ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気…

ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気です。ご聴取&おたよりはリンク先からどうぞ。 https://potofu.me/radio-ptf

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【録音あり】スペースラジオポトフ「5月に砂金の取れる川」【無事終了】

概要来たる2023年5月26日金曜の夜、ツイッターの生放送機能「スペース」を使った月イチ恒例のおしゃべり企画「スペースラジオポトフ」第12回を行います。ラジオポトフアカウントからお気軽にお聴きください。応援や感想などは「#スペースラジオポトフ」をつけてツイートしてください。参加者のうち余裕のある者が読み上げます! 【参加者】 今田健太郎(いまだ・けんたろう) 高澤聡美(たかざわ・さとみ) 鳥原弓里江(とりはら・ゆりえ) 前回の記録と録音 テーマ1. 現代川柳ネプリ第2弾

    • あいつには今年の顔をやめさせる/暮田真名

      シリーズ・現代川柳と短文NEO/112  陰謀論と陰謀そのものは異なる。この世を裏から操る闇の組織の存在を語ることとその組織について語ることは根本的にべつの次元の話だ。ちょうどこれはカルピスとカルピスウォーターの関係と相似かというとそうではない。当然、カルピスとカルピスソーダの関係と相似でもない。 【きょうの現代川柳】 あいつには今年の顔をやめさせる /暮田真名 ▼出典

      • 豆腐から発掘される夏になる/栫伸太郎

        シリーズ・現代川柳と短文NEO/111  夏は冷奴に限る。うんと暑い日、よく冷やした大豆(豆腐)にほんのすこし大豆(醤油)をかけて、豆のふくよかな風味でビールをやる。縁側のほうから大豆(風鈴)の涼やかな音色がしたかと思うと、そこに大豆(プール)帰りのこどもたちの騒ぎ声が重なる。ちょうど孫たちと同じ年頃だろうか。そうだ、ことしは夏大豆(祭り)に行って孫たちと大豆(花火)を見よう。大豆(孫)たちの瞳に写りこむ小さな小さな大豆(花火)の愛らしさにわたしは目を細めるのだ。 【きょ

        • 他界した人もあとから来るといい/暮田真名

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/110  夜中だというのに定員オーバーはあきらかでバスには乗れなかった。無事に乗りこんだ乗客たちがわたしを見おろす。なぜかその目にわたしは写っていない気がした。つぎのバスの時間を調べようとバス停の時刻表を見ると真っ白。仕方なく手書きでそこに1分後の時刻を書き足すと、 すぐにたくさんのバスがやってきた。でも、目当てのバスは無かった。 【きょうの現代川柳】 他界した人もあとから来るといい /暮田真名 ▼出典

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        • 現代川柳と短文
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        • きのうの無免許医
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        • 現代川柳と、400字の雑文
          100本

        記事

          吊革の揺れに合わせて森になる/栫伸太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/109  わたしの家のキッチンには吊革がある。玄関の真上の天井から吊り下がっている。だれもつかまるわけがないのに。というか届かないし。吊革は私が生まれる前からそこにある。ときどき夜中におばあちゃんがそれに手をあわせている。おばあちゃんはもごもごなにか言っているが聞きとれない。吊革はたまにすこしだけ揺れる。すこしね。 【きょうの現代川柳】 吊革の揺れに合わせて森になる /栫伸太郎 ▼出典

          首ったけ だけどきれいに紙を束ねて/暮田真名

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/108  弊社もペーパーレス化が進んだもので、すでに昨年度で紙束ね課も解散になっていた。第三営業部紙束ね課。バブル期は花形だった紙束課(かみたばか)。時代だねえ。そう言うと上倉森さんはデスクでトントンと紙束をそろえ、水筒の麦茶をおいしそうに飲んだ。再来年で定年退職を迎える上倉森さんは、毎夜、法が裁かない悪を暴力で裁いているという。 【きょうの現代川柳】 首ったけ だけどきれいに紙を束ねて /暮田真名 ▼出典

          首ったけ だけどきれいに紙を束ねて/暮田真名

          目薬と鯛中鯛を入れ替える/栫伸太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/107  鯛の中に鯛によく似たかたちの骨があるのはみんなも知っていると思う。そう、鯛中鯛だ。つまり、骨ではないほうの通常サイズの鯛を飲みこんだ特大の鯛は、鯛外鯛になる。いいか、鯛外鯛になるんだよ。うん、みんなとてもいい顔をしている。先生からは以上です。卒業おめでとう。 【きょうの現代川柳】 目薬と鯛中鯛を入れ替える /栫伸太郎 ▼出典

          終わらない映画もあるが気のせいだ

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/106  なぜ映画は2時間のものが多いのか。もっと破天荒な、たとえば9時間の映画はどうだ。3時間を過ぎたあたりで突然物語が停滞する。どうでもいいセリフが増え、やたらと間の演出を使いはじめる。もうやることがないのだ。さあ、あと6時間、スクリーンではなにが起きるのか。なにかが起きなくてはならない。これは映画なのだから。 【きょうの現代川柳】 終わらない映画もあるが気のせいだ /暮田真名 ▼出典

          点線でお茶のなかみが描いてある

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/105  ショッピングモールの外れにひとり、似顔絵屋がいた。店を構えてはおらず、パイプ椅子とイーゼルとスケッチブックのみ。きっとモール側に許可も取っていないのだろう。魔が差して似顔絵を描いてもらうと、なぜかそれは点線で描かれていた。ありがとう。そう伝えて料金の5千円を支払うと、財布には5千円のかたちをした点線で描かれた四角形が残った。 【きょうの現代川柳】 点線でお茶のなかみが描いてある /栫伸太郎 ▼出典

          衣擦れという結論にたどりつく

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/104  ギターの弾き語りの音源にはたいていコードチェンジの音まで入っている。コードを押さえた指がネック上を移動するキュキュッという音。ギターがそこにあり、それを弾いている人もそこにいる、とわかる実在感の音。いいなあ、と何回もくりかえし聴くうち、コードチェンジの背後に、「ねえ、きこえる?」という、少女のような声がするのに気づいた。おかしい。演奏者は四十代の男性のはずだ。はっとしてもういちど聴きなおすと、もう少女の声は聞こえなかった。 【きょ

          マルチーズ自体が少し糸電話

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/103  遠いところにいるきみとのあいだに新しい1本の白い糸を張る。赤い糸では音の波が伝わらないから。マルチーズ。心をこめたその5文字が波になり、海を越え、山を越え、恋人に届くころにはアメリカンピットブルテリア。 【きょうの現代川柳】 マルチーズ自体が少し糸電話 /栫伸太郎 ▼出典

          甘い夢みたひとだけがいる緑地

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/102  緑地にでも行くか、と腰を上げたときに抜け落ちがちなのが、いま自分がいるそこがすでに緑地なのではないか、という疑いの姿勢だ。自分の判断力を過信せず、つねにすべてを疑いつつ前進する。それがこれからのリーダーに求められるあり方だ。リーダーのリュックサックには色とりどりのフリスビーが常時19枚入っている。 【きょうの現代川柳】 甘い夢みたひとだけがいる緑地 /暮田真名 ▼出典

          昇順でヤングコーンを列挙する

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/101  情報を扱ううえでソート=整列の手順は不可欠だ。たとえば、人間を年齢順で並べ替える。それで分断が起きる。いや、氏名の五十音順だろうが足の速さの順だろうが、整列させることとその結果に物語性を見出せば、物語の内部と外部で衝突は起きてしまう。情報は本質的にばらついているのだし、人間は本質的に物語で生きている。 【きょうの現代川柳】 昇順でヤングコーンを列挙する /栫伸太郎 ▼出典

          かぎ穴にちょっといちごがつまってる

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/100  自分と相手のふたりきりでロシアンルーレットを行う際、たまに相手が絶命するヴィジョンしか浮かばないときがある。負ける気がしない。しかしそういうときこそ弾は自分のこめかみを撃ち抜く。相手がどんなリアクションをとったのかはわからない。いま、自分が絶命するヴィジョンを見てくれているのは相手だけなのに。 【きょうの現代川柳】 かぎ穴にちょっといちごがつまってる /今田健太郎

          O・ヘンリだったスープのうつわたち

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/099  作家Oは数多くの短編小説を遺した。あの心温まる話も、あるいはあの泣ける話も、じつは作家Oの短編小説を翻案したものだそうだ。偉大な作家。聞くところによると、カレーライスも作家Oの短編小説を翻案したものだという。 【きょうの現代川柳】 O・ヘンリだったスープのうつわたち /今田健太郎

          うつくしきあれどうしてよなんでなの

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/098  疑問を持つことは美しい。ミロのヴィーナスもよく見ればなにか疑問を感じている様子だし。いや、あれは「美しい人が疑問を持っている」だけかもしれない。欠けた腕はいまわたしが枕として使っている。 【きょうの現代川柳】 うつくしきあれどうしてよなんでなの /今田健太郎