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僕の言葉の森

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僕の言葉の森に植えさせて頂きたい記事をまとめています。 https://note.mu/nazewokangaeru/n/ne66199a9189f
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#コラム

才能なんて言葉で片付けないでくれ

初めに書いておく。
これは僕自身の、ただの負け犬の遠吠えだ。

ー ー ー

自分に才能があると思ったことはあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、「自分には才能がある」と言い切った人に会ったことはない。

誰かに才能を感じたことがあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、ほとんどの人が誰かに才能を感じている。それくらい世の中の人は才能で溢れている。
みんなが自分にしかないものを持っ

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入力が生活を彩り、「僕」をつくる

 折に触れて、丁寧な珈琲を飲みたくなる。苦味や酸味、深みなどの要素をつぶさに検討して魅力的な豆を選び、それを手動ミルで挽く。右の前腕にある筋肉が引き締まるのを感じながら、ミルから漂う香ばしさを楽しむ。茶褐色のペーパーフィルターに丁寧に粉を移して、ポットで沸かしたお湯で一度蒸らす。10秒ほどおいて広がる香りを楽しみ、フィルターの縁に粉が残らないように注ぐお湯を回す。そうして淹れる珈琲が日々の一部にな

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ホットミルク

みんなが寝しずまった夜に、くるしくなり、くるしくなり、きみは落ち着くひと。

ミルクを飲み、煙を3度はいて、
あかるい空の下でさいごに詠むひと。

ねむるまえに読むひと。

iconをクリックして、
わたしはあなたを辿って、
あなたがわたしをまだ見れることを知って、

あなたの静かな4行を確認。

句点も読点もすくない、行間はない、
あなたの生をよみまして、
わたしは、やっとねむってもいいかな

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言葉は武器にも盾にもならない

言葉は武器にも盾にもならない

自分の書いた文章が初めて認められた時、
初めて女の子とデートに行った時のような高揚感で
夜眠れなかったのを覚えている。

夢中になってたくさん書いて
月末に口座へ金が振り込まれた時
何かとんでもない間違いをしてしまったような気がした。
小さいころ父が大切にしていた服を絵の具で汚してしまった時のような。

高揚感や微かな優越感は消えて
惰性で書き続ける日々が続いた。
月末には書いた分だけの金が入って

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なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

たとえば私が東京で暮らしていたとして、多くの人と同じように、コンクリートで固められた道を踏み、日々同じ場所へ通い、箱の中で「仕事」と呼ばれ、与えられた作業をこなしていたとして。

「そうではない場所」に憧れを抱いたとき、「どうしてこんなところに、居るのだろう」と、遠い「何処か」へ想いを馳せたくなる。

そして私は、旅に出る。長く、ながく、数年は帰ってこない世界の旅に。「今まではとは違う場所」を求め

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感想すらも表現のひとつ

感想すらも表現のひとつ

何かを見たとき、聞いたとき、読んだときの感想。

単純に「楽しかった!」「面白かった!」「感動した!」とか表せる言葉は数あれど、言い方は悪いかもしれないが誰でも使っているような言葉では表したくないのだ。

なぜかといえば、楽しいだの、面白いだの、感動だのをどういう風に感じてそう思うに至ったのかを掘り下げて表現したくなってしまう。我ながら面倒くさい。素直じゃないのかもしれない。

感想すらも表現のひ

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不甲斐ないなあ

不甲斐ないなあ

抱えきれない悲しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
抑えきれない苛立ちを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
伝えきれない苦しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
もう二度と言葉になることもないと思った。

空の広さに呆然とすることがある。
空は広いもんだってわかりきっているのに
たまにそれを認められないことがある。
認められないのは
別に空に限った話ではないのだけれど

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