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文学

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小説や雑誌などの本を読んでみての感想から自分で作ってみた短歌や詩まで。
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短歌集第3弾

短歌集第3弾

これまで詠んできた短歌がある程度まとまったので18首を載せます。

揚げたてのからあげクンを盗むから国に死刑で殺してほしい

風呂上りふやけた顔のおうとつを両手で触り生を感じる

「いたんだと」見えているのに映らない無色の僕は道端の石

ぬちょぬちょと2人はやがて一体へ24日の夜のいちゃいちゃ

フォロワーを助ける人と思ってはいけない僕は一人のままだ

左手に君の右手がくることを願って今日も荷物は

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分からないものを味わう

分からないものを味わう

加藤治郎さんの歌集「Confusion」を読んだけど分からなかった。

いわゆる”普通”の歌集とは違って、レイアウト詩歌という文字の配置や大小、レイアウトなどを含めて魅せる歌集になっている。

見ていてすごいなとは思うものの、正直よくわからない。

昔読んだ穂村弘さんの「シンジケート」も良く分からなかった。

本にしろCDにしろ映画にしろ、たまにこういうよくわからないものに出会うことがある。

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短歌集第2弾

短歌集第2弾

今年、大学生になってから短歌に出会って暇を見つけてはちまちまと詠んでいます。

ある程度歌が集まったので紹介しますね。

花びらが散ってしまえばとうめいにひと月前の名前はさくら

話したい話したいけど怖い夜 受話器マークを押せなくて朝

天井を宇宙だとして寝転んでシミを星へと昇華する夜

あの月を手に入れるため電柱をいくら壊せば空が崩れる?

さっきまで晴れてたくせになんで出るときに限って降ってく

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「新短歌教室の歌集」

「新短歌教室の歌集」

今回はナナロク社の本「新短歌教室の歌集」を読んだお話。

歌人の木下龍也さんと岡野大嗣さんの2人を講師として開催された短歌教室から生まれたこの歌集。

限定2000部の発行でしたが、大学の学生協の本屋さんからナナロク社さんに直接予約をしてなんとか手に入れることができました。笑

生徒さん60人の計360首とその評が収録されています。

中身の話もしたいのですが、ここで短歌を引いてしまうと著作権的に

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短歌集第一弾

数か月前に短歌にハマり、自分で素人ですが作ってみました。

ついにWord一枚分の計十八首が出来上がりました。

字が小さくて見にくい!という方はTwitter(尾崎文學)では一首ずつ公開しているのでそちらもぜひ~

「天才による凡人のための短歌教室」

「天才による凡人のための短歌教室」

今回は歌人、木下龍也さんの本「天才による凡人のための短歌教室」を読んだお話。

タイトルのインパクトにかなり持っていかれそうになりますが、読んでて「なんだこいつ!上から目線で偉そうだな!!」とイライラはしないのでご安心を。笑

一言で表現するなら「クセの強い短歌の教科書」という感じでしょうか。

木下さんが短歌に出会いハマるところから、短歌業界での生き方(お給料のお話も…笑)まで。

これから短歌

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愛の縫い目はここ

愛の縫い目はここ

今回は最果タヒさんの詩集「愛の縫い目はここ」について。

人生初の詩集を読みました。縦書きと横書きの詩が交互に掲載されていて、普段小説の縦書きに見慣れている僕にとってはそこも新鮮でした。

全部で43編の詩が収録されています。

その中で僕が印象に残った詩を一つ。「坂道の詩」という詩です。

小中高大と地元から一歩も離れずに生きている僕には少なからず負い目がある。それは安全地帯にいることからなのか

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玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ/木下龍也・岡野大嗣

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ/木下龍也・岡野大嗣

生まれて初めて短歌を読んでみた。

きっかけはシンガーソングライターの尾崎リノさん。彼女がインタビュー記事で「作詞は短歌から影響を受けている」というお話をされていて、おすすめの短歌集としてこの本を挙げられていたから。

正直短歌なんて古臭いというか冴えないイメージを持っていたけど読んでみてびっくりした。全然そんなことない!もちろん昔のいわゆる"和歌”というものはそうなのだろうけどこの本のような現代

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3.11と「想像ラジオ」

想像ラジオ/いとうせいこう

数週間前に背表紙が気に入ったからという理由で手に取ったこの本。それを今日読もうと思って本を開いて驚いた。

この本の題材は十年前の今日、東日本大震災だった。これもなにかの運命かと感じながら読み進める。

地震による建物の倒壊や津波により生死の境を彷徨う人たちの間にだけ聞こえる「想像ラジオ」。ラジオDJアークの軽妙な語り口調とそのリスナー、さらになにかのきっかけで想像ラ

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