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願いごとを叶えるのは、神様じゃなかった。
「ばあちゃんの八百屋、閉まっとったよ。」
じっとりとシャツに汗を滲ませながら家路についた僕は、母にそう告げた。
なんね、あんた聞いとらんと?と一瞬だけ怪訝そうな表情を見せたが、すぐに調理に戻る母。きょとんとしている僕を尻目に、こう続けた。
「ばあちゃん、先月死んだとよ。」
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ばあちゃんは僕が生まれるずっと前から1人で八百屋をきりもりしていて、近所の人もみんな
私は一か月後、初めてのコーヒーを飲む。
私は1ヶ月後、初めてのコーヒーを飲む。
毎週末、未開拓のカフェを探し、お気に入りのカフェを見つけることが趣味の私は、今日も初めましてのカフェに来た。
観葉植物に囲まれた、緑が印象的な入り口。中に入ると、クラリネットの音が印象的なクラシックが流れていた。照明は暖色で、落ち着いていて穏やかさに満ちた空間である。
私はブレンドコーヒーを頼む。
ふと注文を受けた店員さんの顔を見る。
私と歳が近い感
Cafe Memory.
ママは、私の右手をぎゅっと握って離さない。
降りしきる雨に私をさらけ出さないようにと必死で守ってくれているけれど、ママが守っている私は、傘よりもアスファルトに近い。すれ違う大人たちが作り出す水沫に、何度も瞬いた。
どうして私は、こんな日にカフェに行くのだろう。
扉をくぐると、5つのカウンター席と4人掛けのテーブル席が2つ。
「ほら、ここに座ろう。」
ママがテーブル席に掛けるように促したと