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肥後百景

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故郷の断片的な記憶を呼び起こしてます。クスッとなってもらえるなら生きてた甲斐があります。
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#エッセイ

肥後百景#0

肥後百景#0

又吉直樹先生が大好きで、その彼が敬愛している太宰治もまた好きになりました。

こんなことを書かれることは両人ともにごめん被りたいはずですが、続けます。

彼らの時空を超えた同調。それこそ物書きであり本の虫だったからこそ。そこまででは無いけれど、僕もまた本で繋がれた感覚がありました。

いくつか又吉先生の本を読んだ中で、特に気に入ったのが「東京百景」という本。

関西から上京しお笑い芸人を目指し過ご

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肥後百景#27【ビレバン】

肥後百景#27【ビレバン】

熊本にもPARCOがあった。
つい最近、長い歴史に幕を閉じたが。
そこのB1にタワレコが入っていたのだが、最上階にはビレバンがあった。

暇な時はタワレコからずーっと各階を回っていって、最後に辿り着くのが暇つぶしの一つとなっていた。

まあ時間を潰せる物はたくさんある。
僕は、本が好きなので、店員さんの書いたオモロいポップを眺めながら気になった本を手に取る。

その辺の書店には平積みしてないような

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肥後百景#26【タワレコ】

肥後百景#26【タワレコ】

ダサいと思われたくない。
あわよくばイケてると思われたい。

その思考回路そのものが既にダサいということには気づくことなく突き動かされてしまうのがダサい男子特有なのだけれど
とにかく、イケてるとどうやったら思われるか日々必死だった。

その中の一つに
「音楽」
というジャンルがあった。

イケてる男子は歌がうまかったり楽器(特にギター)が弾けたり、このジャンルにおいてアイデンティティーを確立してい

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肥後百景#25【通潤橋】

肥後百景#25【通潤橋】

ゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーーー

物凄い轟音と空気の振動を伴って勢いよく橋の中央から下を通る川へ向けて水が放水される光景を写真や映像などを通して見かけてことがある人もいるのではないか。

全国的にも有名な熊本の観光スポット
通潤橋

先人の叡智と努力の結晶としてこの地に造られた話は地元だけでなく全国区の伝説となっている。小学校の道徳の教科書にも載っている。

そんな有名なだけあって、社会科見学での

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肥後百景#23【健軍その3】

肥後百景#23【健軍その3】

学区が結構な田舎である。

熊本県内でみるともっと田舎はあっただろうけど、熊本市内の中でもギリギリ市内の公立小学校だったので畑やら田んぼやら川やら竹藪やら、田舎っぽさは十分満載な地元で小学生をしていた。

そんな地元だったので、登下校が結構スリリングで、下校途中に蛇が出現するとか、大雨の時は川が氾濫するとか、自然の脅威はたっぷり体感できる6年間だった。

家から学校までの距離もそこそこあり、低学年

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肥後百景#20【国道3号線】

道路との思い出があるというのが自分でもびっくりだけれど
意外とある

それはやはり車文化という田舎ならではのものなのだろう
国道というとそれが東京、日本橋にゆくゆくは繋がっていくというのを聞いたときは全く実感がわかずともロマンを感じたものだが

東京まで行かずとも様々な衝撃を与えてくれる

国道3号線は
ずーっと走らせると福岡に着く
熊本から向かうと、八女などの熊本っぽい田舎の風景が続くが市内まで

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肥後百景#15【ヒガバイ】

肥後百景#15【ヒガバイ】

日常会話でよく耳にしていたが
じっくり考えたこともそういえばないな
というワードを誰しもいくつか持ち合わせていないだろうか

僕の場合それに当たる言葉の一つ

【ヒガバイ】

子どもの頃からよく耳にしていたが
どうも道案内や場所を説明する際によく出ていたので、そういう道があるんだな
ってことぐらいは幼いながらに分かっていた

正式には
国道57号線
東バイパスと呼ばれることの方が多いらしく、略して

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肥後百景#12【金峰山と百日紅】

肥後百景#12【金峰山と百日紅】

小学5年生になると
宿泊教室がある
修学旅行に並ぶ絶対に外せないイベント

野外炊飯、キャンプファイヤー、キャンドルファイヤー、出し物大会、ナイトハイク

クラスのみんなで二泊三日

侵食を共にするだけで、普段とは違った一面が見られる。

たった二泊三日でしかないのに

一生に思い出に残る濃密な二泊三日。

1ヶ月ぐらい前からそわそわし始め

いよいよ一週間前ともなると、もうパニックである。

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肥後百景#11【水前寺公園】

肥後百景#11【水前寺公園】

熊本の水の名所といえば外せない

水前寺公園

水前寺清子の水前寺

公園という名はつくものの

その辺の公園のように誰でも入れるのではなく

入園料がかかる立派な公園

公園の維持費がかかっている分

とても綺麗に整備されていて、もはや庭園

市電の電停があるのでとても身近な場所だったにも関わらず

入ったことはなかった。

庭園の中にある綺麗な池

そこから流れ出た小川を横目に自転車で毎日帰っ

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肥後百景#10【下江図湖】

肥後百景#10【下江図湖】

僕は釣りが苦手だ。

けれど、なぜか時々したくなる。

仮に万が一、たまたま釣り上げてしまったとしても魚を触る事ができない。

あのヌメっとした体と、鱗がすぐ剥がれて手に付く感じといい、臭いといいどうにも受け付けない。

おまけに、少しおとなしくなったかと思って頑張って触ろうとする時に限って

ドゥインドゥインなって暴れ倒すあの感じがとにかく苦手なのだ。

じゃあそこまで明確な嫌悪感を抱いた僕がな

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肥後百景#9【子飼橋と河川敷】

肥後百景#9【子飼橋と河川敷】

市街地に白川という名の大きな川が流れている。
高校から大学にかけてこの川の河川敷にはお世話になった。

部活帰りには、帰り道にあるタピオカ屋でどでかいタピオカを購入し子飼橋を渡ってすぐ脇道にそれると辿り着く河川敷で、友達とよくダベった。

最近都内でタピオカが流行ったが、熊本では根強い人気があるタピオカ。
そのせいか、タピオカは田舎ほどウケるのではないかと勝手に思っている。
都内は田舎者の集まりみ

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肥後百景#6【街】

肥後百景#6【街】

東京や大阪や福岡といった都市部では繁華街がたくさん存在するので
どこに行くかしっかりと地名で表明する。

渋谷新宿、難波梅田、博多天神……

この文化が、熊本には一切ない。
というより、その全てを一ヶ所が担ってしまっている。

お城のお膝元から程遠くない位置ある繁華街。
県民はそこを指して言う

「街、行ってくるけん。」

そう

『街』

この一言で全てが伝わる。

いや、それはどこの街なんです

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