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#ショートショート
思いつき1場面物語。《猫とまたたび》
「猫じゃらしは好き。
だって楽しいもの。」
彼女はそう言って、尻尾をくねらせた。
私はふむふむとメモを取る。
─どんな猫じゃらしがお好きなんです?
彼女の額をワシャワシャっとしながら聞くと、彼女は気持ちよさそうにしながらこたえた。
「そうねぇ。キラキラしてたり、音がなったり、そういうのが楽しいから好き。」
私はまたふむふむとメモをとる。
彼女のガラス玉のような目が私の手をみている。
過去に書いた1場面物語
フカフカとしたシート。
ゴトゴトと揺れる足元。
流れてゆく景色には誰もおらず
窓に反射した自分だけが映る。
名前も知らない花達で埋め尽くされた風景に
少しだけ、ほんの少しだけ笑みが溢れる。
昼間の太陽とは違う、凍るような満月の光が
花畑を青白く照らしている。
熱くも寒くもない車内に一人きり。
外の匂いも感じない。
外はきっと花の香りに包まれている。
そして思っているより寒いはずだ。
『こ
1場面物語 途中の茶屋にて
「あーあー獏に会いたいなぁ」
はねた髪を指先で弄りながら、茶屋の長椅子で独りごちる。
季節は巡って、いつの間にやら紅葉も色づく秋になった。
「お前、あいつが寝てまだ一年も経たないんだ。無理だよ」
声がしたので見てみると、奴が隣でいつの間にか団子を頬張っている。
それ私の三色団子なのに…。
獏はそれは美しい女性に変化する。
真っ黒でツヤツヤの髪に、昔の中国のお姫様みたいな衣装が映える。
赤や金の似
1場面物語 つくづく、縁がない
縁側で足をプラプラやっていると、彼はにこやかな顔で隣に座った。
「西瓜でも」
などと言って、丸々とした西瓜を出してくる。
「おう。もらおうか」
私はそう言って野菜包丁で西瓜を切る。
風鈴が機嫌良くチリチリと鳴る。夏空の青が透けて、絵柄の金魚も良く泳ぐ。
「川で泳ぎたい」
彼は金魚を目を細め見る。
私は西瓜をサクサクと切りながら
「そいつはそこに捕らえたんだから駄目だよ」
と答えた。
超思いつき1場面物語『手紙』
という手紙を、何気なく開いた古本の間から見つける。
紙は、どうもまだ新しい。
じっくり見る文字は丸く可愛らしい。
美しい青い文字色が薄暗い古本屋と相まって、まるで、魔法の書のように輝いて見える。
僕は、この人の探すアナタを知っているだろうか?
記憶の中にアナタを探してみるが、悲しいかな。僕は知り合いが少ない。
夏休み入りたての、午後3時。
人気のない古本屋の奥で僕はうーんと小さく唸った。
見
過去の1場面物語 「約束」
『心には替えがないから…』
少女は目をふせ、一旦口を閉ざす。
しかし、すぐに顔をあげて目の前にいる人物に言葉を続ける。
『私にくれるって言ってくれたのは嬉しかったけど…駄目。もらえない。』
「どうしても。か?俺があげたいからあげるんでも駄目か?」
少女の言葉を受けた人物…少年は少女をじっとみつめた。
『うん。』
少女は少年を瞳に映しながら
『物語は、アナタのもの。アナタが紡ぐ物語を
過去の短い1場面物語「途中」。
それは楽園と呼ぶには小さく、しかし確かに楽園と呼びたくなるような清々しい空気を纏っていた。
青々と茂る草木が優しく足を捉えてくる。靴は何時から乾いていないだろう。グチャグチャと不快な音を立てている。色とりどりの花がこれでもかと咲き誇り、目がチカチカとする。
鳥のさえずりも絶えず聴こえてくる。それも、鳥達の愛の歌で溺れそうなほどだ。
美しいはずのそれ等は過剰で、僕の歩く足を止めようと必死だった