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涙があふれるほどの言葉に、出会ったことはあるか
言葉の羅列で涙を流したのは、初めてだったかもしれない。
あえて「羅列」と書いたのは、その文章が、小説だとか、手紙だとか、そういった類いのものではなかったからだ。つまり、前後にストーリーがあったわけでも、書き手に思い入れがあったわけでもない。
その詩との出会いは、唐突だった。
私はそもそも、詩という文化そのものに関心はなかった。思考を停止させて、インターネットに体を委ねていると、ふとした時に目
エッセイ / 温かくてさみしい、盆の送り火
「視線を動かしている」と認識できるレベルの速度で、奥から手前へと鈍色の雲が流れてゆく。風が強い。時折、小さな雨粒が額を叩いた。こんなコンディションでは、きっと彼、彼女らも元の場所へ帰ることすら一苦労だろう、と思わざるを得なかった。
強風域を抜けたばかりの、まだ天の怒り鎮まらぬ空の下、久しぶりに盆を故郷で過ごした。台風10号と真っ向勝負してしまったことで、迎え盆は父がなんとか墓に線香をあげた程度。