マガジンのカバー画像

大きな桜の木の下で「小説」

4
小説です 恋愛ものです
運営しているクリエイター

記事一覧

小説「大きな桜の木の下で」4

小説「大きな桜の木の下で」4

第5話    種夢を見ていた
それはそれは辛い夢を
まどろみの中を彷徨うようなそんな感覚だった
いつものように僕は曲がり角を曲がる
そこには大きな桜の木があって
その下の小さな古ぼけたベンチには
いつものように彼女がいた。
僕は彼女に近づこうと一歩を踏み出そうとする
その瞬間、彼女は僕の方を振り返り言った
「ダメ!こないで!優一君!」
その瞬間僕の体は固まった
指一本動かすことはできなかった
「ど

もっとみる
大きな桜の木の下で 3

大きな桜の木の下で 3


第4話  蕾(寒い、、、)
教室の隅っこで1人、僕は凍えながらそう思った
夏が過ぎ春が過ぎ、いつしか気づけば
冬になっていた、、
ヨシノとの昼休みのおしゃべりは続いている
いくら寒くても最近は学校が楽しく感じる
これも全て、ヨシノのおかげだろう
感謝しなければならない
4時間目の終業のチャイムがなり
僕は急いで教室を出て、急いだ
あの大きな桜の木の下へ
彼女が待っていてくれるところへ
走った、僕

もっとみる
小説「大きな桜の木の下で」2

小説「大きな桜の木の下で」2

第3話     幹一年生最初の夏休みに入り
僕は久しぶりに、平和な時間を過ごしていた
誰の目にも触れることなく
人間関係に悩むこともない
ただクーラーの効いた部屋で、自分の好きなことに没頭できる。
僕にとって長期休暇とは、至福の時間だった。
今日もいつも通りパソコンを開きゲームをしようとする、しかし、ふとカレンダーが目に入った
無限に思えた夏休みも、もう半分を切っていた
(いくらなんでも、そろそろ

もっとみる
小説  「大きな桜の木の下で」

小説  「大きな桜の木の下で」

(暑い)
人がごった返す満員電車の中で、僕は思った。
毎朝毎朝、出勤のたびにこうなのだから
いくらなんでも参ってしまう
車内の冷房もなんの意味もなさず
密室の中、人々の熱気が集いに集った
ここはまるでサウナだ
(暑い、、、、臭い、、、、どうにかして中央から脱出しないと)耐えきれなかった僕は、人の波をかき分けかき分けなんとか、車窓側に出ることができた
ふと車窓の外を見ると、河川敷が見えた。
見事なま

もっとみる