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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2024年3月の記事一覧

溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

溢れる「過剰流動性」の "器" - 「逆イールド」の米国債 → ナスダック → ビットコイン、日経平均、そして...

 2023年、シリコンバレー銀行(SVB)やシグチャー銀行を吹き飛ばした米国債の "暴風雨” 。早期「利下げ」騒ぎで「逆イールド」を形成したが今や完全に行き詰まり。相場のダイナミズムを失っている。大やられした米銀もFRBの監視の目が厳しくなり米国債の "器" は一杯。商売あがったりである

 低調な米国債市場と歩調を合わせるように、相場を牽引してきたナスダックや ”マグニフィセント7” も上が詰ま

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「欲望」と「客観性」のバランス

「欲望」と「客観性」のバランス

 これは1987年のヒット映画「ウォール街」で主演のマイケル・ダグラスが演じていた有名なスピーチだが、いかにも ”アメリカらしい”

 一方日本には:

 なんて歌もある。日本的思想では「欲望」は抑制した方がいい

 どちらが "正しい" のだろうか?

 20年以上マーケットで仕事をした感覚で言えば、「リスク」「投資」に関しては「欲望」もその抑制も両方必要。トレーダーの仕事なんてその間のせめぎ合

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「新NISA」は「投機」?

「新NISA」は「投機」?

 立場上色々言わなければいけない事情はわかる。だが年初からの「円安」を「投機」というなら、月間2,000億円近くもの「オルカン」(オールカントリ-)やS&Pなどの「新NISA」は「投機」なのか?

 どうも「投資」と「投機」の定義が曖昧だ

 良く出て来る ”ファンダメンタルズ” もそう。優秀な官僚がついているのだから、もっと*データに基づいて定量的分析など具体的な説明をすべき。一般庶民にはわから

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やっぱり「インフレ」しかない

やっぱり「インフレ」しかない

 地味ながら3/21に金融政策の ”予想外” が相次いだ

 対照的な2国だが、現在の世界の経済状況を端的に現していて興味深い

 まずスイスと言えば元々 ”世界一物価の高い国” 。それだけに今回の「インフレ」局面でもCPIは+1%台で低位安定しておりそれほど「利上げ」もせずに済んだ。日本とも共通するが世界一の「お金持ち」国家と言えるだろう

 これを見て 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下

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なぜアメリカ人は@7%の住宅ローンを借りるのか?

なぜアメリカ人は@7%の住宅ローンを借りるのか?

 17年振りの「金融引締め」に世間は大騒ぎ。特に住宅ローンの 「固定金利」か「変動金利」か。ー 「銀行」の立場から考えて見る。|損切丸 (note.com) の議論が喧しい

 ここで一つ、 "ある疑問" を提起してみよう

 住宅ローンに関しては2つ論点がある:①「資金繰り」と②「投資」だ

 ①「資金繰り」

 日本における「変動金利か固定金利か」の議論はこの「資金繰り」に終始している。つまり

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さらば "異次元" - 次に待ち受けるのは「利上げ」催促相場

さらば "異次元" - 次に待ち受けるのは「利上げ」催促相場

 とタイトルは付けたが、「損切丸」の第一印象は「結構思い切ったな」

 実際「マイナス金利解除」するとどうなるのか?|損切丸 (note.com) では「マクロ加算残高」を残す予想をしたが、特殊な「三層構造」↓ は崩れ ”元来の準備預金制度” へ戻る。これで@0.10%の「付利」対象は一気に300兆円以上増え、日銀は年間約▼3,000億円のコスト持ち出しになる

 もっとも増えた▼3,000億円の

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はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅳ - 狙われた日本人 ≓「新NISA」

はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅳ - 狙われた日本人 ≓「新NISA」

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”|損切丸 (note.com) からの続き

 まあこれだけ報道が続けば、明日(3/19)「マイナス金利解除」を見送る方が "サプライズ" となるので、余程のアクシデントでもない限り決定となるだろう。能登地震がなければ1月だったのかもしれない

 今朝の猛烈な「日経平均」の買い戻しで判るようにヘッジファンド(HF)だって

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「タラントンの例え」と日本人

「タラントンの例え」と日本人

 娘がいわゆるミッション系の学校に通っていた関係でこの話を聞いてきた奥さんがショックを受けていた。曲がりなりにも英銀に22年勤めていた筆者は何となく理解できたが「清貧思想」が染みついている日本人には理解し難い話かもしれない

 この例え話には「お金」以外にも様々な解釈があるのだが、ここでは敢えて日本人と「投資」の話にしてみよう

 真っ先に思い浮かんだのは「地中に埋めた1タラント」≓「銀行預金」。

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勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険

勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険

 もうECBは完全に「利下げ」前のめり。全くこの人達は何を言っているのだろう。どうもきっかけは天然ガス価格の急落のようだが正直腹が立つ。そもそも「戦争」の引金になったのはロシアへの過剰なエネルギー依存。アメリカからバカ高いガスを買わされてイライラしているのは判るが自業自得。そう考えるとメディアを使って「停戦」へ導こうとしているのは見え見え。舌の根も乾かぬうちにロシアと手を結ぶのではないか

 ヨー

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実際「マイナス金利解除」するとどうなるのか?

実際「マイナス金利解除」するとどうなるのか?

 高めの米CPIであきらめるかと思いきや はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - "脅し" に屈した方がやられる|損切丸 (note.com) で "売り崩し戦略" に出ていたファンド勢は簡単にはあきらめない。まあ売ったり買ったりを繰り返して「損」を薄めようと藻掻いているようにも見える

 さて「マイナス金利解除」が大分 "リアル" になってきたので、現状の確認とその変化について考察を加えてみよ

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想像以上にしつこい「インフレ」

想像以上にしつこい「インフレ」

 「ドル円」ショートを仕掛けていたウォール街やファンドの「ドル金利低下」の願い虚しく、想像以上にしつこいアメリカの「インフレ」。 やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) ということなのだろう。その割に株価は意外に底堅い

 続・逃げ出す「お金」。向かう先は... @2024|損切丸 (note.com) で「貸出」の鈍化や「預金」の流入を受け、欧米の銀行

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はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”

はっきりした「ドル建日経平均」戦略Ⅲ - ヘッジファンド ”恐るるに足らず”

 はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 注目すべきは「FX」フロー|損切丸 (note.com)
 続・はっきりした「ドル建日経平均」戦略 - 欧米の ”小鬼” たちに振り回されるな!|損切丸 (note.com)
 からの続編

 「マイナス金利廃止」については筆者はかねてより「3月派」だったが、何だかメディアも市場関係者も急に「4月派」から鞍替え。日銀関係者からドンドン ”気球” が上がって

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2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

2024年は「お金の大移動」の年 - FRB「利下げ」の行方 

 注目の2月米雇用統計はまた投資家泣かせの微妙な数字。NFPのヘッドライン+27.5万人を見て「先月より減った!」と米国債は買い(金利は低下、5年債は一時@4%)、ドル円は売りに飛びついたが、そもそも+20万人台は弱い数字ではない。慌てて6月に「利下げ」を急ぐ理由には成り難い

 年内の「利下げ」は依然7月開始~▼0.75%が有力だが、面白いのは30年金利が指標発表前よりむしろ上がったこと。1つは

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ヨーロッパから聞こえてくる ”悲鳴” - AI相場は高速回転の ”インフレマシーン”

ヨーロッパから聞こえてくる ”悲鳴” - AI相場は高速回転の ”インフレマシーン”

 ECBは大方の予想通り政策金利を据え置いたが「インフレ率」の見通しを引下げた事から一時ドイツ国債等買われ金利が低下。やはり中国・ロシア傾斜のツケは重く本当に景気が悪いのだろう。フランス、イタリアなどラテン国家群を中心に「早期利下げ」を求める ”悲鳴” が聞こえてくるようだ

 これに対しかつての「世界のタカ」ブンデスバンク(ドイツ中央銀行)一派は拙速な「利下げ」には真っ向反対。中国傾斜で景気が悪

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