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水木三甫
2024年1月31日 06:53
横なぐりの雨のあいだを木枯らしの音がすり抜けてゆくその中を僕は傘も持たずに歩いている街灯の明かりが定規で横線を引いたような雨を映す雨が鼓膜を刺し、髪の毛から雨だれが落ちる涙はとっくに枯れていたから瞳を伝っているのは雨なのだろうこの雨が雪に変わってくれればいいそうすればこんなにも濡れなくて済む寒さは感じなかったたぶん心のほうが温度が低いからだろう夜の暗い歩道を僕は雨に濡れなが
2024年1月30日 07:28
暴力と金の力が支配する世の中で僕はのうのうと生きている虐げられた人々が飢えに苦しむ世界で僕は何不自由なく生きている天変地異に襲われる地球の中で僕はただぼんやりと生きているポジティブではなくネガティブでもなく幸福と不幸の中間を僕は漂っているポジティブにネガティブに晴天と強雨の狭間を僕は彷徨っている
2024年1月29日 07:00
男がパンドラの箱を開けるとそこから無が飛び出してきた無秩序、無思慮、無関心、無理解、無分別、そして無気力男は慌ててパンドラの箱を閉めた箱の中に残ったものは・・・無欲 たったそれだけ
2024年1月28日 12:40
ベッドから上半身を起こすとふらふらして立ち上がることもできず僕はベッドに倒れ込む天井が揺れているような空に浮いているような体が突然なくなったような目を瞑ると真っ黒な世界が蠢くその浮遊感を再び味わいたくなって僕はまたベッドから起き上がる
2024年1月27日 09:02
傾いた時代に傾いた家に生まれ傾いた言葉を呟きながら傾いた道を歩いてゆく傾いた季節に傾いた花を眺め傾いた山の頂上で傾いた太陽に祈りを捧げる傾いた世界に傾いた体を預け傾いた視線で傾いた風景を見下ろす傾いた夜に傾いた孤独を抱え傾いた瞳から傾いた涙を流す傾いた銃弾に傾いた胸を撃たれ傾いた土の上で傾いた人は命を終える
2024年1月26日 07:21
真っ黒な空にみんなの夢を乗せた球体のロケットが轟音とともに打ち上げられるロケットは宇宙に到達することもなくみんなの夢と一緒に爆発したそれをみんなが笑顔で見ている少女はその笑みを不思議に思うなぜみんなは自分の夢が壊されたのにあんなに笑顔でいられるのだろう赤ちゃんが大きな声で泣いていた父親が母親に向けて「きっと音が恐かったんだね」と言ったでも少女は知っていた赤ちゃんは夢をひ
2024年1月25日 07:56
ミラコロワール 奇跡の世界そこではあなたの夢がすべて叶えられますあなたは夢を生み出してそれをすべて叶えていきますあなたはその達成感に酔いしれて次々に新しい夢を胸に描きます夢はどんどん大きくなってあなたの欲望もそれにつれて大きくなりますそれは麻薬の世界あなたはもうこの世界でしか生きていけなくなりますそしてある日ミラコロワールは限界を超えて破裂しますあなたはもう廃人同然で
2024年1月24日 07:58
放課後にクラスみんなでかくれんぼ僕は最後まで鬼に見つからなかった捕まった子どもたちもみんなで探したけれどそれでも僕は見つからなかった僕はどこに隠れたかって?僕が隠れたのは校庭のど真ん中さ
2024年1月23日 07:15
「そんなことする奴とは俺付き合えねえぞ」冗談っぽく言った俺に「誰があんたなんかと付き合うっていうの」口を尖らせて言うお前笑う俺の声にお前の笑い声が重なる「息がピッタリだったな」「間も良かったでしょう」俺たち二人の会話を友人が「いつ見てもいいコンビだね」と言うがいいコンビってなんだろうお互い好意があるのはわかっているのにいつも会話はボケとツッコミ二人の距離は縮まらないがだか
2024年1月22日 08:37
なだらかな流線形を描く君の体を僕はひたすらに見つめている神が創り上げた最高の芸術作品を僕はただ呆然と眺めている君が手を差し伸べてさえくれれば僕は君の胸に飛び込むだろうそして二人はアダムとエヴァになって禁断の木の実を口にするのだろうそれは神を裏切る行為でありエデンの園から追放される行為であるがそれならば新しいエデンの園を造ればいいだからビーナスよ僕と一緒に荊の道を歩いてい
2024年1月21日 08:55
空に真っ黒な穴が空いてその穴はどんどん大きくなって僕の真上で大きくなるのをやめた眼鏡をかけてよく見るとそれはテレビで見たことのあるUFOだった黒い穴から金色の光の円柱が降りてきた光は僕を包み僕をUFOに引き上げようとした僕は足に力を入れて近くの木につかまりその光に抵抗した僕は恐怖と好奇心が戦ったときいつも恐怖が勝って何事からも逃げていたでも金色の光の中で僕は考えた
2024年1月20日 08:48
あなたの前には壁がある高さはビルの二階ほどあり左右を見ても壁は永遠のように続いているあなたは考えるこの壁を越えようと思えば長いハシゴが必要だとあなたは考えるこの壁の端を探そうとすれば途中で餓死してしまうだろうとあなたは考え続けるどうすればこの壁を越えられるかをそして、あなたはあきらめるこの壁を越えることを壁は紙で出来ていたただ走って体当たりすればあなたは壁を抜けられた
2024年1月19日 07:34
この島では作った夢が壊れたとしてもまた違う形の夢を作り直せばいいのさ
2024年1月18日 07:49
僕の恋はいつも作り物の恋映画のヒロインにあこがれてしまう僕の恋はいつも夢見がちな恋自分勝手なロマンスを想像してしまう僕の恋はいつも無謀な恋不釣り合いな人を追いかけてしまう僕の恋はいつも勘違いの恋必ず結ばれると信じてしまう僕の恋はいつもクリスタルな恋大切にしながらも壊してしまう僕の恋はいつもまな板の恋最後は身動きもできずに死んでゆくだけ