ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気…

ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気です。ご聴取&おたよりはリンク先からどうぞ。 https://potofu.me/radio-ptf

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【録音あり】スペースラジオポトフ「5月に砂金の取れる川」【無事終了】

概要来たる2023年5月26日金曜の夜、ツイッターの生放送機能「スペース」を使った月イチ恒例のおしゃべり企画「スペースラジオポトフ」第12回を行います。ラジオポトフアカウントからお気軽にお聴きください。応援や感想などは「#スペースラジオポトフ」をつけてツイートしてください。参加者のうち余裕のある者が読み上げます! 【参加者】 今田健太郎(いまだ・けんたろう) 高澤聡美(たかざわ・さとみ) 鳥原弓里江(とりはら・ゆりえ) 前回の記録と録音 テーマ1. 現代川柳ネプリ第2弾

    • なのに雨 みんなこちらを見ているな

      シリーズ・現代川柳と短文NEO/040  天気予報はずっと前からその日は雨になると知らせていた。まるで、その日に雨が降ることをこの世の全員が望んでいるように。百年が経ち、二百年が経ち、その日が来る。天気予報は変わらず雨になると知らせていた。じっさいには雨は降らなかった。でも、もう降ったようなものだ。だれもが黙って傘の内側を見ていた。 【きょうの現代川柳】 なのに雨 みんなこちらを見ているな /今田健太郎

      • この市民ホールがあなたなんですよ

        シリーズ・現代川柳と短文NEO/039  2時間かけて重い扉を開くとピアノの音色がこぼれ出た。水分を補給し、また9人がかりで扉を閉めていく。完全に閉め終われば扉の内側の音はまた外側には聞こえなくなる。ふと、扉の外側の音は内側に聞こえるのか気になった。扉を閉め終わったらみんなと議論してみたい。 【きょうの現代川柳】 この市民ホールがあなたなんですよ /今田健太郎

        • ぼくレインコートはぜんぶ愛してる

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/038  2階の窓から通りを歩く人々を眺める。雨が降っている。傘を差している人とレインコートを着ている人。人数は傘のほうが圧倒的に多い。がんばれレインコートチーム。彼らをチームと捉えているのはぼくだけだ。雨が降っている。それが理由ではないけど、きょうも学校には行かない。 【本日の現代川柳】 ぼくレインコートはぜんぶ愛してる /今田健太郎

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        • 現代川柳と短文
          225本
        • きのうの無免許医
          238本
        • これも「読み」ですか?
          15本
        • 雑文ラジオポトフ
          320本
        • スペースラジオポトフ
          10本
        • 現代川柳と、400字の雑文
          100本

        記事

          新橋のうまいスープを出す屋さん

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/037  お花屋さんやお寿司屋さんにあこがれてこの業界に入った。しかし、日々の雑務に忙殺されるうち、自分がなぜここにいるかわからなくなってしまった。生きながらに死んでいたのだ。あのころの気持ちをなんとか取り戻し始めたのは、ある年の正月に引いたおみくじをきっかけに拠点を東京の新橋に移してからだった。「屋さん」を夢見たあのころの感覚がふたたびふつふつと湯気を立てはじめた。湯気。それがスープの湯気だと気づいた日のことを、わたしはいまも忘れません。

          1時間半かけ風を見せてやる

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/036  まだあと10分ある、という油断が遅刻につながる。10分間もあればあれもできるぜこれもできるぜ、とわけのわからない強気が顔を出し、ついあれこれやってしまうのだ。「壺を焼く」「落語を覚える」「飼い犬に四則演算を教える」「ヒノキの角材から木刀を削り出す」「銀行の決済システムに侵入する」「結婚詐欺」「熱帯雨林を回復する」むろん、どれもこれも10分ではむりだ。最低でも11分間はかかる。そしてまた遅刻してしまう。 【本日の現代川柳】 1時間半

          われわれはいつもセットで食べている

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/035  ごはんとしょうが焼きのセットを「しょうが焼き定食」と呼ぶなら、わたしとあなたのセットはなに定食だろう。そう、もちろん定食ではないんだけど、問題はそこじゃないんだ。ああ、むこうの空を流れ星が横切っていく。この星に初めて来たとき、しょうが焼きって、しょうがを焼いたものだと思ったんだ。でも、どちらかと言うと、豚肉を焼いたものだったんだ。千切りのキャベツが付いていることが多い。そう、横に、千切りのキャベツが付いていることも多い。 【本日の

          だれからもきみの話をきかないな

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/034  周囲の意見に惑わされてはいけない。だが、孤独を気取りたくもない。というか、そもそもオーケストラの一員であるからには完全な孤独状態になれるはずがない。みんなでひとつになろう。調和である。わたしの担当パートはけん玉である。 【本日の現代川柳】 だれからもきみの話をきかないな /今田健太郎

          その場所はそのときだれもいなかった

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/033  帰宅すると机の上でパソコンが動いていた。家を出るときまちがいなくシャットダウンした。それがいま動いている。なぜだ。いったいいつから動きはじめたんだ。だれもいない部屋で、いつから。わたしはぎゅっと目をつぶり、その瞬間のことを想像した。だれもいない部屋でパソコンのディスプレイに光がともり、ファンがまわりはじめる。マウスのカーソルがひとりでに動く。ディスプレイいっぱいに明朝体のテキストが一文字ずつ表示される。だ、れ、も、い、な、い。とっさ

          跡取りになってポタージュスープたち

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/032  せめてスプーン一杯ほどあれば、それがポタージュかどうかすぐわかるだろう。だが、一滴、ひとしずくだけならどうか。ポタージュとは、なんかこう、どろっとしたスープのことだ。それは知っている。しかし、いま目の前にはたったひとしずくのそれしかない。やや粘度が高いような気はするが、どろっとしているかどうかはよくわからないし、まず、スープかどうかもわからない。 【本日の現代川柳】 跡取りになってポタージュスープたち /今田健太郎

          ふろばにはふろばの王が君臨す

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/031  サッカー部のキャプテンを決めるとき重視すべきは人間性でもリーダーシップでもない。サッカー部員であることだ。いくら最適な人材だとしても、剣道部員ではだめだろう。そこにはキャプテンではなく「主将」の雰囲気が漂う。しかし、剣道部員にはサッカーができないと決めつけるのもよくない。たしかに世間には驚くほどのスポーツマンがいる。では、いま、われわれはスポーツマンに任せるべきなのか。決断のときである。 【本日の現代川柳】 ふろばにはふろばの王が

          はたらけど髑髏のほうはないがしろ

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/030  百瀬は人間の頭蓋骨が透視できる。いや、厳密にはその人の頭蓋骨の形を想像するのが好きなだけだ。当然、隣の席の自分の頭蓋骨なんてとっくに透視されているのだろう、と言うと、だれかれ構わず丸裸にする趣味はない、と一喝された。頭蓋骨を透視することを「裸にする」というニュアンスで捉えているらしい。とまれ、いまこの教室には三十個弱のうら若き頭蓋骨が並んでいる。 【本日の現代川柳】 はたらけど髑髏のほうはないがしろ /今田健太郎

          ミニカーか、あるいはサンドウィッチマン

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/029  人生は選択の連続だ。Aを選べばBは選べないし、逆もまたしかり。では新たな選択肢Cを出せばいいのか。いや、じっさいはその前に選択肢Cを「出すかどうか」という選択が立ちはだかるのだ。ほんとうに人生は選択の連続である。 【本日の現代川柳】 ミニカーか、あるいはサンドウィッチマン /今田健太郎

          ししまいでないかどうかをたしかめる

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/028  なんにでも興味を持って調べたしかめる、のはきわめて重要だが、それより重要なのは、他者に対し「おまえはこれに興味を持つ必要がない」と決めつけてしまわないことだ。あなたは他者をだれひとり見くびってはいけない。 【本日の現代川柳】 ししまいでないかどうかをたしかめる /今田健太郎

          ほんとうのことが言えないかき氷

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/027  かき氷のシロップはじつはどれも同じ味、という話は聞き飽きた。異なるのは着色料と香料であり、つまりわれわれは色と匂いで「べつの味」と錯覚させられているのである、という解説込みで聞き飽きた。ああ、おれはもうこの脳が浮かんでいる水槽の中のことはたいてい知り尽くしてしまった。むろんそれがいちばんの錯覚だ。ということも聞き飽きてしまった。 【本日の現代川柳】 ほんとうのことが言えないかき氷 /今田健太郎

          舞いおわるころのとうもろこしだった

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/026  始まって終わる。すべてそうだ。鳥も空も雲も土も。水もビルも人もイスも。たとえば休日の昼下がり、目の前にたまたまあった「それ」が始まりと終わりのどちらに近いのか考えてみるのもいいかもしれない。 【本日の現代川柳】 舞いおわるころのとうもろこしだった /今田健太郎