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若きサムライのために (2)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回)

僕が高校生の頃までは、「いい大学に入ればいい会社、大企業に就職できて幸せになれる」という妙な方程式(?)のような風潮が広まっていました。

しかし、大学生になる頃に我が国は不況に突入。平成9年(1997年)には、絶対に潰れないと言われていた銀行が倒産しはじめ、最も衝撃的だったのは、四大証券会社のひとつ山一證券の破綻でした。押しも押されもしないはずの大企業がまたたく間に消滅し、社員は全員解雇されました。
「いい会社、大企業」でも、必ずしも幸せにはならない現実を突きつけられました。

そして、就職活動を迎える歳になると、企業は氷河期といわれる採用抑制に突入、就職できるかどうかが問題という洒落にならない状況が出来しました。

先にも述べた通り、価値観というものは常に変わります。ファッションや音楽の流行を追うように、変わってゆくものを要所要所で押さえておくことはもちろん大事だと思います。

その一方で、皆さんの将来にとっては、流行りすたりにとらわれない普遍的な認識を、早いうちに身に着けておくこともまた、大きな役に立つのではないかと考えます。

その認識として、3点挙げたいと思います。即ち、
1. 自分で考えること
2. 説得力をもつこと
3. 知識と教養を深めること
が必要と考えています。

まず、自分で考えることについて。
考えるなんて当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、我々は往々にして、自分で考えているつもりでも思考停止に陥ることがあります。

「学校で先生が言ってたから」
「雑誌に書いてあったから」
「テレビで池上彰が言ってたから」
これらは実は典型的な思考停止です。

例えば、先日「トイレのハンドドライヤを使うとウィルスが拡散する」との研究結果がニュースで報じられました。
それを聞いて「えっ何それ不潔」と感じた人もいたかもしれません。
しかし、この研究を発表した米国の大学は、実は欧州のティッシュ業界から資金提供を受けていることが判明しています。
紙の需要が減っては困る人たちが一枚噛んでいたと分かれば、このニュースはどれほど信頼に足るといえるでしょうか。

確かに、洗浄が足りない手をかざせば、ドライヤの風圧で残った菌が飛び散る危険があるのは事実のようです。しかし、菌が風に煽られれば飛散するというのはいわば当たり前のことで、ウィルスを恐れるのならば、自分が手を洗うときにどれだけ丁寧に石鹸を使ってキレイにすすいでいるのか、それでもドライヤが嫌ならば、自分のタオルやハンカチをどれだけ清潔にしているのかを考える必要があるのではないでしょうか。

「ウイルスが拡散」という文字だけを見て騒ぐのは、自分で考えていない、思考が止まっているという自戒が必要だと思います。

そして、自分で考えるために、世の中の物事に関わる、説得力を自分で持つ必要があると考える次第です。説得力とはすなわち、知識と教養を深めることにもつながると考えています。

(1,198字)

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