山本崇一朗 『からかい上手の高木さん』 : 恋の秘訣は…
書評:山本崇一朗『からかい上手の高木さん』第11巻(ゲッサン少年サンデーコミックス)
いまさら言うまでもないことなのだが、高木さんのからかい上手は素晴らしい。だが、この二人の関係が、こんなにも続いているのは、つまり11巻も続いているのは、西片くんが、いつまで経っても、その純情なボケっぷりにおいて「変わらない」からだろうと、いまさら気づいた。言うなれば、西片くんは「恋の天才」なのだ。
マンガだからと言ってしまえば、それまでなのだが、高木さんのみごとなからかい上手も、西片くんがあのように毎回、感情豊かに反応してくれなかったら、とうてい成立するものではない。
で、気づいたのが「恋の秘訣は、慣れないということ」。
恋のドキドキ(感動)というものは、「慣れる」ことによって否応なく薄れてしまう。
しかし、ここで言う「慣れる」ということは「学習」ということと表裏一体であり、「慣れない」ためには「学習」してはならないか、または慣れさせないために、感動の送り手が、常に「新鮮さ」を提供しなければならない。
もちろん、ものによっては「お約束」という一種の「慣れ」が喜びを与えるというパターンもあるのだろう。だが、「恋」というものは「お約束」で始まるとしても、やっぱりその継続は「新鮮さ」と「慣れなさ」なのだろうと思う。
したがって、本作が11巻も続いているというのは、本当にすごい事だとおもうし、その一方、これからどうするのかが、問われる段階に入ってきているとも言えるだろう。
同じパターンの繰り返し(エンドレス)を期待する読者も少なくない。下手に変えれば「これは違う」と言われてしまうかもしれない。
永遠の恋は無いとしても、恋を長引かせるには、変わっていくことも必要なのかもしれない。
初出:2019年7月5日「Amazonレビュー」
(2021年10月15日、管理者により削除)
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