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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを…
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2024年1月の記事一覧

冬の夜道(詩)

冬の夜道(詩)

横なぐりの雨のあいだを
木枯らしの音がすり抜けてゆく
その中を僕は傘も持たずに歩いている
街灯の明かりが定規で横線を引いたような雨を映す
雨が鼓膜を刺し、髪の毛から雨だれが落ちる
涙はとっくに枯れていたから
瞳を伝っているのは雨なのだろう
この雨が雪に変わってくれればいい
そうすればこんなにも濡れなくて済む
寒さは感じなかった
たぶん心のほうが温度が低いからだろう
夜の暗い歩道を
僕は雨に濡れなが

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ポジネガ(詩)

ポジネガ(詩)

暴力と金の力が支配する世の中で
僕はのうのうと生きている
虐げられた人々が飢えに苦しむ世界で
僕は何不自由なく生きている
天変地異に襲われる地球の中で
僕はただぼんやりと生きている
ポジティブではなく
ネガティブでもなく
幸福と不幸の中間を僕は漂っている
ポジティブに
ネガティブに
晴天と強雨の狭間を僕は彷徨っている

新パンドラの箱(詩)

新パンドラの箱(詩)

男がパンドラの箱を開けると
そこから無が飛び出してきた
無秩序、無思慮、無関心、無理解、無分別、そして無気力
男は慌ててパンドラの箱を閉めた
箱の中に残ったものは・・・
無欲 たったそれだけ

めまい(詩)

めまい(詩)

ベッドから上半身を起こすと
ふらふらして
立ち上がることもできず
僕はベッドに倒れ込む
天井が揺れているような
空に浮いているような
体が突然なくなったような
目を瞑ると真っ黒な世界が蠢く
その浮遊感を再び味わいたくなって
僕はまたベッドから起き上がる

傾いた人(詩)

傾いた人(詩)

傾いた時代に
傾いた家に生まれ
傾いた言葉を呟きながら
傾いた道を歩いてゆく

傾いた季節に
傾いた花を眺め
傾いた山の頂上で
傾いた太陽に祈りを捧げる

傾いた世界に
傾いた体を預け
傾いた視線で
傾いた風景を見下ろす

傾いた夜に
傾いた孤独を抱え
傾いた瞳から
傾いた涙を流す

傾いた銃弾に
傾いた胸を撃たれ
傾いた土の上で
傾いた人は命を終える

花火(詩)

花火(詩)

真っ黒な空に
みんなの夢を乗せた球体のロケットが
轟音とともに打ち上げられる
ロケットは宇宙に到達することもなく
みんなの夢と一緒に爆発した
それをみんなが笑顔で見ている
少女はその笑みを不思議に思う
なぜみんなは自分の夢が壊されたのに
あんなに笑顔でいられるのだろう
赤ちゃんが大きな声で泣いていた
父親が母親に向けて
「きっと音が恐かったんだね」と言った

でも少女は知っていた
赤ちゃんは夢をひ

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ミラコロワール(詩)

ミラコロワール(詩)

ミラコロワール 奇跡の世界
そこではあなたの夢がすべて叶えられます

あなたは夢を生み出して
それをすべて叶えていきます
あなたはその達成感に酔いしれて
次々に新しい夢を胸に描きます
夢はどんどん大きくなって
あなたの欲望も
それにつれて大きくなります
それは麻薬の世界
あなたはもうこの世界でしか生きていけなくなります

そしてある日
ミラコロワールは限界を超えて破裂します
あなたはもう廃人同然で

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存在感(詩)

存在感(詩)

放課後にクラスみんなでかくれんぼ
僕は最後まで鬼に見つからなかった
捕まった子どもたちもみんなで探したけれど
それでも僕は見つからなかった
僕はどこに隠れたかって?
僕が隠れたのは校庭のど真ん中さ

漫才師(友達以上恋人未満)(詩)

漫才師(友達以上恋人未満)(詩)

「そんなことする奴とは俺付き合えねえぞ」
冗談っぽく言った俺に
「誰があんたなんかと付き合うっていうの」
口を尖らせて言うお前
笑う俺の声にお前の笑い声が重なる
「息がピッタリだったな」
「間も良かったでしょう」
俺たち二人の会話を友人が
「いつ見てもいいコンビだね」と言うが
いいコンビってなんだろう
お互い好意があるのはわかっているのに
いつも会話はボケとツッコミ
二人の距離は縮まらないが
だか

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楽園(詩)

楽園(詩)

なだらかな流線形を描く君の体を
僕はひたすらに見つめている
神が創り上げた最高の芸術作品を
僕はただ呆然と眺めている
君が手を差し伸べてさえくれれば
僕は君の胸に飛び込むだろう
そして二人は
アダムとエヴァになって
禁断の木の実を口にするのだろう
それは神を裏切る行為であり
エデンの園から追放される行為であるが
それならば
新しいエデンの園を造ればいい
だからビーナスよ
僕と一緒に荊の道を歩いてい

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UFO(詩)

UFO(詩)

空に真っ黒な穴が空いて
その穴はどんどん大きくなって
僕の真上で大きくなるのをやめた
眼鏡をかけてよく見ると
それはテレビで見たことのあるUFOだった

黒い穴から金色の光の円柱が降りてきた
光は僕を包み
僕をUFOに引き上げようとした
僕は足に力を入れて
近くの木につかまり
その光に抵抗した

僕は恐怖と好奇心が戦ったとき
いつも恐怖が勝って
何事からも逃げていた
でも金色の光の中で僕は考えた

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壁(詩)

壁(詩)

あなたの前には壁がある
高さはビルの二階ほどあり
左右を見ても壁は永遠のように続いている

あなたは考える
この壁を越えようと思えば長いハシゴが必要だと
あなたは考える
この壁の端を探そうとすれば途中で餓死してしまうだろうと
あなたは考え続ける
どうすればこの壁を越えられるかを
そして、あなたはあきらめる
この壁を越えることを

壁は紙で出来ていた
ただ走って体当たりすれば
あなたは壁を抜けられた

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レゴランド(詩)

レゴランド(詩)

この島では
作った夢が壊れたとしても
また違う形の夢を作り直せばいいのさ

僕の恋物語(詩)

僕の恋物語(詩)

僕の恋はいつも作り物の恋
映画のヒロインにあこがれてしまう

僕の恋はいつも夢見がちな恋
自分勝手なロマンスを想像してしまう

僕の恋はいつも無謀な恋
不釣り合いな人を追いかけてしまう

僕の恋はいつも勘違いの恋
必ず結ばれると信じてしまう

僕の恋はいつもクリスタルな恋
大切にしながらも壊してしまう

僕の恋はいつもまな板の恋
最後は身動きもできずに死んでゆくだけ