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1場面物語

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これは私が描く一場面の物語
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#ショートショート

1場面物語 傘

1場面物語 傘

そこは、雨だった。 

僕は雨に濡れていた。
女は傘をさして立っていた。

雨が傘を伝って地面に落ちる。
女の周りで水が跳ねる。

「傘、入る?」

女は僕にそうたずねて来た。
僕はなぜあの時、断ったんだろう。

「いいえ、大丈夫です」

どうみたって、傘に入れてもらったほうが良さそうなほど濡れていた。
それでも、僕はできるだけ優しく、そう返した。
女は少しだけ目を見開いて、すぐに微笑んだ。
その

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思いつき1場面物語

思いつき1場面物語

Hello Hello

もしもし もしもし

これでいいのかな?

呼び出し音は数回、プツッと音がして現実になる。

「もっ、もしもしっ……!!」

「あははっ、なに?そんな緊張したの?」

「そ、そんなに笑わなくても…」

「ごめん、だってガチガチなんだもん」

あぁ、よかった。
声が聴けて。

「何かあったのかなって心配したの」

「大丈夫だよ」

「怖い夢をみたの」

「大丈夫だよ」

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思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

思いつき1場面物語。《猫とまたたび》

「猫じゃらしは好き。
だって楽しいもの。」

彼女はそう言って、尻尾をくねらせた。

私はふむふむとメモを取る。

─どんな猫じゃらしがお好きなんです?

彼女の額をワシャワシャっとしながら聞くと、彼女は気持ちよさそうにしながらこたえた。

「そうねぇ。キラキラしてたり、音がなったり、そういうのが楽しいから好き。」

私はまたふむふむとメモをとる。
彼女のガラス玉のような目が私の手をみている。

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過去に書いた1場面物語 

過去に書いた1場面物語 

フカフカとしたシート。
ゴトゴトと揺れる足元。

流れてゆく景色には誰もおらず
窓に反射した自分だけが映る。

名前も知らない花達で埋め尽くされた風景に
少しだけ、ほんの少しだけ笑みが溢れる。

昼間の太陽とは違う、凍るような満月の光が
花畑を青白く照らしている。

熱くも寒くもない車内に一人きり。
外の匂いも感じない。
外はきっと花の香りに包まれている。
そして思っているより寒いはずだ。

『こ

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1場面物語 途中の茶屋にて

1場面物語 途中の茶屋にて

「あーあー獏に会いたいなぁ」
はねた髪を指先で弄りながら、茶屋の長椅子で独りごちる。
季節は巡って、いつの間にやら紅葉も色づく秋になった。
「お前、あいつが寝てまだ一年も経たないんだ。無理だよ」
声がしたので見てみると、奴が隣でいつの間にか団子を頬張っている。
それ私の三色団子なのに…。

獏はそれは美しい女性に変化する。
真っ黒でツヤツヤの髪に、昔の中国のお姫様みたいな衣装が映える。
赤や金の似

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一場面物語 途中 

一場面物語 途中 

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足を投げ出すようにして腰掛ける。

「ねぇ、一緒に行こう!世界は広いし、ここよりもっと素敵な場所が沢山あるよ!!こんなとこよりいいよ!!」

君は何にもわかってないなぁ。
私はにこやかに微笑んで立ち上がる。
列車がやって来て、扉が開いた。
タイミングを見て君を押し込んだ。

『二度と来んな』

笑顔で手を振った。

ここは途中も途中の駅。

私は一人線路に足

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ハロー・ガーデン

ハロー・ガーデン

短く刈り込まれた芝が青々としている。
そこへ可愛らしい模様のタイルが飛び石のように並べられ、中央の噴水へと訪問者を誘う。

見たこともない花々が、良い香りを漂わせ手を振ってくる。
私は足早に、そこを通り過ぎる。

空を見上げると見事な晴天である。
自分の濡れたコートが馬鹿みたいに見えるくらいの、清々しい晴天。
頭上を鳥のようなものが羽ばたいているが、小さいのでよく見えない。

蔦の絡まる白亜の屋敷

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1場面物語―波―

1場面物語―波―

「まぁた、失敗したの?」

親友は軽い口調で夕日を眺める私に話しかけた。

「まぁ、ね」

私は夕日を見つめたまま、それだけ返した。

「海のことは…すきなんだけどなぁ…」

どうして、こうも、上手く行かないのだろうか。
波に乗っている時は、まるで、私自身が海みたいで、どんな動きをすれば、どんな風に答えてくれるかわかって、ずっと、そうしてられるかもって、これ以上の好相性は無いって思えるのに。

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1場面物語 つくづく、縁がない

1場面物語 つくづく、縁がない

縁側で足をプラプラやっていると、彼はにこやかな顔で隣に座った。

「西瓜でも」

などと言って、丸々とした西瓜を出してくる。

「おう。もらおうか」

私はそう言って野菜包丁で西瓜を切る。
風鈴が機嫌良くチリチリと鳴る。夏空の青が透けて、絵柄の金魚も良く泳ぐ。

「川で泳ぎたい」

彼は金魚を目を細め見る。
私は西瓜をサクサクと切りながら

「そいつはそこに捕らえたんだから駄目だよ」

と答えた。

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1場面物語 春

1場面物語 春

電車に乗り込む。
無駄にスカートのはしを伸ばす。

別に、好きってわけじゃない。
いや、嫌いってわけじゃない。

意識している?
いや、これが、してるかって言われると違う。

でも
きっと会ったら、何かわかるんだろう。

そういう
予感があるよ。

私は君に
会いに行く。

会いに行くよ今日。

さて、どうしたものか。

俺は歩く。
歩いて、駅に向かう。

別に好きとかではない。
嫌いでもない。

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超思いつき1場面物語『手紙』

超思いつき1場面物語『手紙』

という手紙を、何気なく開いた古本の間から見つける。
紙は、どうもまだ新しい。
じっくり見る文字は丸く可愛らしい。
美しい青い文字色が薄暗い古本屋と相まって、まるで、魔法の書のように輝いて見える。

僕は、この人の探すアナタを知っているだろうか?
記憶の中にアナタを探してみるが、悲しいかな。僕は知り合いが少ない。

夏休み入りたての、午後3時。
人気のない古本屋の奥で僕はうーんと小さく唸った。

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過去の1場面物語 「約束」

過去の1場面物語 「約束」

『心には替えがないから…』

少女は目をふせ、一旦口を閉ざす。

しかし、すぐに顔をあげて目の前にいる人物に言葉を続ける。

『私にくれるって言ってくれたのは嬉しかったけど…駄目。もらえない。』

「どうしても。か?俺があげたいからあげるんでも駄目か?」

少女の言葉を受けた人物…少年は少女をじっとみつめた。

『うん。』

少女は少年を瞳に映しながら

『物語は、アナタのもの。アナタが紡ぐ物語を

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『メモその2』

『メモその2』

ゴミ箱があった。側面に『ユめ』と書かれている。近くにいた子供達が灰色の塊をソレに投げ入れる。アレが『ユめ』だろうか?
私は彼らに話を聞こうと近づいた。
その時だった。
遠くからガチャガチャと音を立ててなにかが向かってきた。
足を止めて奥を見ると不思議な生き物がそこにいた。
不思議な生き物はどうやらゴミ箱の中身を大きな口に入れて食べているようだ。
口を動かすたびにガチャガチャと音が鳴る。
『ユめ喰い

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過去の短い1場面物語「途中」。

過去の短い1場面物語「途中」。

それは楽園と呼ぶには小さく、しかし確かに楽園と呼びたくなるような清々しい空気を纏っていた。

 青々と茂る草木が優しく足を捉えてくる。靴は何時から乾いていないだろう。グチャグチャと不快な音を立てている。色とりどりの花がこれでもかと咲き誇り、目がチカチカとする。
鳥のさえずりも絶えず聴こえてくる。それも、鳥達の愛の歌で溺れそうなほどだ。 
美しいはずのそれ等は過剰で、僕の歩く足を止めようと必死だった

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