マガジン

  • プロ空港おじさんの憂鬱

    空の旅にまつわる400字コラム

  • 1995

    一生に一度の大学受験なる体験

  • 若きサムライのために

    中高時代の恩師に依頼されて書いたショートコラム(全7回)

最近の記事

【書評】『緒方貞子 戦争が終わらないこの世界で』小山靖史(NHK取材班)・著

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のトップを10年間務めたことで知られる緒方貞子を追うNHK取材班。 外交官だった父の転勤に伴い、幼少期をサンフランシスコで過ごし、のち支那に異動した際、父は英語を忘れないようにと日系アメリカ人の家庭教師をつけたという。 平成21年(2009)頃、僕はアフリカ某国の駐日大使の離任レセプションに参加した折、彼女が来賓としてスピーチするのを目撃したことがある。 当時既に80を越えていたのに、原稿も読まずに滑舌の良い英語を話していたのが凄く印

    • 令和6年/2024年6月の総括と雑感

      5月末に恩師を囲む会を催して、それからあまり経っていないと思っているうちに、6月があっという間に過ぎてしまった。 (1) 読書 今月は70冊読んだ。1月からの通算は429冊。年間目標200冊に対して達成率215% Q2(第2四半期)のベスト26冊を別記事にまとめている。 (2) 映画 7本観る。 『ちひろさん』 有村架純主演の話題作。第三者として観ているぶんには、主人公やそれを取り巻く人たちの生き様は面白いのだろうけど、自分の身近なところや親類にいた時に、心から共感できる

      • 2024 Q2 Best Books

        令和6年(2024) 4月〜6月で245冊も本を読めた。 この四半期で読んだ本の中から約1割の26篇を選んだ。 必ずしも良いと思ったものだけではないけれど、印象に残ったものとして選んでいることをお断りしておきたい(読了順)。 『そうか、もう君はいないのか』 城山三郎/著 『平成監獄面会記』 片岡健/著 『男のリズム』 池波正太郎/著 『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない』 冬野夜空/著 『証言 班目春樹 原子力安全委員会は何を間違えたのか?』 岡本孝司/著 『紳士協定 私

        • 【書評】 『同時通訳者の頭の中』関谷英里子・著

          題名の通り、同時通訳を手掛ける筆者が、ノウハウや心がけを惜しげもなく開陳してくれる。 本書の冒頭で筆者が指摘し、何度も引き合いに出される通訳の要諦「イメージ力」「レスポンス力」は、たしかにその通りだなと強く頷ける。 前職で、代理店向けのディナーで本社の社長のスピーチの通訳をやらされて(さすがに同時通訳ではなく逐語訳)、俺は1外フランス語なんだから英語出来ないのに!と内心バクバクながら、何とかやり切ったことがあった。 あとになって、代理店の方から 「ミズノさん、通訳凄かっ

        【書評】『緒方貞子 戦争が終わらないこの世界で』小山靖史(NHK取材班)・著

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        • プロ空港おじさんの憂鬱
          2本
        • 1995
          14本
        • 若きサムライのために
          7本

        記事

          プロ空港おじさんの憂鬱(2) 優先搭乗はバーチャル・セイフティ・カー

          この数年、航空会社の上級会員ステータスのおかげでエコノミークラスでも優先搭乗させて貰っている。 バーチャル・セイフティ・カー(VSC)というのはF1のルールで、レース中の事故処理など徐行が必要な局面で、セイフティ・カーは先導しないけど自分たちで減速して距離を保てというもの。 これが何の関係があるのかと首を傾げる向きもあろうが、優先搭乗の前には事前改札といって、乳幼児連れ、お年寄り、障害者の方が乗る。 優先搭乗の客が急ぐと、その人たちが座る前に追いついてしまうので一定の距離を

          プロ空港おじさんの憂鬱(2) 優先搭乗はバーチャル・セイフティ・カー

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          令和6年/2024年5月の総括と雑感

          5月の連休は特にどこにも行かず、気がついたら終わってしまった。月初から何となく気分が優れなかったのだが、月末にかけて復調してきた感じ。 高校卒業前の1994年に早期退職してご出身地の山形に帰ってしまった中高時代の恩師を、東京にお招きして囲む会を月末に開催した。 元々は、昨秋同期で飲んでいた際に、僕がその先生と山形で不定期に会っていると話したところ、じゃあ今度は皆で山形に行こうという話になったもので、実際にスケジュール調整まで進めたものの皆の都合がつかず、それならば先生を東京

          令和6年/2024年5月の総括と雑感

          公開予定地

          あとで書きます

          【800字コラム】 本来の実力、または受験こじらせおばさん

          近年うちの母が明かしてくれた話。 高校の卒業間際に、同級生Aのご母堂が 「フランス語受験だと大学に簡単に受かるんですって?」 言ってきたそうな。Aは浪人が確定していた。 突然言われて母は絶句してしまったそうだが、フランス語での大学受験がそんなに簡単だというのなら、Aも中学入学時点(母校は中高一貫校)でフランス語を選べたのに、自分で英語を選んでおいて、結果が出たら文句を言うのは理解に苦しむ。 実はうちの両親は潰しの効く英語を勧めてきたんだけど、僕は 「後になって英語を習う

          【800字コラム】 本来の実力、または受験こじらせおばさん

          プロ空港おじさんの憂鬱(1) JALと雪の女王

          空の旅にまつわるエピソードを、月1回・400字で書いてゆきたいと思う。プロ空港おじさんというのは、6年ほど前に知り合った起業家の方に命名されたホーリーネーム(?)で、当時から国内出張が多く、その際の写真をよくSNSにアップしていた僕を形容したもの。 さて……… 僕は大阪に出張して時間に余裕があると、帰りは関空からの最終便にしている。いつも混雑している伊丹に較べると余裕を感じるし、出発が遅いので街中でのんびり夕食をとっていられるということもある。 その関空便での出来事。

          プロ空港おじさんの憂鬱(1) JALと雪の女王

          【書評】『リテイク・シックスティーン』豊島ミホ・著

          高校の始業式、初めて出会ったはずのクラスメートが微笑みかけてくる。 もう一度人生をやり直すという荒唐無稽な彼女の言い分が、まんざらウソではなさそうなことに気づいて戸惑う主人公。 SF小説にありがちなタイムスリップは、私を、彼女を、どう動かしてゆくというのか。 未来の世界で人生を投げ出してしまったという彼女に、16歳の主人公は問いかける。 でも、歳をとった読み手の僕は思ってしまう。 高校生の今は対等のクラスメートの親友でも、10年以上経って、働く場所も暮らす世界も変わってし

          【書評】『リテイク・シックスティーン』豊島ミホ・著

          令和6年/2024年4月の総括と雑感

          4月になって、遅れていた桜が満開になった。僕の幼少期は桜といえばこれくらいの時期だったので、気候変動は確実に起きているということなのかもしれない。 3月末からの謎の体調不良を少し引きずってしまい、なかなか気持ちが晴れない日が続いていたが、気候が穏やかになるにつれ恢復してきた。とはいえ、仕事も毎日詰まっていて疲労の溜まる1ヶ月だった。 山形で昔の恩師と飲みに行く。これまでも東北に用事が出来ると、何とか山形泊まりにして不定期にお目にかかってきたのだが、先生が早期退職されて今年

          令和6年/2024年4月の総括と雑感

          【書評】 『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』

          たまたまKindle Unlimitedのおすすめに出てきたので、予備知識なしで読んでみた。 内容は『君の膵臓をたべたい』や『君は夜空に光り輝く』の流れをくむ難病ヒロインもので、予期された結末に向かう過程で起きる出来事も大きく変わらない。 本書は、主人公がカメラを操ることが大きな特色なのに、シャッターを切るまでの描写や、どういう意志をこめてファインダーを覗くのかといった、写真にかけるドラマを文字に起こそうとしないのはとても残念な気がしてしまった。 僕自身の乏しい経験から

          【書評】 『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』

          【400字コラム】 好きなものは好きと言える気持ち抱きしめてたい

          以前から申し上げている通り、思想信条が違っても、主義主張が一致しなくても、友達は友達。 困っていることがあればいつでも助けるし、僕に解決できることなのか否かは別として話くらいは聞きます。 全き一致を求め、異論を排斥するのは全体主義者の考え方です。 意見が違えば違うと言うし、相手が間違っていると気づけばそれは諫める。その議論を認めるのが民主主義ではないのですか。 剥き出しのストーブに子供がむやみに近づいたら「危険だ!」と時に怒鳴ってでも遠ざけるのはありふれた想像力であって、

          【400字コラム】 好きなものは好きと言える気持ち抱きしめてたい

          【過去の800字コラム】Vive la différence!

          【初出】 n-mizuno.com 2014年4月3日付 母校の大学で入学式があり、出身学科(外国語学部フランス語学科)に男子が20名も入学したそうな。定員60名だから実に3分の1。僕の代が14名で、それでも例年の倍と騒がれたので、平素どれだけ女性が多いか分かるだろう。12年間男子校で過ごした僕にとって、この女子校状態は過激にタフな環境であり、女性が多くて羨ましいなんて言われても、ちっとも同意できなかった。 フランスにはパリテ法という、政党の立候補者男女比率を1対1にする

          【過去の800字コラム】Vive la différence!

          令和6年/2024年3月の総括と雑感

          3月は、息子が中学を卒業。僕自身がそうだったけど中高一貫校なので、あまり大きな感慨はなく、しかも出張と重なって卒業式への出席も叶わなかった。 僕の人生は、高校3年間での蹉跌なり友情なり、そして僅かばかりの成功なりが、その後を大きく変えていると思うので、息子にとっても、色々な場面で多くのことを吸収してほしいと願う。 大谷翔平選手、結婚。 先月末に飛び込んできたビッグニュースだったけど、数多のメディアに振り回されることもなく、自らを律した記者会見を行い、そして球団広報を通じて移

          令和6年/2024年3月の総括と雑感