弦綺
夢を失った全ての人に告ぐ。これは少年少女が繰り広げた、夢と希望の物語だ。 修道院に住むリナはある出来事をきっかけに、シスターに逆らうことを決意する。待ち受ける波乱を乗り越え、流れ星の向こう側にたどり着くことはできるのか。 最後まで彼らの冒険譚を見届けていただきたいと思う。
私はバス停の前のベンチに座っていた。 「寒い…」 こんな日に限って、薄着をしてきた自分自身を恨みたい。 バスが来るまで、後、三十分もある。近くに店もない。 …
春色の蕾が、ぷっくりと頬を膨らませた。 もうすぐこの子は、咲くのだろうか。頬に溜めた空気をふっと吹き出して、微笑むのだろうか。私は笑う気分になれないのだが。 …
それは 始まるときは 突然で あっけなく 終わってしまうもの それは ぼんやりとした世界を 鮮やかに 変えてしまうもの それは 人を 生まれ変わらせる…
リナは笑った。彼女の笑い声が、部屋にこだました。 レポルトがシスターであったことは、予想外であったが、ショックを受けたのは、それを知った時だけであった。動揺…
少し疲れた日には、決まって深呼吸をする。 すると、肺の中に新しい空気が入ってきて、新しい自分に生まれ変わる。 そんな時の私は、自然と歌を口ずさみ、心も体も踊…
終わってしまった。淡い桜色は、ふわっとどこかに消えていった。甘いような、酸っぱいような、そんな味はもうしない。口の中でとろけるような、まろやかな食感も、もうし…
不条理なことがある度に、どうして?と思う。 うまくいかないことが多いことは、よくわかっているはずなのに…。 その度、その度、悲しくなる。 そうか、この人に…
ふと、思った。 一見したら、意味のない言葉に、 思いが込められているかもしれない、と。 読み返して、読み返して、 そうして、気づく。 書き手の意図に。 …
リナはただ人形のように生活していた。生きる光と活力を奪われた瞳は、かつてのリナを彷彿とさせた。もっとも、以前よりつまらない人間と化してしまったかもしれないが……
「冗談でしょう?」 レポルトは首を振る。 「冗談だと言って」 レポルトは顔を歪めた。 「ごめん…」 リナはその場に座り込み、ただ、涙を流していた。
「ご、ごめんなさい」 リナは地面に伏せ、許しを乞う。 「静かに」 その声を聞いた、リナは顔を上げる。 「レポ…ルト」 シスターは何も言わない。 「レポルトでしょ…
2022年11月28日 11:56
私はバス停の前のベンチに座っていた。「寒い…」 こんな日に限って、薄着をしてきた自分自身を恨みたい。 バスが来るまで、後、三十分もある。近くに店もない。 どうしよう…と途方に暮れていると、ふと、カイロが目の前に現れた。 驚いて顔をあげる。 そこにはカイロを差し出す青年の姿があった。「落とし物です」 私はカイロなど元々持っていなかったはずだ。「えっ、私のじゃ…」 ありません、と
2024年3月4日 21:37
新しい道に進もうと思う。それは、いばらの道。されど、きぼうの道。
2024年2月29日 18:29
春色の蕾が、ぷっくりと頬を膨らませた。 もうすぐこの子は、咲くのだろうか。頬に溜めた空気をふっと吹き出して、微笑むのだろうか。私は笑う気分になれないのだが。 呼吸をする度、暖かくなった空気が体に入ってくる。それとともに、荒んだ心がほぐれていくような気がした。おそらく、悩みが尽きることはない。しかし、人はどんなことでも乗り越えられるのだろう。 冷たい風とともに、覚えのある香りがした。あの子だ
2024年2月27日 13:06
それは 始まるときは 突然で あっけなく 終わってしまうもの それは ぼんやりとした世界を 鮮やかに 変えてしまうもの それは 人を 生まれ変わらせるもの それは 枯れない恵みを 人に 施すもの それは 豊かな心を 人に 与えるもの それのおかげで 輝けることを 幸せな気持ちに なれるんだということを 私は 君に 教えてもらった
2024年2月26日 19:42
久しぶり、note。ただいま、note。ありがとう、note。いってきます、note。
2023年9月21日 15:16
リナは笑った。彼女の笑い声が、部屋にこだました。 レポルトがシスターであったことは、予想外であったが、ショックを受けたのは、それを知った時だけであった。動揺する自分の奥底で、計画実行のために頭を働かせる自分がいたのだ。しかし、レポルトがシスターであると言う事実により、計画の実行は絶望的になった。リナは何年もかけて練った計画を、また一から作り直さなければならなかった。リナは途方に暮れた。希望を
2023年9月13日 14:40
少し疲れた日には、決まって深呼吸をする。 すると、肺の中に新しい空気が入ってきて、新しい自分に生まれ変わる。 そんな時の私は、自然と歌を口ずさみ、心も体も踊っている。 スキップをしながら買い物をし、回りながら料理をする。水の音楽を聴きながら、デッキブラシと一緒にダンスをする。 想像力の船に乗ってしまえば、何でも遊びだ。 やらなければいけないこと、やりたくないことを、やりたいことに変えて
2023年9月8日 23:01
終わってしまった。淡い桜色は、ふわっとどこかに消えていった。甘いような、酸っぱいような、そんな味はもうしない。口の中でとろけるような、まろやかな食感も、もうしない。残ったのは、ほろ苦い大人の味。 ずっと僕は夢の中にいたのかもしれない。届くはずのないものを、追いかけていたのかもしれない。届かないと思いながら、君の隣にいる僕を想像する日々。自分から何かを起こすわけではなく、ただ、側にい続けることを
2023年7月17日 18:25
咲いていて 私たちの 希望の華
2023年7月6日 11:39
私はとても幸せな人間なのかもしれない
2023年6月25日 20:53
不条理なことがある度に、どうして?と思う。 うまくいかないことが多いことは、よくわかっているはずなのに…。 その度、その度、悲しくなる。 そうか、この人には届いていなかったのか、と。 この人に、そんな価値がなかったのか、と。 与え続けることはできるけれど、それでも返してもらいたい。 そう思うことは、普通のこと?
2023年6月22日 08:41
「ほら、ね」と私は微笑む。
2023年6月14日 14:47
ふと、思った。 一見したら、意味のない言葉に、 思いが込められているかもしれない、と。 読み返して、読み返して、 そうして、気づく。 書き手の意図に。 それに気づいた私は、 無性に感謝したくなった。
2023年6月6日 15:38
リナはただ人形のように生活していた。生きる光と活力を奪われた瞳は、かつてのリナを彷彿とさせた。もっとも、以前よりつまらない人間と化してしまったかもしれないが…。「リナ…」 寝室でうずくまっているリナに、エスティアが声をかけた。「…」「リナ!」 エスティアが少し声を荒げた。「放っておいて!」 エスティアの顔から表情が消えた。 彼女はツカツカとリナのベッドに歩み寄り、布団を無理やり
2023年5月31日 11:41
「冗談でしょう?」 レポルトは首を振る。「冗談だと言って」 レポルトは顔を歪めた。「ごめん…」 リナはその場に座り込み、ただ、涙を流していた。
2023年5月27日 21:36
「ご、ごめんなさい」 リナは地面に伏せ、許しを乞う。「静かに」 その声を聞いた、リナは顔を上げる。「レポ…ルト」 シスターは何も言わない。「レポルトでしょう?」 シスターは依然と黙っている。「どうして、止めたの?」 リナは彼に縋り付く。「ねえ、どうして…?」「俺が…」 ようやく、口を開いた彼は、こう言った。「俺が、この修道院のシスターだからだ」