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エッセイらしきものばかり

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何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
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2022年12月の記事一覧

精密罵倒兵器があった時代

精密罵倒兵器があった時代

 友人から聞いた話です。本人から許可をもらって載せています。

 全国的な騒ぎとなったとある事件が、まさに起きている真っ最中だった頃の話です。全国的な騒ぎになったくらいですから、マスコミは毎日のように様々なメディアで事件を報じていました。

 新聞社もまた同様で、全国紙から地方紙に至るまで、事件について日々書き立てていました。多くはその某事件の責任者を批判する論調だったそうで、各紙はそれぞれ一面に

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世界はガチであふれている

世界はガチであふれている

 専門家とかガチ勢とか、特定のジャンルに詳しい人を表す言葉はいろいろありますけれども、何がビックリってどこに行ってもその道の専門家やガチ勢がいるという点です。

 例えば、私はリアルタイムアタック(RTA)と呼ばれる、ゲームをいかに早くクリアするかを争う競技が好きで、いろいろ動画や配信を見てるんです。そこで驚いたのが聞いたことのないゲームでも参加者が何人もいる点であり、同じゲームでもルールの異なる

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いつかは学校でドラゴンクエスト感想文

いつかは学校でドラゴンクエスト感想文

 読書感想文を真面目にやった記憶がありません。ご丁寧に「感想文にはこういう本がいいよ」みたいな課題図書が紹介されたりしているんですが、その本を読むのがまず面倒でした。結局、締め切り直前になってその辺の本をパパッと読んで適当に書く。そうやって凌げればまだいいほうで、出さずに済ませたことも何回かあったような気がします。たぶん成績に響いたと思うんですが、学校はちゃんと卒業できたみたいです。

 大人にな

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競技ダジャレ選手

競技ダジャレ選手

 地元は雪こそ降るんですが滅多に積もりません。10年に1度積もればいいほうで、しかも地面を薄っすらと白いものが覆う程度です。それでも、地元では雪が積もれば大騒ぎで、みんなどうにか雪をかき集めて泥まみれの雪だるまを作りますし、カメラで白くなった景色を撮りまくります。まだアナログなカメラしかなかった時代だってわざわざカメラを出してきて撮りまくったと両親は言っていました。

 ところで、人が地元を離れる

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とんち医師の駐車場看板

とんち医師の駐車場看板

 近所に小さな診療所があったんです。お年を召した男性医師が奥さんとふたりで経営していたようです。施設の名前は医師の名字に医院をくっつけた王道パターンで、仮にここでは山田医院としておきましょう。山田医院は住居も兼ねていたようで、診療所の前にある小さな駐車スペースには山田医師の車が止まっていました。たまに山田医師が奥さんと一緒に車に乗ってどこかへ行くのを見たことがあります。

 じゃあ、車で来た患者は

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パンダはリンゴに誘惑される

 子供の頃、牧場で牛が餌を食べる様子を見ていると、牛にも食べ物の好みがあると気づきました。牛の餌場には牧草を刈り取ったものとペレット、すなわち固形の餌を混ぜたものがご飯として用意されていたんですが、牛はまずペレットだけを器用に食べ、ペレットを食べ終わると仕方なく草をはみ始めたんです。好きなものばかり食べるとすぐ母親に怒られていた私には非常に共感を覚えました。

 他の動物もそうみたいです。例えば、

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賞味期限チャレンジ

賞味期限チャレンジ

 食べ物にあまり頓着がないんです。「こんなうまい高級肉を食べたらいつもの肉に戻れなくなる」なんて言う人がたまにいらっしゃいますが、私に限って言えば全然戻れます。そりゃあ、良い肉はうまい。でも、いつも食べてる肉だってうまい。全く問題ありません。

 何なら、腐ってなければ賞味期限が多少過ぎようと全然大丈夫です。ですから、たまに友人から賞味期限が過ぎたインスタント食品やお菓子をもらうことがあります。「

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髪型で探る先生の機嫌

髪型で探る先生の機嫌

 怖い先生というのは今でもいると思いますが、どんなレベルで怖いのか私には全然分かりません。現在の先生を何人も観察して昔と比較できればいいのですが、そんなことをしたら他ならぬ私が怖い先生より遥かにヤバいやつになってしまいます。調査は難しいと言わざるを得ない。

 ただ、私が学生をした頃には確実に怖い先生がいました。多くは男性で、まれに女性でもいました。往々にしてこういう先生は気が短く、何かあれば教育

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魚介米

魚介米

 あんまり役立つ情報を発信していない自覚はあるんですが、いろいろやってみるもので、たまに得することが起きるんです。

 その昔、面白い名前の高校を調べて載せるということをしておりまして、noteにも載せています。例えば、下記の記事みたいな感じです。

 高校に魚介類っぽい、いや発音だけなら魚介類そのものの名前ばかり集めた記事です。もちろん、「うちの高校は魚介でいくぜ」と意気込んでつけた名前ではなく

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意図せぬ主従関係

意図せぬ主従関係

 知人から聞いた話です。ここでは一ノ瀬さんとしておきます。

 一ノ瀬さんは女性なんですが、まあ幼馴染がいたわけです。幼馴染を仮に山田さんとしておきましょう。知人と山田さんは家が近く、小学校に入ってばかりの頃からの知り合いです。必然的にあだ名で呼び合う形となり、そのあだ名もとにかく可愛らしい呼び方で、ふたりの距離の近さを感じさせるものでした。

 そのままふたりとも特に何事もなく中学校へ進学するわ

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もう少しちゃんとした自己紹介

もう少しちゃんとした自己紹介

 私のnoteは「やってみたら」と誘われて登録してから1年放置し、「1周年記念」のバッジをもらって初めて「こりゃヤバい」と思って本格的に更新するようになったという事情があります。そのため、自己紹介記事は謝罪と言い訳と将来の不安にあふれていました。それが以下の記事です。

 それは自己紹介としてどうなんだと、ずっと思っていましたので、「2周年記念」と「365日毎日連続投稿(記事)」のバッジ獲得を機に

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ヒマワリの種を忍ばせて

ヒマワリの種を忍ばせて

 世の中にすごいものはいろいろありますけれども、草もなかなかすごいですよ。暖かい頃、ちょっとでも地面があると、いつの間にか生えている。テラスに薄く積もってしまった土埃の上に小さな双葉が見えた時は感心すると同時に呆れました。こんな生き延びる勝算がなさそうな場所にもワンチャン狙って根を下ろすなんて、チャレンジャーにも程があります。

 草の何がすごいって、侵入しているところがほとんど見えない点です。草

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かわいそうなぞうじゃない

かわいそうなぞうじゃない

 上野動物園でゾウを見たんです。

 上野動物園、ゾウとくれば思い浮かぶのは児童文学作品「かわいそうなぞう」です。

 戦争下における動物園を描いた有名な作品で、事実と異なる点もあるようですが、実際の事件に基づいた悲劇となっています。

 空襲で破壊された檻から動物が逃げて人に危害を与えるかもしれないと考えた軍部は、動物園側に飼っている動物の殺処分を命令します。最初は毒による処分を試みたんですが、

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2代目寿司寿司詐欺

2代目寿司寿司詐欺

 社会人になって間もない頃でした。年末の気配が色濃い、ちょうど今くらいの季節です。いつものように職場で働いていると、入口に近い営業部がにわかに騒がしくなりました。パーテーションの影から覗き見ると、白い調理服を着た、いかにも板前さんといった格好の男性がオフィスにいて、営業部の人と何やら楽しそうに話しています。

 用が済んだのか、板前さんはあっという間にいなくなったんですが、やがて営業の人たちが口々

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