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今日も今日とて

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平凡で、理不尽で、残酷で。だけど、本当はやさしい。そんな世界のお話。
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#私

「誰かのため」に生きることは不幸と幸せ

「誰かのため」に生きることは不幸と幸せ

「理想の自分」「なりたい自分」について最近、よく考える。

昔から「どんな人になりたい」とか「憧れの人」だとか、そういうのが苦手だった。できるだけ早く子供を産んで、お金持ちと結婚して・・・そんな風にキラキラした目で楽しそうに夢を語る同級生たちを、私はいつも不思議な目で見ていた。将来のことなんて、正直あまり真剣に考えていなかったし、ただ親が喜ぶからって理由で、有名大学を目指したりしてた。なりたい職業

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ぼやけた物語の主人公。

きれいな洋服を着て、
大きなお城のような家に住んで
王子様のような旦那様がいる。

小さい頃は、そんな物語を思い描いていた。

少し大人になってからは、

スポットライトを浴びながら
バリバリ仕事をして
有名になって、たくさんお金を稼ぐ。

そんな物語を思い描いた。

そうやって、何度も思い描いたいくつもの素敵な物語。だけど、その物語の主人公の顔は、なぜかいつもぼやけていた。

***

今、私が

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「この爪に精一杯の私を込めて」

「この爪に精一杯の私を込めて」

何も予定のない日曜日の午後。

いつものようにまだ半分眠ったままの頭で電気ケトルのスイッチを入れ、ぼんやりとした感覚を少し楽しみながらコーヒーをドリッパーにセットする。いつの間にかお湯は沸いていて、買ったときはあんなに心が躍っていたはずなのに、今はもう何も感じなくなってしまったブルーのケトルを持ち上げ、ほんの少し、お湯を注ぐ。ふわっと湯気とともにコーヒーの香りが舞い上がる。

淹れたてのコーヒーを

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「どんな私でありたい?」

「どんな私でありたい?」

そう問いかけられる度、私の思考は止まっていた。

数年前、自己啓発が流行り始める少し前のことだ。私は自分探しに必死だった。そんなとき、信じるべき”何か”を見つけ、それを信じて疑わない眼をした人たちから、何度もそんな問いを投げかけられていた。「理想のあなたは?」「なんでも手に入るとしたら何が欲しい?」そんななんてことない問いがいつも私を追い詰めていた。

物欲がないわけではない。したいことがないわけ

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