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にがいよもぎ

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#創作

わたしはあの日、

わたしはあの日、

気が付いていたら書いていた。

詩、とはっきりは言えない。
詩のようなもの、でいい。
日記だと思ってもらっても構わない。

「わたしはあの日、」

様々なあの日の記憶が蘇ってくる。
わたし自身のあの日。

しかし、全てのあの日は「わたしだけ」の日々ではなく、必ず誰かが、何かが共に在った。

はっきりとした言葉にはならない、できない、何か、何者か。

無理やり葬ったものでもあり、傍観してきたものでも

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牛歩

牛歩

大荒れの海。

なかなか航海に出られないとしても、広げた地図を畳んで仕舞いこむ必要はないし、想像の中ではすでに海に出てる。
いつもそういう状態でいたい。

心が八方塞がりになって「窮屈」に感じることが、一番自分を弱らせる。

どんな苦境に立たされようが、自分の心だけは常に自由でいさせる。

どんなに美しい未来を想像していても、突然自分の予期せぬ事態に陥って、休むこと、停滞を余儀なくされることなんて

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苦艾と水源

苦艾と水源

わたしはあの日、
たしかに青空に向けて
一匹の子羊を放ちました

わたしはあの日、
たしかに放たれた子羊が
かつて駆けていた麦畑に立ち
地平線に向けて 歩き出しました

わたしはあの日、
たしかに地平線を跨いで
地に降り立った虹の根源を
探しはじめました

わたしはあの日、
たしかに辿り着いた虹の地点が
暗闇に飲まれていくさまを 見届けました

わたしはあの日、
たしかに暗闇に映された
オリオン座

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戯曲「バベルの塔の魚たち」

戯曲「バベルの塔の魚たち」

公園でお散歩中の夫婦が、匂いにつられて買ったパンを食べながらお茶の時間を過ごす。そんな夫婦の元へ絵描きの青年がやってきて、近くで油絵を描いてもいいかと尋ねてくる。

変わった匂いが好きな妻を通して、その夫と絵描き、全く別のタイプのふたりが会話を交わすこととなる。

たぶん正解なんてないよねってはなし。

バベルの塔の魚たち

短編3本(午後、夕方、夜の時間軸)の夕方はこちら。戯曲「下駄占い」

戯曲「下駄占い」

戯曲「下駄占い」

夕暮れ時、ひとりの青年が何か探し物をしている。そこへ通りかかった警官が、彼の探し物を手伝うことに。しかし青年は、無いことは確かだが、何を無くしたのかがわからないという。

みんな、何かを探してるなあってはなし。登場人物は青年、警官、占い師、看護婦の4人。

下駄占い

言うまでもなく、別役実さんの影響をモロに受けています。改行の都合で読みにくい箇所もあると思いますが、ご容赦下さい。

ちなみにわた

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