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妄想のカケラたち

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書く習慣アプリのお題 シロクマ文芸部のお題 ....などから妄想したもの
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2023年6月の記事一覧

入道雲の発生原因 #妄想のカケラ

入道雲の発生原因 #妄想のカケラ

#102 入道雲の発生原因

昼休み
みんなが木陰で食べていた
ソフトクリームは
あっという間に溶けて
夏空に浮遊し始めると
集まって入道雲になった

予報によると
今日も夕方から雷雨になるらしい。

書く習慣アプリのお題「入道雲」から #詩

そして、大人になろうと決めた #妄想のカケラ

そして、大人になろうと決めた #妄想のカケラ

#100 そして、大人になろうと決めた

じゃーまた明日!

あの日の僕は、手元にあるゲームステージのクリアが重要で、惰性のさよならを君に送った。
何よりも、明日も明後日もずっと今日と同じ朝がきてまた会えるものだと疑う余地もないほど僕は子供だったのだ。

あの頃の僕は君と憂鬱を共有しあえるほど大人ではなかったけれど、
せめて、あの時、君と向き合って「また明日」と別れていたら、もしかしたら、少しは君

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甘く甘く、浸り続けていたい #シロクマ文芸部

甘く甘く、浸り続けていたい #シロクマ文芸部

海砂糖で作った金平糖をひとつぶくちにいれると
懐かしいあの海の思い出が蘇った

私はまだ小さくて
家族みんなが揃っていた
あの夏の海の思い出だ

やさしく物静かな母がパラソルの下からこちらを見守っている
私に泳ぎ方を教えてやると張り切る兄と
小さい子に無理はいけないと娘に過保護な父の笑顔

金平糖が溶けてなくなってしまうと
父も母も兄も消えてしまうので
次々と金平糖を頬張った
でも、あっという間に

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日常という名の醒めない夢 #妄想のカケラ

日常という名の醒めない夢 #妄想のカケラ

#98 日常という名の醒めない夢

いつもの風景の穏やかなまどろみ
居心地が良くて
抜け出せないし
抜け出そうとも思わない

これが夢ではありませんように
またまどろみの中へ堕ちてゆく

こうして私は
溢れる日常に飲み込まれてしまった__

書く習慣アプリのお題「日常」から #詩

未亡人の台所 ♯妄想のカケラ

未亡人の台所 ♯妄想のカケラ

#97 未亡人の台所

あなたがいたから
美味しいスープを作ろうと
毎日張り切れたのかもしれない…

懐かしくも寂しく
そして、静かに
今はひとりの台所で自分のために
鍋をかき混ぜている

夏至の日の夕暮れはまだまだやってこないけれど
つつがなく終わろうとしている今日の日に
早めの感謝をささげながら
ひとり静かに鍋をかき混ぜている

書く習慣アプリのお題「あなたがいたから」から #詩

妄想のカケラ【好き嫌いの描き方】

妄想のカケラ【好き嫌いの描き方】

#94 好き嫌いの描き方

好き嫌いをはっきりとしたコントラストで描いていたら、いつの間にかひとりぼっちになっていました。

どうやらこの世界の多くの人は好き嫌いをふんわりとしたグラデーションで描いているらしいのです。

しかもそのグラデーションのふんわり感は人それぞれで、もしかしたら、そういうのを個々の価値観と言っているのかもしれません

そして、そういうのを
「お互い認め合いましょうね」
とい

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ガラスの手(シロクマ文芸部)

ガラスの手(シロクマ文芸部)

ガラスの手に負った傷を金で繕う

手に走っていたひび割れは
流れる星の軌跡のような
美しいタトゥーになった

でも、もう、これ以上
傷ついてほしくない

大切な大切な
僕だけのガラスの手

もう居ない
君から生まれたガラスの手
#シロクマ文芸部
今回は詩で参加しました。
部長の小牧さん、今週もステキなお題をありがとうございます。

ガラスの手ということで
昭和の子供だった私は銀河鉄道999の食堂

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妄想のカケラ【世界の終わりに君と】

妄想のカケラ【世界の終わりに君と】

#93 世界の終わりに君と

世界の終わりに君と一緒になりたいと
ここ1年ほど温めていた思いを伝えたけれど
あっさり玉砕した

一か月ほど前
大きな隕石が衝突して世界が終わるという発表があった
急に世界の終わりを聞かされ世間も僕も激しく動揺した

自暴自棄になり暴走する人もいて一時は治安も悪化したけれど
世界の終わりが近づいても
いや、終わりだからこそ
職務や義理を果たそうとする生真面目な国民性に

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猫から始まる恋もある(シロクマ文芸部)

猫から始まる恋もある(シロクマ文芸部)

恋は猫から始まった

知人以上恋人未満の男友達からメッセージが入った

猫を拾った
助けて

思わず拾ってしまった小さな命の画像とともに

安易に命を拾ってしまった彼に小さな怒りを覚えつつ
送られた画像にハートを射抜かれて
今行く!
とすぐ返事をして
まだ残してあった猫の生活道具を抱えて
はじめて彼の家に行ったのが3年ほど前

小さくてか細い茶トラの仔猫は
その後、どんどん成長して
いまやりっぱな

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