交通上の用語にはアルファベットが多い。交通用語から離れても、L字金具、S状結腸、Xフライドポテト(断面をXにカットしてサクサク感を出したフライドポテト)、Pトラップ(わざと水がたまるPの形にして、悪臭やガスの侵入を防いでいる排水管)など、この世はアルファベットだらけだ。Qロック(キャンプなどで使われる、もとは軍

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もう獣医にはなったから動物を

もう獣医にはなったから動物を

 現代川柳と400字雑文 その48

 獣医、といってもすべての獣の生態に精通しているわけではないだろう。ティラノサウルスとトリケラトプスではぜんぜん生態がちがうはずだし、グリッピアには詳しいがグヌトサウルスには手も足も出ない獣医だっているにちがいない。アンモナイトとニホンオオカミは素人目にもかなり別物という気がするが、逆にどんな共通点があるのだろうか。どちらも絶滅している、ということ以外、わたし

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8人で16種類たのむには

8人で16種類たのむには

 現代川柳と400字雑文 その46

 食事の際あまり量を食べないので、食べ放題のたぐいをなかなか楽しめない。回転寿司も数皿でじゅうぶんだ。周囲が大量に注文したり、皿を積み上げたりするのを見ながら、「バイキングとビュッフェってどうちがうんだろう?」とか、「わんこそば100杯ぶんのそばを1本につなげてみたいな〜」とか考えている。そういえば食事や飲み会の席で「楽しい?」と訊かれたことが何度もあるが、だ

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人体のはて当店のあるところ

人体のはて当店のあるところ

 現代川柳と400字雑文 その45

 こうして毎日どうでもいい現代川柳を作ることができているのは、そこに「お題」があるからだ。お題。画像の部分がそれにあたる。言い換えれば、わたしがここで作っている現代川柳は、すべて画像に対する「リアクション」となる。すべての表現、いや、すべての行為は、なにか別の要因に対するリアクションとしてある、と言ってみたい。無意識でやっている呼吸すらも、「酸素がほしい」とい

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嘘でいい背中をかいてくれるなら

嘘でいい背中をかいてくれるなら

 現代川柳と400字雑文 その44

 ボディブラシというのか、入浴時に背中を洗うブラシを導入した。いい。快適だ。これまではタオル的なやつをたすきがけのようにして背中にまわして洗っていたが、いまのほうが「洗えている」という実感が段違いにある。となると前までは「洗えていなかった」ということになるので怖い。その道具ができる以前どうしていたのかわからない、というようなことはたくさんあって、たとえば歯ブラ

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ここからはあの人といけいきなさい

ここからはあの人といけいきなさい

 現代川柳と400字雑文 その43

 商品のならぶ棚を指し「ここからここまでぜんぶくれ」と言う。これはいわゆる「大人買い」にあたるだろうか。たしかに「大人買い」には「一気に買う」といったニュアンスがある。しかし改めて語源に立ち返れば、「一般にこども向けとされる商品を大人の財力で一気に買う」のが、本来の意味のはずだ。つまり「ここからここまでぜんぶくれ」と言うだけでは十分な「大人買い」とは呼べないの

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くまが出た村だ電球われる音

くまが出た村だ電球われる音

 現代川柳と400字雑文 その42

 熊、というより「熊のキャラクター」はなぜこんなに愛されるのだろう。そこでは「擬人化」が大きな役割を果たしている。似たような位置・バランス感の四肢があり(つまり哺乳類?)、要は人間っぽく見立てることが容易で、ゆえに親しみやすい。ちなみにその生き物が「擬人化」を受け入れやすいかどうかについては、その生き物にメガネをかけた際の違和感の大小で測ることができる。たとえ

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かたちだけでも飼っているから犬だ

かたちだけでも飼っているから犬だ

 現代川柳と400字雑文 その41

 むかしよく歩いて通った道に豪邸があった。高い塀に囲まれた大豪邸。塀にはところどころにデザインされた四角い穴が空いていて、いつも前を通るとその穴のひとつから白い大型犬が顔を出すシステムになっていた。システム。そう呼びたいほどの規則正しさで、来る日も来る日も同じ穴から犬は顔を出した。音なのか匂いなのか、塀を隔てた向こう側に人間の気配を察知して顔を出すのだろう。四

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きみがすきやっぱりきらいあいしてる

きみがすきやっぱりきらいあいしてる

 現代川柳と400字雑文 その40

 アニメ(テレビアニメ)を凝視するようになって1年ほど経つ。あれ、2年かな。いや、半年だったかも。と、観れば観るほど知らないことの多さに気づかされ時間軸がぼんやりしてしまう。タイトルは知っているけど観たことのない作品が山のようにある。アニメに限らずマンガもそうだし、映画も小説も、そのジャンルの作品すべてを味わいつくすことはぜったいにできない。初めて訪れる街でい

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