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詩・散文 「人間のような人間に」

人間のような人間に

道を
懸命にあるいている まるで
足のような人がいる

空に
せっかく開いたたなごころを
骨軋み爪食い込んでも尚 握らんとしている まるで
拳のような人がいる

穏やかにたわんだのどかな風景が 
まるでのんきに その日暮らしに弛緩した
おなかのような人間や

だだっ広い粗雑な寛大さが
魅力であり魅力である
背中にすぎない セナカな人間

時には足の裏のような
時には右手の小指のような
小指の第一関節の反り加減のような人間だっているだろう

つむじのような
おへそのような
心臓のような
耳朶のような人々も 今後出あわないとはかぎらない

でも
ふと
人間のような人間に いつかはあえるのだろうか
なんて思ったりする
それから
それともあえないのかな なんて疑問を付して
きっとあえないに違いない と結論するのは
私が未だ人間の相貌を知らないでいるからに違いないのだけれども
        

                      2014年 岡村正敏

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