ディナー

2人が腰掛けて丁度良い正方形の小ぶりなテーブル
少し盛り上がった土と砂利の上に

あらいざらしの白い木綿のテーブルクロス、四隅には赤い小さな鳥の刺繍
尾のあたりでほつれた糸が3センチほど垂れ下がっていてそれを風が揺らす

じゃがいもと玉ねぎ、小さなぶつ切りの鶏肉、カビのあるチーズとミルク
それらを火の調節もしないままに煮込んだ
塩と胡椒

どこから来た
向かいに座る男がきく
それに答えようとは思わない
知られたくないわけではない
男は遠くをみながら、ズズズと音をたてて
汁を啜った
それから
パサついた茶色のパンをナイフで切り分けてわたしの欠けた皿においた

みてる

食事が済んだら歩いて去るだけなのに
それでも男は
何も言わずにみているだろうか
クスリとも笑わない目
曲がった口元

私の眠る場所を心配するだろうか
蚊をはらうように忌々しい態度を投げるだろうか

目の前の男が
ずっとみてる
2人はディナーの最中
ディナーはおよそ19分