マガジンのカバー画像

26
書いた詩です
運営しているクリエイター

#詩が好きな人と繋がりたい

春の星

指先から春になった、わたしは大好きな歌を口ずさみながら、
誰もいなくなった地球を歩いている。
夜なんてものが本当にあるとしたら、きっとこんな表情をしているんだろう。
つま先まで春になった、だけどわたしはひとりぼっちで、
生き物たちをずっと探している。人をずっと探している。
いつまでたっても、春になっても、世界は全然あたたかくならない。
誰も冬眠からさめない。
だからわたしは、夜空に指先で、
春の星

もっとみる

泥の空想

四足歩行から二足歩行へ、いつの間にか背が伸びて、視界は地面から離れていった

地面を手放して、人工的な空を話す

泥や砂にまみれた手で作った空想は、どこかで今も呼吸しているだろうか

具体的な空想は抽象的な現実に替わり、本当の空を忘れてしまった

そんな空っぽの手のひらが、懐かしい風の音色を想い出している

晴れない

腕を伸ばして八月にふれて

燃えるようないかり

凍えるようなひかり

喜劇みたいな夕焼けへ溶け出す劇

どこにもない空を見上げる

腕はそこら中

肌に居た

まだ晴れることのない青空

晴れないで

話にならない話

昨日と今日も、きみと私も同じじゃないから、何かを話そうとしたりする。
心も風景も変化を続け、話したい話の芽は日々生まれていく。

だけど、ふとよぎる想いを言葉にするのは難しい。
話したかったことのほとんどは風に吹かれて、言葉にならずに消えていく。

結局いつもと同じような言葉を選んで話すけれど、
同じ話ばかりでは、つまらなくて話にならない。
話したいことが言葉になるまで、ときどきは静かに立ち止まっ

もっとみる