猫柳 六

「ねこ」という名でタロットリーディングと占星術をしています🍎 満月が好き🌕文章を書く時…

猫柳 六

「ねこ」という名でタロットリーディングと占星術をしています🍎 満月が好き🌕文章を書く時の名は「猫柳六」です🖋 ●ねこ総合案内所🏠 https://lit.link/necodayo

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  • お手紙やりとり

    ねこと誰かがやりとりをする様子です。 追憶でもあるし、今でもある。

記事一覧

ダリダの病

「治りませんね。」とぼけた古い病院で私は医者にそう言われた。 この病院に来るとき、タンポポを見つけて「早く綿毛をふーっとしたいな」なんて呑気なことを思っていた。 …

猫柳 六
3か月前
15

終わりのうた

さよならのじかんです あとなんにちすごすだろう わたしたちはいつかおわる ぜんぶのきおくがスケスケになって ひゃくねんごにはみんないないよ きっとまたあつまろう かい…

猫柳 六
6か月前
5

さようならの歌

Goodbye everyone もうすぐ時間たちは すけすけになってく あとかたもなく消える さようならまたね たのしかったよね おおきく手をふる グッバイなつかしい顔 グッバイ悲…

猫柳 六
6か月前
7

メッセージ

Message それは繊細である Message とても強力である Message 気配さんがそっといて Message 無重力の愛と鞭 わたし達は今溶け合ってひとつになる 洒落た時間は甘い明日へ…

猫柳 六
7か月前
7

ディナー

2人が腰掛けて丁度良い正方形の小ぶりなテーブル 少し盛り上がった土と砂利の上に あらいざらしの白い木綿のテーブルクロス、四隅には赤い小さな鳥の刺繍 尾のあたりでほ…

猫柳 六
9か月前
7

時間しかいない日

常夏の海辺にある小さなバーの壁は 薄いみどり お客は私だけ ひとつかふたつこのバーの良いところをあげるとするなら 静かで冷たい それだけね ぬるいグラス 角が丸くな…

猫柳 六
9か月前
6

はじめてのつぶやき。。。えーとえとえと、まだ扇風機でがんばっている!

猫柳 六
1年前
5

父のフィクション

父は後にホラ吹きとなる。 わたしの出生の理由、それは「夫婦仲がもう一度良好」になるために、意図的に作られた命なのである。 すでに4つ上の姉はいたけれど。 祖父母と…

猫柳 六
1年前
26

こちら側から射る

タロットカード 「太陽」 とんでもなく広い居間にあなたとわたし2人がにらめっこしていても、何も始まらないどころかやがて経年劣化に移行していくだろう。 窓の外を見る…

猫柳 六
1年前
8

淡い嘘

ばぶ江さんは、わたしの娘。 不思議なご縁の人という感覚に包まれる。 ある5月、公園を散歩中に誰かに見られている気がした。 新緑が機嫌良く音をたてていて、毛がくるく…

猫柳 六
1年前
15

徒然なる夜迷ごと

大変に明るい月が出ていても、まばゆい星がきらめいていても、わたしの脳みその奥の部屋では、バースデーケーキの蝋燭に息を吹きかけた直後のような、しんとした黒い間が迷…

猫柳 六
1年前
3

たまごの王子さん江

お久しぶり わたしの12ヶ月を知ることができたでしょうか 電話も出てくれないけれど。 あなたはきっとわたしの様子を伺っていたことでしょう。 長い沈黙と噴火に落石火事4…

猫柳 六
1年前
4

背中に乗った不毛な夜

楽しい夜を過ごした。 赤い血のようなナポリタンは、油がたっぷりのたんこぶだらけのチーズを時々身に纏って、 目の前のあの人の唇も、左側のあの人の唇も 右側のあの人の…

猫柳 六
1年前
8

見学の音

近づいてきたら音がする あ、来るな来るなと心が用意しだす やっぱり近づいてきて 心をぱっくり割っていく 沢山の中にいた私を目を光らせて見つけて ぱっくりとやる 対処な…

猫柳 六
1年前
7

窓を開けたら

そうね、昨日も眠れなかった 夜の真っ暗い空が上に広がっているのかと思ってたけど 広がっていたのは街の明かりがぼんやり映し出された 汚いベロアみたいな夜の空だった も…

猫柳 六
1年前
6

白い顔の二人と煙の夜

私たちの肉体の中には 極私的で崇高な茶番を愛する趣向と 見渡しながら 獲物を素手で握り潰し 骨までむしゃぶりつくような趣向が 共存しています 実験的に人生を歩み 学ぼ…

猫柳 六
2年前
3
ダリダの病

ダリダの病

「治りませんね。」とぼけた古い病院で私は医者にそう言われた。
この病院に来るとき、タンポポを見つけて「早く綿毛をふーっとしたいな」なんて呑気なことを思っていた。
種をできるだけ遠くまで飛ばして、見知らぬ土地でまた、子供が笑っているような、黄色い花を咲かせてくれたらなんて。
綿毛の花言葉は「別離」という。昔祖母が教えてくれた。種が飛んでいく様を別れと例えるなんて子供心にはスパイシーな話だったし、別れ

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終わりのうた

終わりのうた

さよならのじかんです
あとなんにちすごすだろう
わたしたちはいつかおわる
ぜんぶのきおくがスケスケになって
ひゃくねんごにはみんないないよ
きっとまたあつまろう
かいさんしても
おもいだしてね

Ah たのしかったことだけを
woo たのしかったことだけを

さようならの歌

さようならの歌

Goodbye everyone
もうすぐ時間たちは
すけすけになってく
あとかたもなく消える

さようならまたね
たのしかったよね
おおきく手をふる

グッバイなつかしい顔
グッバイ悲しまないで
グッバイうつくしいよる

神様が消しゴムをもってやってきた
みんなに平等にしています
そうおっしゃった

メッセージ

メッセージ

Message それは繊細である
Message とても強力である
Message 気配さんがそっといて
Message 無重力の愛と鞭

わたし達は今溶け合ってひとつになる
洒落た時間は甘い明日へ繋がるだろう

ファンシーな展開を
あなたに伝えよう
そう人生にはムードが大事なこともある

ディナー

ディナー

2人が腰掛けて丁度良い正方形の小ぶりなテーブル
少し盛り上がった土と砂利の上に

あらいざらしの白い木綿のテーブルクロス、四隅には赤い小さな鳥の刺繍
尾のあたりでほつれた糸が3センチほど垂れ下がっていてそれを風が揺らす

じゃがいもと玉ねぎ、小さなぶつ切りの鶏肉、カビのあるチーズとミルク
それらを火の調節もしないままに煮込んだ
塩と胡椒

どこから来た
向かいに座る男がきく
それに答えようとは思わ

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時間しかいない日

時間しかいない日

常夏の海辺にある小さなバーの壁は
薄いみどり
お客は私だけ
ひとつかふたつこのバーの良いところをあげるとするなら
静かで冷たい それだけね
ぬるいグラス 角が丸くなってしまった氷に顔なんて映りゃしない
とっても美人なのに
パサついた牛肉はさっき寂しそうな寄り目の店員が焼いていた
奥から持ってきた タンっと音を立ててテーブルに置いた 
オーダーを取ったその足で厨房に行き
急いで焼いたもの
白い皿には

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はじめてのつぶやき。。。えーとえとえと、まだ扇風機でがんばっている!

父のフィクション

父のフィクション

父は後にホラ吹きとなる。

わたしの出生の理由、それは「夫婦仲がもう一度良好」になるために、意図的に作られた命なのである。
すでに4つ上の姉はいたけれど。

祖父母と同居の6LDK木造2階建て。
町内で初めて電子レンジを買った。
台所には赤富士の油絵が飾ってあり、流行りのダイニングテーブルで食事をした。
母と祖母は絵に描いたような不仲で、洗濯物の干し方を巡り日々バトルをする。祖父は芸術を愛する自由

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こちら側から射る

こちら側から射る

タロットカード 「太陽」

とんでもなく広い居間にあなたとわたし2人がにらめっこしていても、何も始まらないどころかやがて経年劣化に移行していくだろう。
窓の外を見ると、今まで虚無だった洞穴の奥に、生命を感じるようなエネルギーが溢れ出してゴボゴボと音がする。

流動的で排他的で魅惑的なこの次元において、時間という概念はありがたい存在なのかもしれない。
無かったものが有るようになり、冷たかったものが温

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淡い嘘

淡い嘘

ばぶ江さんは、わたしの娘。
不思議なご縁の人という感覚に包まれる。

ある5月、公園を散歩中に誰かに見られている気がした。
新緑が機嫌良く音をたてていて、毛がくるくるとカールしたカフェオレみたいな色の犬が愉快に散歩をし、サバ寅の野良猫が丸い石の上で日向ぼっこをしていた。
わたしは、まだ生まれて数ヶ月のお餅みたいな肌のよく泣く息子と、草むらにシートを敷いて仰向けになりくつろいでいた。
ふと、「誰かが

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徒然なる夜迷ごと

徒然なる夜迷ごと

大変に明るい月が出ていても、まばゆい星がきらめいていても、わたしの脳みその奥の部屋では、バースデーケーキの蝋燭に息を吹きかけた直後のような、しんとした黒い間が迷子になって、ただ一筋の「暖かい」灯りを探している。いつでも。
例えば悲しい思い出とは同居しながら生きるのが当たり前で、人が癒すものでもなく、忘れたふりをするものでもなく、ましてや人に自慢するものでもない。自己憐憫が一番嫌いだ。しのごの言わず

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たまごの王子さん江

たまごの王子さん江

お久しぶり
わたしの12ヶ月を知ることができたでしょうか
電話も出てくれないけれど。
あなたはきっとわたしの様子を伺っていたことでしょう。
長い沈黙と噴火に落石火事4の字固め。ありとあらゆる嫌な事を共有したような気もします。
ついに朝がやってきました。
朝日を2人で浴びましたよね。わたしは胸が熱くなりました。
きっとずっと気が遠くなるような昔から続いてきた
わたしたちの火事は、もうふたたび起こらな

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背中に乗った不毛な夜

背中に乗った不毛な夜

楽しい夜を過ごした。
赤い血のようなナポリタンは、油がたっぷりのたんこぶだらけのチーズを時々身に纏って、
目の前のあの人の唇も、左側のあの人の唇も
右側のあの人の唇も、それから私の唇も、生命力の限り赤く塗り尽くした。
現世のどうでも良い紙切れの話は、
きっと本当にどうでも良い事なのだと知らしめたかったのか。バカみたいに笑う私たちが心底バカだと腹を蹴られたのかもしれない。

見えないからって堂々と「

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見学の音

見学の音

近づいてきたら音がする
あ、来るな来るなと心が用意しだす
やっぱり近づいてきて
心をぱっくり割っていく
沢山の中にいた私を目を光らせて見つけて
ぱっくりとやる
対処などしない
したってしょうがないし
それが人生なんでしょ

何人か見学してるのを知ってる
意地悪でもなく優しくでもなく
ただ見てるでしょ
どーやって生きていくのか
退屈だから見てるでしょ
そんなにおもしろくもないでしょ
B級映画みたいで

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窓を開けたら

窓を開けたら

そうね、昨日も眠れなかった
夜の真っ暗い空が上に広がっているのかと思ってたけど
広がっていたのは街の明かりがぼんやり映し出された
汚いベロアみたいな夜の空だった
もう何もすることがないって電話で伝えた
もう何も興味がない
もう何も食べたくない
もう何も歌いたくない
もう何も全然いらない
どんどん朝が追いかけてきて夜を追い越した
空っぽの体を引きずって朝日を頬に浴びて少しお散歩したわ
何も感じないの

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白い顔の二人と煙の夜

白い顔の二人と煙の夜

私たちの肉体の中には
極私的で崇高な茶番を愛する趣向と
見渡しながら
獲物を素手で握り潰し
骨までむしゃぶりつくような趣向が
共存しています
実験的に人生を歩み
学ぼうとする貪欲な性癖を
誰にも止められたくはありません
途中の私たちと
途中のあなたたちが
重なり合うことを嬉しく思います
夜は煙に包まれ
やがて全部
白くなる