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短編小説・読切小説集

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自作の一回読切の小説や、数回で完結する短編小説を集めています。基本的にハッピーエンドな青春時代を描いています。
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#高校生

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第1回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第1回)

1「えっ?転勤?」

父からの突然の言葉に俺が驚いたのも、ある意味当然だろう。
俺は大学2年生の伊藤正樹。今の大学は滑り止めで受けた私立大学で、いまだに第一志望の国立大に未練が残っている。
だが、家計を気にして浪人は出来ないと思いやむを得ず通うことにしたのと、バイトも色々掛け持ちしているので、なかなか授業にも身が入らなかった。

家計を気にする理由には、3歳下の妹の存在があった。
伊藤由美、高校2

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【読切小説】初戀

【読切小説】初戀

1「今度、映画に行こうよ。俺と、三井と、田川さんと井上さんで」

「え?4人で?」

「そうそう。最近、三井と田川さんが上手くいってないみたいでさ、三井から相談を受けたんだ。じゃ、2人で解決出来ないなら、俺が一肌脱いでやるって言ってね。でも俺が1人加わるだけじゃ、ちょっと…ね」

「それで、アタシを誘ってくれたの?」

「うん…。ダメかな」

「ううん、いいよ。アタシで役に立てるなら」

「本当に

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【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第3回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第3回)

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7いよいよ俺と由美の2人で一夜を明かし、本格的な2人暮らしが始まった。

平成元年9月30日(土)という、9月の末日スタートになってしまったが、曜日や家族みんなの都合上、仕方ない。

大学は9月一杯は前期試験ということもあり、後期の再開は10月2日の月曜日からになっていた。
個人的には、早く軽音楽のサークルに顔を出したかった。
気になる女子の後輩がいたからだが、由美や親には完全

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【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第5回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第5回)

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13遂に俺、伊藤正樹が、妹、伊藤由美の保護者として由美の通うS高校の保護者懇談会へ出向く日が来た。

朝ご飯を食べながら、先に高校の制服に着替えていた由美に聞いてみた。

「俺、スーツは大学の入学式用に作ったのを1つだけ持ってるけど、懇談会だからスーツ着た方が良いかな?でも普段着で良いかな?由美、どう思う?」

由美は週末の秋の県大会で上位入賞を果たし、機嫌が良かった。

「お

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【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第7回)

【短期集中連載小説】保護者の兄とブラコン妹(第7回)

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19まだ先だと思っていた由美の高校の三者懇談の当日になってしまった。

由美に期末テストの出来は確認していたが、どう聞いても「まあまあ」としか言わないので、まずそこそこの点は取れたのだと思う。
由美は失敗したら、態度ですぐ分かるので、その点はちょっと安心だった。

「じゃあお兄ちゃん、4時半に2年2組の前でね」

「おう、いってらっしゃ~い」

突然雷と大雨に襲

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【短期集中連載】保護者の兄とブラコン妹(第18回)

【短期集中連載】保護者の兄とブラコン妹(第18回)

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50今までの由美なら、いくら水泳部優先でも、定期試験の前は一切泳がず勉強に集中していたが、3年生となったこの年は、定期試験よりもインターハイ予選に備え、毎日泳いで感を鈍らせないことを優先していた。

そのためか5月下旬の中間テストでは、いつもより成績を落としてしまったようだ。

「どれくらい成績落としたんだ?」

「ま、まあ平均以上取れてた科目で、平均並みしか取れなかった…って

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