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#ほろ酔い文学
シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《本厚木Sun faceの後編》
前編↓↓↓
待ち合わせ場所は本厚木駅の改札前。集合したヨシクラ夫妻とちひろと私の四人は、ヨシクラさんが予約してくれたお店を徒歩で目指す。
年末の暴挙を詫び、楽しみにしていたことを伝えた。最初の一杯を交わすまでに何を話すか逡巡しながら歩いていたが、久しぶりの本厚木の街並みに思考を委ねることにした。
人通りが多く賑やかだった街の通りは、商店や歓楽街が減り、ビルやマンションが建ち並び、街の方向性を
シガーに委ねた深層に開高健との邂逅の真相を辿る《待ち合わせた前編》
釣りの話をするときは両手を縛っておけ
ロシアの諺で、釣り師はよく魚の大きさを両手で誇張する。だから気をつけろという意味だ。開高健の遺した言葉としても有名だ。
「特に好きなことを書くときは誇張するな、見栄を張るな、本当のことを書け」
と私は解釈していて、開高健も使用する度に自分を戒めていたのではないのかと空想したりする。
JR相模線は、茅ヶ崎駅から橋本駅を結ぶ神奈川では珍しい単線の電車だ。私
書き残すは夏の思い出。取り戻すは仮初めか~青春の真打ち編~
前回までの噺。
私役の『私』が訪ねた友人に、突然聞かされた青春の真相を解き明かすために街に出た。
そんな私役の『私』は、馴染みの中華料理店で酔いに任せて青春の真相を友人とマスターとで追うことになる。
そして、真打ちの登場である。
彼女は私達を待たせることもなく、何の躊躇いもなくお店に入って来た。流行を意識したのか、1日のすべてを終えた夜の時間がそうさせるのか、黒いサロペットに白色のシャツ。
書き残すは夏の思い出。取り戻すは仮初めか~中華料理の中座編~
前回までの噺。
私役の『私』が訪ねた友人に、突然聞かされた青春の真相を解き明かすために街に出た。
馴染みの中華料理店のカウンターは、それがカウンターであった面影しかなく、現在はランチ時に使うスープ鍋や食器、炊飯器などが置かれお店はテーブル席をメインに使うようになっている。
お店は、マスターの人柄か長い時間をかけて地元に馴染んできた時間の証明なのか、1人で食事に来ても気兼ねなく自由に過ごせる空気
書き残すは夏の思い出。取り戻すは仮初めか~晩夏の前座編~
マナティとジュゴンについてそれほど知りたかった人生ではなかった。
1人実家に向かう車の中で、それがオリジナルソングなのか、そうではないのか。どちらかわからないまま、どこか呪文のように吹き込まれた歌を歌う、息子のメロディーを自然と口ずさんでいることに気付いた。
マナティとジュゴン。どっちが人魚のモデルだったのだろうか。リビングで歌う息子を思い出しながら口ずさみ、いつもそういう些細なことが気になっ
毎回新しい話を持ってくる彼は、今回も美しい女性と出会う。
長い連休には、友人の仕事を手伝っている。積もる話は特にないのだが毎年の恒例だ。彼は去年代替わりで社長になり、日々を精進している。同級生がそれぞれ社会に何かしらの貢献をし始めている気がするが、気がするだけで留めておこうと私は生きている。
社長になった彼とは高校の時からの付き合いで四半世紀になるが、未だに奇跡を呼ぶ男だ。
その日、私は彼の仕事を手伝いながら彼の近況を聞いていた。聞いていたといっても
【Whiskey Lovers】Glenfarclas(グレンファークラス)シングルモルト12年、25年編
世の中には、一言で終われない事だって存在する。丁寧な無駄にこそ遊び心を込めたい。
「入り口のウイスキーがあるんです」
マスター・オブ・ウイスキーを目指す青年は、カウンター越しに聞き返さずには居られない呟きをした。
青年は、自分のウイスキーへの熱量と勉学のアウトプットのために動画配信を考えているとのことだった。一見、朴訥とした雰囲気からは伝わらない、真っ直ぐな芯を持っているのがその青年だった。