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ダルマ置きあるならすぐにでも置くさ

 現代川柳と400字雑文 その33

 大学1年生のころ、PowerPointを習う授業があった。かんたんなグラフを作り、授業の最後に人前でプレゼンまでさせられる授業だ。個人的には、とくに訴えたい内容もないのに無理やりグラフを作らされるという体験が興味深かった。よし。1秒だけ考えると、わたしは、群馬県のダルマの生産量の推移を示すグラフ作成に着手した。なぜダルマか。そこに理由は無い。なんとなくのダルマ。いまになって思えば、表現欲はあるのに表現したい内容は無いという、表現者をめざす者が陥りがちな状況を事前体験させるための授業だったのだろう。そんなわけがあるか。あれはPowerPointの扱いを習うだけの授業だった。気づくと、わたしはなんの意味もなく資料内のダルマからふきだしが出る動画を作り、その中に入れた言葉をダルマの声色で読み上げ、意味なくプレゼンを盛り上げていた。なんとなくのダルマに意味は無い。意味の無さという意味。それすらもない。それがいい。


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