マガジン

  • プロ空港おじさんの憂鬱

    空の旅にまつわる400字コラム

  • 1995

    一生に一度の大学受験なる体験

  • 若きサムライのために

    中高時代の恩師に依頼されて書いたショートコラム(全7回)

最近の記事

プロ空港おじさんの憂鬱(7) 世界はプロ空港おじさんであふれてる

先日、10数年ぶりに中高の友人に会うと 「前に空港のラウンジでミズノを見かけたんだよ」 と言う。それはビックリ。 声かけてくれればいいのにと言いかけると向こうは続けて 「ダラスの空港で見かけたんだよ。あれはミズノだろうと」 いやいやいやいや、米国大陸は2006年以来行っていないぞ。 それを告げると 「そっかー、別人か。Fb開けてみて、ミズノがチェックインしてたら絶対本人だと思ったんだけど、アップされないから声かけなかったんだよ」 その判断は正しかったと思う。 SNSって周

    • 令和6年/2024年10月の総括と雑感

      10月は、秋恒例となっている原因不明の体調不良に襲われ、連日連夜頭痛と倦怠感に襲われる。 治しようがないので、頭痛薬やサプリを飲んだりして一時的に散らしてゆくうちに、月末にかけてようやく恢復に向かう。 以前、この季節に元気をなくしていた僕に声が小さいだの暗いとか面罵してきて、それでいて、前後して家族に「ミズノ君、元気にしてますか」などとLINEを入れてきたとかいう、さっぱり理解に苦しむ行動をしている人がいたことを思い出す。 当人にどんな意図があったのか今もってよく分からない

      • プロ空港おじさんの憂鬱(6) 空港にて

        20年以上前、アルジェリアに出張した帰途、パリのオルリー空港の入国審査で「お前はアルジェから来たのにEUのビザを持っていない」と言われ、別室に連行された。 ビザなしで来るアルジェリア人が後を絶たないのかも知れないけど、僕自身は日本人なのでどの国から入ろうがEUには90日間ノービザで滞在できる。 成田への帰国便が出発するド・ゴール空港までの距離は多少あるけど、十分な乗り継ぎ時間があるから時間の不安はない。いやむしろ 「取り調べだなんて蜂谷真由美みたいだ!イカす!イカす!」 と

        • 【400字コラム】 良かれと思って

          良かれと思って、って口にする人は時々いるけど、本当にそう思うんならば、当人の意向を第一に尊重していなければおかしい。 良かれと思っていたって相手の考えは全然違うことがあるし、こちらの思いはむしろ邪魔なこともある。「ワタシが自発的な善意をもってきてあげたんだからワタシの言い値の満額で買い取りなさいよ」というのは相手に良かれと思っているのではなく、自分の主観を押し売りしているだけ。このことは、僕自身失敗することもあるだけに強く自戒しているところなんだけど。 こちらの当面の希望

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        • プロ空港おじさんの憂鬱
          6本
        • 1995
          14本
        • 若きサムライのために
          7本

        記事

          令和6年/2024年9月の総括と雑感

          9月になっても連日真夏日が続いて、一体いつまで続くんだろうと思っていたら、秋分を境に一気に涼しくなって驚く。 長袖のシャツ1枚で涼しく過ごせる、夏と秋の間のほんの一瞬が、四季の中でいちばんスキなんだけど、今年はとりわけその期間が短くなりそう。 今月、台北訪問時に古本屋を初めてひやかす。 前段として、在日台湾人の友達のお子さんの為に以前絵本を贈ったことがあって、バイリンガルに育って貰う為に正體字版も探したんだけど、既に絶版と判明。が、台北の古本屋にあるらしいことを最近ネットで

          令和6年/2024年9月の総括と雑感

          2024 Q3 Best Books

          令和6年(2024) 7月〜9月で171冊の本を読んだ。 この四半期に読破した本から約1割の20篇を選んだ。 先四半期同様、良くも悪しくも印象に残ったものとして選んでいることをお断りしておきたい(読了順)。 『私たちの世代は』 瀬尾まいこ/著 『ネットと朝ドラ』 木俣冬/著 『記者たちの関西事件史: 昭和54年~平成22年』 産経新聞社/著 『100語ではじめる社会学』 セルジュ・ポーガム/編著、阿部又一郎・渡邊拓也・原山哲/訳 『アイルトン・セナ・フォーエバー』 アドリア

          2024 Q3 Best Books

          プロ空港おじさんの憂鬱(5) 男と女

          チャラ男の友人が、成田空港のチェックインカウンタで地上係員をナンパしようとして旨くゆかなかったと嘆いていて、そりゃ駄目だろうと僕は思った。 彼女たちは並み居る乗客を素早く捌いて、出発時刻に遅れないよう導くことに集中しているし、旅券やビザに不備があれば送り出した航空会社の責任になるので実は厳重に確認もしていて、短い時間に沢山のことをやっている。 友人が自分を絶世のイケメンだと思っていても、これから海外に飛んでしまう奴に誘われてどうすんだという、相手の気持ちが丸々抜け落ちてい

          プロ空港おじさんの憂鬱(5) 男と女

          【過去の800字コラム】 それ以前の問題

          (初出:n-mizuno.com 2015年4月19日付) 最初に勤めた会社で仕えていた上司が 「自分が悪く言われるのは、自分に徳がないから」 と言うのを聞いて、憑き物が取れたように気持ちがスッキリしたことがある。 いわれのない陰口や中傷であっても、自分に足りないものがある所為だという認識を持てば、そこに改善の余地が生まれる。自分が暮らす世界は、その目に映る景色だけではないことを知れば、やはり自分には至らぬ点があると知ることができる。 反対に、「自分は何も悪くない」という

          【過去の800字コラム】 それ以前の問題

          あの日

          きょうは、アルバイト先の仲間だった学部の先輩の法要に参列した。 彼女が突然に、そして衝撃的に旅立ってしまってから、28年が過ぎてしまった。 平成8年(1996)のあの日、大学2年生だった僕は前月末までフランスを旅していて、時差ボケが残っていたところに、F1中継を前夜に観てしまい、日本に戻りかけていた時間の感覚がまた欧州になってしまっていた。 当時、友達とのコミュニケーションはもっぱらイエデンだった。 インターネットや電子メールは大学の電子計算機センター(デンサン)に出向い

          【400字コラム】奇怪なイデオロギー

          朝ドラ『虎に翼』に突如現れた夫婦別姓議論。 モデルの和田嘉子が再婚して三淵姓になったのは昭和31年(1956)だけど、本当にあんな議論があったのか。 史実から4年後の昭和35年(1960)に、政治学者の中村貞子が結婚している。 ご主人が結婚に際して出した条件は「博士論文を書き上げて学位を得ること」だったという。 満州事変を論じた彼女の博士論文は、改姓後の名前で提出された。 のちの活躍でその名が知られることになる緒方貞子はご主人の姓だけど、旧姓でないからといって彼女の業績や

          【400字コラム】奇怪なイデオロギー

          令和6年/2024年8月の総括と雑感

          8月はお盆休みがあったけれど、特に遠出はしなかった。普段から出張の多い僕は良いけれど、家族のことを思えば何かしら考えておくべきだったかとも思う。 日航ジャンボ機墜落から39年。近年、日航元社員で博士号を持つとの触れ込みの女性がしきりに自衛隊による陰謀説を展開しているが、これは何年かに一度盛り上がるハシカのようなもので、余りにも現実離れした論理展開という気がする。 「自衛隊の訓練機または標的機が日航機と衝突し、証拠隠滅の為に123便を山岳地帯に誘導し、軍用機からミサイルを発

          令和6年/2024年8月の総括と雑感

          プロ空港おじさんの憂鬱(4) ゴロワーズを吸ったことがあるかい

          僕の初めての海外は平成4年(1992)、高校のカリキュラムで行ったフランスでのホームステイだった。 夏休みに南仏で3週間過ごした後パリで数日観光というのは、16のガキにはいかにも贅沢だったと今にして思う。 ニースからパリに向かう国内線は、今はもうないエール・アンテールだった。 この便のドリンク・サービスの時、隣席の級友が 「オランジーナ」 ぶっきらぼうに言ったら、CAが何やらまくし立ててきた。 早口なので言葉は聞き取れないけど、察した僕が 「プリーズをつけろってことだよ」

          プロ空港おじさんの憂鬱(4) ゴロワーズを吸ったことがあるかい

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(3)

          田中静壱陸軍大将・東部軍管区司令官は陸軍のエリートコースを歩んできた。 陸大優等卒業の栄典としてオックスフォード大学留学を許され、米国駐在武官時代にはダグラス・マッカーサー参謀総長とも親交があった。 昭和20年3月、東日本の本土防衛を担う東部軍管区司令官に就任するも、相次ぐ空襲を防げず帝都は壊滅。宮城まで被災して進退伺を提出したが、天皇陛下ご自身が慰留なさったといわれる。 田中の執務室は東部軍が接収した日比谷の第一生命ビルにあった。 8月14日。ご聖断が下ると田中は副

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(3)

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(2)

          鈴木の侍従長時代、若き阿南惟幾中佐が侍従武官として宮中に着任、互いに深く尊敬し合う仲となっていた。 天皇陛下も阿南の誠実な人柄を殊のほか気に入り、時代が下り阿南が師団長として中国大陸への出征が決まると、陛下から2人きりの会食に招かれた。 この異例の厚遇に阿南は感激を句にした。 「大君の深き恵に浴みし身は言ひ遺こすへき片言もなし」 陸軍内では派閥に属さず、実直な性格で人望が厚かった。 上官を平気で馬鹿呼ばわりする石原莞爾さえも 「阿南さんが言うなら」 と素直に従ったとされ

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(2)

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(1)

          鈴木貫太郎海軍大将は、日露戦争で敵艦のサーチライトを浴びるまで甲板で新聞を読んでいたほど肝が座っていたといわれ、更には敵艦を沈めまくったので「1隻は他人の手柄ということにして譲ってくれ」と上官に頼まれたほどの御仁。 第12代海軍軍令部長を最後に退官し、侍従長に着任する。 当初は宮中に入ることをためらい固辞を続けたが、説得にあたった山縣有朋が 「陛下も貴官の就任を希望されている」 と殺し文句を放ったとも言われる。 器の大きな侍従長として頼りにされる一方、軍部の横暴が広がる中

          【800字コラム】 ラスト・サムライたちの夏(1)

          【800字コラム】 Often

          高校1年の頃、C君というカナダ人が交換留学で学校に来ていた。 ある日そのC君が英語の授業で、先生からのリクエストで教科書の英文を読んでくれることになった。 僕のいた中高一貫校では中学入学時に第1外国語として英語かフランス語を選べるんだけど、僕のようなフランス語選択者は圧倒的に少なく、英語科の教員もフランス語を取るような異端児には冷たくて、第2外国語の授業には学生上がりの若い非常勤講師を宛てがうことが多かった。 ただでさえつまらない英語のクラスはかくして、学級崩壊になるべくし

          【800字コラム】 Often