ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気…

ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)

今田と高澤の善良なラジオです。 こちらのアカウントは今田が運用していますが、高澤も元気です。ご聴取&おたよりはリンク先からどうぞ。 https://potofu.me/radio-ptf

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【録音あり】スペースラジオポトフ「5月に砂金の取れる川」【無事終了】

概要来たる2023年5月26日金曜の夜、ツイッターの生放送機能「スペース」を使った月イチ恒例のおしゃべり企画「スペースラジオポトフ」第12回を行います。ラジオポトフアカウントからお気軽にお聴きください。応援や感想などは「#スペースラジオポトフ」をつけてツイートしてください。参加者のうち余裕のある者が読み上げます! 【参加者】 今田健太郎(いまだ・けんたろう) 高澤聡美(たかざわ・さとみ) 鳥原弓里江(とりはら・ゆりえ) 前回の記録と録音 テーマ1. 現代川柳ネプリ第2弾

    • はぐれないようにたまには足しにいく/栫伸太郎

      シリーズ・現代川柳と短文NEO/174  群れからはぐれた子豚は、親豚から預かった地図に火をつけ、みずからの位置を群れの仲間に知らせた。夜半からの雨で湿った地図のある1箇所が燃え残り、そこにはちょうどトレーディングカードのショップがあり、後年、大谷翔平のカードが高額で販売されることになる。 【きょうの現代川柳】 はぐれないようにたまには足しにいく /栫伸太郎 ▼出典

      • 相転移するなら言ってほしかった/栫伸太郎

        シリーズ・現代川柳と短文NEO/173  事前通告は大切だ。いつまでに、なにをしないと、どうなるか。これはおもに心の問題だとわたしは思う。だからここで法的根拠や拘束力の話をするつもりはないがたとえば、「水を冷凍庫に入れると氷になるのは自明のことなので事前に通告しなかった」という主張をめぐり対立が起きた場合などは法廷での論議は避けられないだろう。 【きょうの現代川柳】 相転移するなら言ってほしかった /栫伸太郎 ▼出典

        • 粉々にされて整列させられる/栫伸太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/172  整列、というフレーズにいやなものを感じるのは、それが「管理」を思わせるからだ。たしかに整列させることが必要な場面はあるだろうが、だからって整列「させられること」も必要なのだと思う必要はない。そもそもやつらがなんのためにいちど粉々にするかというと、整列させるためなのだから。しっ! 気をつけろ……やつらだ。 【きょうの現代川柳】 粉々にされて整列させられる /栫伸太郎 ▼出典

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        • 現代川柳と短文
          358本
        • きのうの無免許医
          238本
        • これも「読み」ですか?
          15本
        • 雑文ラジオポトフ
          320本
        • スペースラジオポトフ
          10本
        • 現代川柳と、400字の雑文
          100本

        記事

          発芽したので代入しよう/栫伸太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/171  発芽したらなにをしようかと指折り数えて待っていた純粋無垢な少年も、社会の荒波にもまれるうち、隙あらば代入してやろうと他人のミスをてぐすね引いて待つうす汚い大人になってしまう。 【きょうの現代川柳】 発芽したので代入しよう /栫伸太郎 ▼出典

          教室とくらべられるのが運命/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/170  教室をひとつの社会ととらえたとき、わたしたちの暮らすこの社会をひとつの教室ととらえることは可能だろうか。だれもがクラスメイトだ。だれが学級委員長をやるのか。だれがだれの給食費を盗むのか。あしたの給食の献立はなんなのか。 【きょうの現代川柳】 教室とくらべられるのが運命 /今田健太郎 ▼出典

          そしてシンクはかわいたままで/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/169  キッチンならシンクで、台所なら流し台、というように、時と場合に応じて「そこ」の呼び名は変わる。似たようなかんじのぜんぜんちがう話をするなら、数年前、かの天才放浪画家が着ている白いあれを「タンクトップ」と呼ぶ者がいた。そうかあ。かの天才放浪画家の時代にタンクトップという言葉は無かったのではないかと思う。 【きょうの現代川柳】 そしてシンクはかわいたままで /今田健太郎 ▼出典

          川という一日なのでうなずける/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/168  文明は川のそばに発展したが、川のほうはそれを忘れているからときどき人間のほうで思い出させてやらなくてはいけない、というのがこの祭りの発端だと老人は言った。祭りのあいだ、人々はめいめい1本の川になる。川だから、混ざりあってひとつの大きな流れになることもある。中には運河になる者もいたりして壮観だ。 【きょうの現代川柳】 川という一日なのでうなずける /今田健太郎 ▼出典

          ひとくちめまでにすべてがわかったケーキ/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/167  そのショートケーキの上に産地や栽培方法を完全に把握したいちごが乗っていたとしても、それでショートケーキのすべてがわかったことにはならない。逆に、そのケーキの、いちご以外の部分すべてを完食したとしても、それでいちごがわかったことにはならないだろう。 【きょうの現代川柳】 ひとくちめまでにすべてがわかったケーキ /今田健太郎 ▼出典

          ひとくちめまでにすべてがわかったケーキ/今田健太郎

          テーブルに名刺だぜ「小津安二郎」/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/166  小津安二郎。その作品の画面はどこまでも作りものである。むろん、どんな映画も作りものではあるが、小津のそれは、はっきり言えば、アニメ的な意味での作りものである。素材に生身の役者がありはするが、あれはアニメ的な作為だらけの画面だ。だからこそわたしは、すべての小津作品が真の意味でアニメ化されるといいなと思っている。ロトスコープでなく、手描きで。つまり、アニメ的な実写作品を、改めてアニメに召喚しなおす試み。これはおもしろいものが観られる。

          テーブルに名刺だぜ「小津安二郎」/今田健太郎

          このココアよりもおいしいあのココア/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/165  イソップ童話『すっぱいぶどう』とは正反対の考え方だ。つまり、あのココアはこのココアよりおいしいにちがいない、と決めてかかる。すっぱいぶどうの場合、そこには、ほしいものが手に入らないことを受け入れるため、自分の中であれこれ理屈をつける(合理化?)、みたいな心のうごきが見えた。では、このココアの場合はどうか。まあともかく、まず少量のお湯か牛乳でココアの粉を練るようにしてよく混ぜよく溶かすのがおいしいココアの作り方だそうです。 【きょう

          このココアよりもおいしいあのココア/今田健太郎

          茶運びの人形だった(んだおれは)/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/164  ここにきわめて精巧精密なからくり人形があるとして、その人形じたいを褒めるか、その人形の作者を褒めるか。この選択でそれ以降の景色はかなり変わってくる。即決はむり。慎重に慎重に慎重に。むろん長考。と、そこにかたかたと茶運び人形がやってくる。抱えた盆には日本茶の入った湯呑みが。手に取り、飲み干し、盆に戻す。すると茶運び人形は、かたかたと来た道を戻っていった。すごい。だって、江戸のやつなのに。めちゃくちゃすごい。これ、人形がすごいのか、作者

          茶運びの人形だった(んだおれは)/今田健太郎

          変装を解いたいちごのタルト べしゃ/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/163  それはタルトが落ちる音。べしゃ。実際はそんな音はしない。実際はどんな音もしない。けれどタルトが落ちる音。べしゃ。デシベル的な音ではない。擬態語。オノマトペ。それがタルトが落ちる音。べしゃ。落ちる音というか、落ちた音。砂利に? 畳に? コンクリートに? 人工芝に? うぐいす張りに? 大理石に? リノリウムに?   だれも知らない。なにも知らない。それは、どこかにタルトが落ちた音。べしゃ。 【きょうの現代川柳】 変装を解いたいちごのタ

          変装を解いたいちごのタルト べしゃ/今田健太郎

          ぬすまれた自転車だった(んだわたし)/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/162  天啓と呼ぶほどおおげさではなく、しかし思いつきと呼ぶほどどうでもでもよくはないことだった。道を歩いていて、ある横断歩道にさしかかったときに頭をよぎった、あるひとつのこと。といっても、その横断歩道とはなんの関係もない内容だった。たまたまだよ。すべてはたまたまそうなっているだけなんだ。わたしは、あのとき盗まれた自転車だったんだ。 【きょうの現代川柳】 ぬすまれた自転車だった(んだわたし) /今田健太郎 ▼出典

          ぬすまれた自転車だった(んだわたし)/今田健太郎

          アーケード街とはおもえないくらい/今田健太郎

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/161  人間とは思えないほどの○○、と形容するときの対象は、まずまちがいなく人間である。きょうはまず、これをあえて人間以外のものに使うことで、そのレトリックを味わってみよう。 ①人間とは思えないほどのロールキャベツ ②人間とは思えないほどの電波塔 ③人間とは思えないほどの政治家   さて、アーケード街である。雨の日、このアーケードが自分のめざす目的地まで続いていればいいのに、と思ったことはだれにでもある。しかしアーケードはやがてとぎれる

          アーケード街とはおもえないくらい/今田健太郎

          素手で日本の底にさわれる/暮田真名

          シリーズ・現代川柳と短文NEO/160  多くの人間がふだん素手で生活している。つまり、あちこちに指紋を残しながら生きている。指紋を残したくないときは手袋をはめればいいのだが、手袋をはめていることで逆に周囲に「指紋を残したくない人だ」と思われて元も子もない。指紋を残したくなくなってからあわてて手袋をはめては遅すぎるのだ。そんな事態をあらかじめ避けたいなら、ふだんから手袋をはめて暮らすしかない。しかし、ふだんから手袋をはめていて違和感のない人とはいったいどういう人だろう……そ