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水木三甫
2023年11月29日 09:44
命は錆びゆく鍵穴であり魂は使い捨ての乾電池である体は殻を破れないヒナの叫びであり心は出口のない巨大迷路である時間は視力を失った太陽であり空間は伊達メガネのレンズのひびである地球は嵐の中のタンカーであり宇宙は行き場のない独裁者である
2023年11月27日 09:07
慣れない手つきで君が築こうとしている幸せの塔はいつも途中で崩れてしまうそれでも君は何度も何度も挑戦するまるで賽の河原で石を積むように
2023年11月26日 12:22
早くしないと逃げちゃうよ今ならすぐにつかまるよだから今すぐつかまえてとにかく僕をつかまえて
2023年11月25日 09:40
道なき道を人間の大群が押し寄せる後に残されたのは舗装された道路だけ埋葬された生物たちの死の世界
2023年11月23日 07:29
何もない夜空を見上げる雲も星もない空を見上げる宇宙の一番奥が見たくてただひたすらに空を見上げる見えるのは藍色だけなんだけどそれでも藍色のその奥を僕は見上げる宇宙の一番奥の景色を想像しながら僕は何もない夜空を見上げる
2023年11月22日 13:10
男は空を飛びたかったある日、男はビルの屋上に昇り両手を羽ばたきながら空へと飛び跳ねた男はビルを落ちていき地面に当たって死んだとさだけど男の魂は空高くへと飛んでった
2023年11月20日 08:58
メロスは走ったでもメロスは知っていた城から故郷まで往復していたら3日後の日没に間に合わないことをそれでも友情と信頼を失わないためにメロスは走った妹の結婚式が終わってすぐにメロスは城へ向かって走り出した今日の日没までに城に戻らなければ親友の命が奪われるから最後の体力を振り絞ってメロスは走ったしかし体力は尽き走ることが出来なくなった親友が死ぬのならば自分も死んで責任を取る
2023年11月17日 07:23
枯れ葉が鳥になって空を舞う赤い鳥 黄色い鳥 茶色の鳥 緑の鳥色とりどりの羽根を風に任せて枯れ葉たちが空を飛ぶ風が止むと枯れ葉たちは死に絶え地上に降りたち墓標を作る北風よ もっと吹けそして枯れ葉たちに命を与えろ枯れ葉の鳥たちの合間から青い鳥を見つけるまで
2023年11月16日 07:12
一夜にして地面は白一色に染まった雪は空中の雑音を飲み込み地上に積み重なっていく白い静寂汚れた大地を覆い隠しながら雪は人間の欲望を飲み込み徐々に高く積み重なっていく白い純潔目が覚めたとき人は白い世界を見て何を思うのだろうか白い芸術やがて積もった雪は人間に穢され雪は黒く泥まみれになる雪が溶け雑音と欲望が目を覚ます白い幻滅それでも雪は降り続ける白い平和を人間た
2023年11月13日 08:52
一羽のカラスが鳴いていたでも誰も返事をしてくれないカラスは何度も鳴いたけどやっぱり誰も返事をしてくれない仕方がないから隣の町へカラスは空を飛んでったも一度カラスは鳴いてみた今度は返事が返ってきたカラスはやっと仲間を見つけ眠りの森へ帰っていった
2023年11月12日 16:58
公園のベンチで池を眺めていたら唇がムズムズ蠢いて手鏡で見てみたら唇にヒレが生えてきた驚いて鏡を見ていたら唇が金魚になって僕の顔から逃げ出した金魚は池に飛び込んで楽しそうに泳ぎだした僕は公園を出てペットショップで金魚を2匹買って顔にくっつけた金魚はヒレがなくなって僕の唇は顔に戻った
2023年11月11日 09:18
ずっと咲いていたいから枯れるのが恐かったから鉄の花を咲かせたのでも鉄の花は重すぎて茎があっさり折れちゃった鉄の花は地面に落ちた梅雨が来て、雨が降って鉄の花は錆びついちゃったこれじゃあ枯れたのと一緒だよ
2023年11月10日 09:26
誰もが欲望という名の荷物を持っている大きい荷物の人もいれば小さい荷物の人もいる前に進むには小さい荷物のほうがいいに決まっているそれなのに人は大きい荷物を持ちたがる荷物は大きいほどいいと思うそしていつかその荷物に潰されて前に進めなくなる
2023年11月6日 07:55
60歳 還暦3度目の成人式10回目の小学校卒業式そして60回目の誕生日60歳 還暦赤いちゃんちゃんこは古いからハロウィンでスパイダーマンの仮装でもしてみようかとも思ったが恥ずかしくて出来なかった60歳 還暦これからは子供に返っていく子供の心はまだ持っているつもりだがそれでも大人になって失ったモノがある60歳 還暦子供返りすることで失った何かを取り戻せるかもしれない