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詩・散文

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#エッセイ

哲学・日記・メモ「詩? それとも物語?」

哲学・日記・メモ「詩? それとも物語?」

詩?それとも物語?

●世界の開闢の瞬間に立ち会い、「開闢」に祈りを捧げまたは賛美するのが「詩」なのだとしたら、「開闢」の現場に立ち会い、「開闢」そのものを問う、その問いのstanceに固執するのが「物語」なのではないだろうか?
●「開闢」などと書くと、それは出来事の因果をさかのぼり歴史として記述されなければならない、と考えるかもしれませんが、「開闢」はそのような歴史的遡及によって知られるのではな

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詩・散文 「夏の日」

詩・散文 「夏の日」

夏の日

青い空へ 青い風船が                             ひとりぼっちで昇っていくよ                                       
向日葵の手を振っている
丘の
上の
そのまた上へと

きえていくよ

夏の日の午後のことでした

2011年9月 岡村正敏

詩・散文 「いちめんの菜の花」

詩・散文 「いちめんの菜の花」

いちめんの菜の花

嬉しくて
嬉しくて嬉しくて
嬉しくって もう
いちめんの菜の花が
いちめんの菜の花が
いちめんの菜の花が
まんめんの笑みを湛えて
ゆれている

2021年3月19日 岡村正敏

哲学・日記・メモ 「少しだけさみしい」

哲学・日記・メモ 「少しだけさみしい」

少しだけさみしい

「原初的なもの」あるいは「根源的なもの」を志向する方々はとっても多くて、そこへの回帰を「真理」を掛け合わせて求めていたりする事は、いや増す事態であったりする。そういうstyleを楽しんでいるだけの方もいれば、最重要事項として己の存在を真剣にそこに賭けてしまったりしている方もいたりする・・・。

でも私は違うな。私は回帰ではなく「原初的・根源的なものから原初的・根源的ではないもの

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哲学・日記・メモ 「メモ 観念の独裁者としてのヘンリー・ダーカーとアドルフ・ヴェルフリ」

哲学・日記・メモ 「メモ 観念の独裁者としてのヘンリー・ダーカーとアドルフ・ヴェルフリ」

メモ 観念の独裁者としてのヘンリー・ダーカーとアドルフ・ヴェルフリ

●「触覚」は対象との距離が0であるとに安寧せんとする。
●「聴覚」は距離が0でない事を知っており、0に歩み寄ろうとする。
●しかし「視覚」はこの距離をどこまでもたもとうとする。対象に歩み寄りつつ距離を隔てようともする。そういうジレンマに悩み且つ愉しむのが「視覚」。
●では「観念」はどうか?「観念」はむしろ、対象との距離云々ではな

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詩・散文 「くらげ」

詩・散文 「くらげ」

くらげ

空のような海のような なかで 漂っている

くらげ

空のような海にそまって
いったいおまえのどこが生きているっていうのか
そんな命のおおきな謎を 透けた体にいっぱいに満たして
空のような宇宙にそまって
宇宙のような海にそまって
海の底を日々の寝ぐらにしている

くらげ

晴れた真夏の昼時などに
たまには海面に浮かんできては空にあそび
星降る春の真夜中には 宇宙を旅する夢を見る

くらげ

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哲学・日記・メモ「酷薄な人間と情に厚い人」

哲学・日記・メモ「酷薄な人間と情に厚い人」

酷薄な人間と情に厚い人                       酷薄な人間が考える間もなくとっさに人を助けてしまい、時の人となることだってある。                             情に厚い人が、熟慮の時間が長くある故に、あらゆる可能性に情を傾けすぎて身動きが取れず、結局何も行動を起こせずに誰も助けらないことだってある。                           

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詩・散文 「夜明け」

詩・散文 「夜明け」

夜明け                               ああだから夜よ 明けてくれるなよ
一つ目の大巨人の凶暴な目が 焼き尽くす眼差しが
街の彼方から瞼を開いてしまうから
陰を塗りつぶし影に追いやる黄金の眼差しが陰を殺して
街は甲虫の背の黒光にも似て黒光る                   黒光る
その眼差しの独裁者よ!
お前は知らないのかそれとも忘れてしまったのか

 夜が明けるか

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詩・散文 「長く生きる事の倫理・覚書」

詩・散文 「長く生きる事の倫理・覚書」

「長く生きる事の倫理・覚書」                    我慢強い事と臆病である事は似ている。しかし勇敢であって人は何歳まで生きられるのか。些細な事にさえ大概人は臆病で、その方が現実的であったりする。つまり、我慢強いふりをして臆病であったりと・・・。それでも、もし私が倫理的であろうとするならば、認識し続けるしかないのではないか?歴史を認識し時代を認識し状況を認識し、まさに目の前で起こって

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詩・散文 「ぞう」

詩・散文 「ぞう」

ぞう                                 

おい ちょっと 
考えても見ろよ
鼻でものをつかむんだぜ?
りんごでも 丸太だって
鼻で100キロもちあげるんだぜ?

ほら 
ちょっと
見てみろよ
あたまにちょっぴり毛が生えてるんだぜ
禿げてるわけじゃ ないんだぜ
生まれたときから子供も 大人も
あたまに小鳥をのっけてるんだぜ

真黒い瞳を覗き込む

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詩・散文 「人間のような人間に」

詩・散文 「人間のような人間に」

人間のような人間に

道を
懸命にあるいている まるで
足のような人がいる

空に
せっかく開いたたなごころを
骨軋み爪食い込んでも尚 握らんとしている まるで
拳のような人がいる

穏やかにたわんだのどかな風景が 
まるでのんきに その日暮らしに弛緩した
おなかのような人間や

だだっ広い粗雑な寛大さが
魅力であり魅力である
背中にすぎない セナカな人間

時には足の裏のような
時には右手の小指

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詩・散文 「人生の完結に向けたケアについて覚書」

詩・散文 「人生の完結に向けたケアについて覚書」

人生の完結に向けたケアについて覚書

その人の最後の段階で、その人生をどう締めくくるかは、どのような環境でどのような人と関係を築くか、が鍵となる。「どのような人」、このもっともな担い手はケアする者であろう。終わりよければすべて良し・・・とは言い過ぎかもしれない。しかし、その人の人生をよいものとして色づけるか、惨めな挫折として印象付けるかは、ケア如何にかかっている。ケアは人の一生をそのように左右する

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詩・散文 「粉雪の舞う夜に」

詩・散文 「粉雪の舞う夜に」

粉雪の舞う夜に

幾千万の粉雪がひらひらと舞い降りていく。舞い降りて地に重なって消えていく。 そんな光景を見ていると、かつて幾千万もの人々が生れ落ち、総て異なる生を歩み、 例外なくこの世から去っていったと言う事に、静かな衝撃を受けざるを得ない。  
                       
誰一人としてこの世界で生き残ったものはいないのだ。そしてこれからもいないのだ。 そんな当たり前の想念が

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