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風の歌を聴け/村上春樹考察

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風の歌を聴け/村上春樹 考察5

風の歌を聴け/村上春樹 考察5

考察5になります‼︎

引き続き、なぜ知らない主人公の僕が彼女の部屋に泊まっているのか、目覚めた彼女に説明しているシーンから入ります。端的に言えば、ジェイズバーの洗面所に泥酔して寝転がっていた彼女を介抱して家まで送り届けたのですが、彼女曰く、なぜそのまま泊まっていったのかについて不服に感じているようです。それについて僕は、昔、酒を飲んで帰った後に急性アルコール中毒で死んだ友人がいたことで心配になっ

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風の歌を聴け/村上春樹 考察3

風の歌を聴け/村上春樹 考察3

引き続き考察をしていきたいと思います。

今回から本題のストーリーへと入っていきます。ここからは僕が夏の間の18日間に体験したことが書かれています。

金持ちなんて・みんな・糞くらえさ。

鼠という新たな登場人物の台詞ですね。バーのカウンターで僕と隣り合ってビールを飲んでる最中に大声でどなったようです。ただ狭い店内に多くの客が溢れて騒ついている為、誰も気にしない様子が書かれています。

それはまる

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風の歌を聴け/村上春樹 考察1

風の歌を聴け/村上春樹 考察1

1979年4月発表の第22回群像新人文学賞受賞を受けた村上春樹の処女作を、私なりの解釈で読み解いていきたいと思います。

初めて読んだのは約5年前、読み終えた感想はよく分からない…でした。何が面白いの?と首を傾げた方も多いのではないでしょうか?でも不思議と何か余韻が残る感覚。もう一度読み返す。おや?それから何度か読み返していく内に、色んな点が繋がって、面白さが溢れてきました。

もしまだお読みでな

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風の歌を聴け/村上春樹 考察4

風の歌を聴け/村上春樹 考察4



引き続き考察4に入ります‼︎

話は打って変わって、主人公の僕が幼き頃の出来事を回想する場面となります。僕はひどく無口な少年であった為、両親がそれを心配して、知り合いの神経科医に通わせたとの事です。そこではお菓子やジュースを貰えたり、様々な方法で僕の心を開こうとする優しい医者とのやりとりが詳しく書かれています。

文明は伝達である。もし何かを表現できないなら、それは存在しないのと同じだ。

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風の歌を聴け/村上春樹 考察2

風の歌を聴け/村上春樹 考察2

前回に引き続き考察していきたいと思います‼︎

僕にとって文章を書くのはひどく苦痛な作業である…それにもかかわらず、文章を書くことは楽しい作業でもある。生きることの困難さに比べ、それに意味をつけるのはあまりにも簡単だからだ。

文章を書いたことのある方、特に小説を書いたことのある方なら、深く頷ける話であると思います。私も趣味で小説を書きますが、今まで数年かけて書いてきた数々の文章の中に、実は一つも

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