マガジンのカバー画像

SF、読書のよろこびマガジン

123
大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
運営しているクリエイター

#ミステリー

翻訳ミステリーが好きなことにきづいてしまった!

翻訳ミステリーが好きなことにきづいてしまった!

芸術性のある素晴らしい物語よりも、冒頭で事件なり犯行予告なりに引っ張ってもらう方が好きなことに気づいてしまった。
翻訳ミステリーが好きなことに気づいてしまった。
半月に一冊のペースで読む。読むか飽きると、帰りしな本屋に立ち寄ってその場だけの限られた在庫と、少ない紹介文から一冊を選ぶ。
値段はちょっと高め、2000円から3000円ぐらい。その時はちょっとした祭りである。
日本作家の繊細な文章とは違う

もっとみる
【読書】蜘蛛が巣を張るように、一本づつ人物相関図ができあがるカササギ殺人事件【ネタバレなし】

【読書】蜘蛛が巣を張るように、一本づつ人物相関図ができあがるカササギ殺人事件【ネタバレなし】

登場人物の関係がわかりやすいように、人名を矢印で「→好き ↓疑い」とかで繋いだやつあるじゃないですか。そう!相関図。

カササギ殺人事件はページをめくるたび、蜘蛛が葉先からいっぽんづつ糸をひいていくように新しい登場人物からその先へ、人物相関図ができていく。

作品は葬儀の場面からはじまる。
歴史ある屋敷の使用人が、階段から落ちて死んでしまった。どうやら掃除機のコードに足がからんだ事故のようだが、そ

もっとみる
【ネタバレ】変態が死にます「陰獣/蟲」江戸川乱歩

【ネタバレ】変態が死にます「陰獣/蟲」江戸川乱歩

東野圭吾が100通りの殺人方を考えても、人を殺したくてしょうがない人とは思えないが、江戸川乱歩は女の部屋を覗く場面が3回出てきただけで、書くことでなんとか現実世界で実行せずにすんだ人として認識してしまう。

角川ホラー文庫の「陰獣」を読みました。カップリングに「蟲」が収録されて、特別な装丁と解説が入っている。シングルカットされたCDみたい。

陰獣は代表作のひとつと聞いて期待して読んだから、なんち

もっとみる
【読書】獄門島

【読書】獄門島

かつて流刑にあった罪人の子孫が住む島「獄門島」に、ニューギニアで終戦をむかえた探偵がやってくる。
有名ですがシリーズ初体験。横溝正史の金田一耕助シリーズ「獄門島」。

いま、名探偵と入力したら予測変換で「コナン」と「少年の事件簿」のほうが上だった。孫よ。有名になったのう。

金田一耕助には、若いハツラツとしたイメージがないけど、名探偵として難事件を解決したあと、兵隊になってニューギニアで生活してい

もっとみる
ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」

ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」

インドのスラムで起きた、子供の失踪事件。

スラムが題材の作品は「スラムドッグミリオネア」、小説だと「三つ編み」を読んだけど、それらが航空写真としたらこっちはハンディカメラで潜入したよう。
子供の視点まで姿勢をさげて、風景を細かく切り取る。

インド出身で貧困層の取材をしていたジャーナリストでもある作者が描く、スラムの少女が見つめる手のひらの描写はこんなだ。

「指のまわりにぐるっとできたマメやタ

もっとみる
「後ろ手はやめろ、飯を食うときどうするんだ」吉村昭「破獄」ネタバレ有

「後ろ手はやめろ、飯を食うときどうするんだ」吉村昭「破獄」ネタバレ有

昭和11年の青森刑務所を皮切りに、秋田刑務所、網走刑務所、札幌刑務所、4回脱獄した佐久間清太郎の生涯を、それぞれの看守らの視点でたどる。

実際の証言を元にした小説です。

まずむかしの刑務所の様子だけで面白い。その中でこっそり練る策略。ミステリー的な脱出の面白さと、佐久間という得体の知れない男。
ひとつ刑務所を突破してはなぜか捕まってくる。

日本の状況が変わって、いちばんつらい戦時下では敗戦ム

もっとみる
【読書記録】元祖ルパンが大変なものを盗んでいくやつ。八点鍾

【読書記録】元祖ルパンが大変なものを盗んでいくやつ。八点鍾

かごの鳥のように不自由に育ったお嬢様を、ルパンが外に連れ出し、お嬢様に生きるよろこびをお見せしましょう、というものだ。

女性を連れ出したさきで入った無人の屋敷で、ネジを巻いてない、動かないはずの古時計が8つの鐘を打ち鳴らした。
時計の中に引っかかっていたものを見つけ、殺人事件に遭遇するのだが、事件が解決した後。ルパンは退屈な人生にもどろうとする女性を冒険の旅へといざなう。

人生は冒険だ。冒険が

もっとみる
【読書記録】今読んだ!「オリエント急行殺人事件」

【読書記録】今読んだ!「オリエント急行殺人事件」

「オリエント急行殺人事件」
表紙がいい感じでジャケ買いした。書店にはこんな出会いがある。

何度も映像化された有名作品で、少し前にも映画になったのは聞いていて、そのときに、映画ファン、ミステリーファンがこぞって

「結末を知っているのが当然なので、映画版は有名俳優たちの演技のすごさを見るもの。万が一、結末を知らない人がいたらうらやましい」

といった感想でして。知らないのがここに約1名おりますが・

もっとみる
今週読んだ本。ポール・オースター「ガラスの街」

今週読んだ本。ポール・オースター「ガラスの街」

読みました。先月「ザリガニに鳴くところ」が面白かったので、海外ミステリいける!昔は読めなかったはずなのに、それは翻訳が合わなかっただけで、むしろ現代日本の小説よりも、一生知ることのできない文化に触れられる感じが面白い!

と、なりまして、全く知らない作者の本を、表紙と見出しと、ミステリーらしいというだけで買ってしまった。

ガラスの街。

主人公は「ウィリアム・ウィルソン」というペンネームの推理作

もっとみる