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現代川柳と短文

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短詩型文学の「現代川柳」1句と、それにまつわる短文を書いていきます。
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記事一覧

新橋のうまいスープを出す屋さん

シリーズ・現代川柳と短文NEO/037  お花屋さんやお寿司屋さんにあこがれてこの業界に入った…

1時間半かけ風を見せてやる

シリーズ・現代川柳と短文NEO/036  まだあと10分ある、という油断が遅刻につながる。10分間…

われわれはいつもセットで食べている

シリーズ・現代川柳と短文NEO/035  ごはんとしょうが焼きのセットを「しょうが焼き定食」と…

だれからもきみの話をきかないな

シリーズ・現代川柳と短文NEO/034  周囲の意見に惑わされてはいけない。だが、孤独を気取り…

その場所はそのときだれもいなかった

シリーズ・現代川柳と短文NEO/033  帰宅すると机の上でパソコンが動いていた。家を出るとき…

跡取りになってポタージュスープたち

シリーズ・現代川柳と短文NEO/032  せめてスプーン一杯ほどあれば、それがポタージュかどう…

ふろばにはふろばの王が君臨す

シリーズ・現代川柳と短文NEO/031  サッカー部のキャプテンを決めるとき重視すべきは人間性でもリーダーシップでもない。サッカー部員であることだ。いくら最適な人材だとしても、剣道部員ではだめだろう。そこにはキャプテンではなく「主将」の雰囲気が漂う。しかし、剣道部員にはサッカーができないと決めつけるのもよくない。たしかに世間には驚くほどのスポーツマンがいる。では、いま、われわれはスポーツマンに任せるべきなのか。決断のときである。 【本日の現代川柳】 ふろばにはふろばの王が

はたらけど髑髏のほうはないがしろ

シリーズ・現代川柳と短文NEO/030  百瀬は人間の頭蓋骨が透視できる。いや、厳密にはその人…

ミニカーか、あるいはサンドウィッチマン

シリーズ・現代川柳と短文NEO/029  人生は選択の連続だ。Aを選べばBは選べないし、逆もま…

ししまいでないかどうかをたしかめる

シリーズ・現代川柳と短文NEO/028  なんにでも興味を持って調べたしかめる、のはきわめて重…

ほんとうのことが言えないかき氷

シリーズ・現代川柳と短文NEO/027  かき氷のシロップはじつはどれも同じ味、という話は聞き…

舞いおわるころのとうもろこしだった

シリーズ・現代川柳と短文NEO/026  始まって終わる。すべてそうだ。鳥も空も雲も土も。水も…

追いかけてくる靴ひもになっていく

シリーズ・現代川柳と短文NEO/025  人は初めて靴ひもが結べたときのことを覚えていない。も…

ピストルにきっとバターを塗っている

シリーズ・現代川柳と短文NEO/024  撃った直後のピストルは熱い。小学校の25メートルプールいっぱいにバターがぴったりはまっていたとして、撃った直後のピストルをそこに投げ入れれば、熱でバターが溶け、ピストルはずぶずぶとめりこんでいくだろう。ところで、撃った直後、と書いたが、その場合どこに向けて撃てばいいだろう。プールだ。重ねたビート板でいい。 【本日の現代川柳】 ピストルにきっとバターを塗っている /今田健太郎