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犬に月見せて月には犬見せて

 現代川柳と400字雑文 その30

 先日(2022年11月8日)の月食は楽しんでいただけたでしょうか。欠ける月そのものより、誰もが外へ出て月に向けスマホをかざしていたあの光景が印象に残った方も多かったようだ。わたしも驚いた。しかし、わたしは見た。スマホをかざす人々の中に、犬をかざしている人も何人かいた。どういう状況だ? わたしは犬を飼ったことがないのでイメージできないが、月食を写真におさめたい、という欲求と同様に、月食を犬に見せたい、という欲求もあるのだろうか。犬に月を見せながら、人間たちは猫なで声で、「ほら、すごいね〜?」と、天体ショーのおおごとぶりに同意を求めていた。犬は返事をしていなかったが、その目には欠けていく月が写っていただろう。なるほど、記録・記憶に残す、という点で言えば、犬もカメラも同じなのかもしれない、とまとめるのはめちゃくちゃな話である。そうそう、赤子に見せている人もちらほらいましたね。


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