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ろう学校を語る

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私の生い立ちで学んできた学校18年間を振り返ってみる。今まで語ることない事実や懐かしい話を伝える場所です。通学していた当時は、聴覚口話法が主体の背景だった時代であり手話法への転換… もっと読む
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記事一覧

緊急要望!手話教育に一言申し出す!

緊急要望!手話教育に一言申し出す!

非常に許されないことを皆さんに知って頂くことをここに執筆します。2020年3月に発行された「聴覚障害教育の手引き〜言語に関する指導の充実を目指して〜」を購入し、先月に読み終わりました。

 この中で遺憾なことを感じていることが残念ながら、現実に証拠となっている資料を見つけることに誠に残念な想いを感じています。これが全日本ろうあ連盟の方も共感であり、文部科学省宛てに以下の要望書を提出した動きがあるこ

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聾学校と特別支援教育の境界線に迫る

聾学校と特別支援教育の境界線に迫る

聾学校について、色々と執筆していることは多いがここでいう教員の成長を支える構造というものは非常に難しいものである。ある先生の原稿から一部、引用する。

「教員の資質と二つの知の関係」(上図)の矢印に従って、専門性について説明します。【技術知】が一つの引き金となって授業が展開され(①)、その結果として授業中に起きた多様な経験が【実践知】として蓄えられていきます。(②)。蓄えられた実践知は技術知を刺激

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聾学校の昔と今で変わっていることー後編ー

聾学校の昔と今で変わっていることー後編ー

先日の投稿(前編)で記述した続きに入る。時代の変化と多くの方が口にするのは寛容範囲である。しかし、本当に時代の変化が動機だろうか。実は、この変化というのはもう既に世界に視点を変えてみると、日本の教育は遅れているということなのだ。歴史を長期的に見たとき、過去(もっと早い時期)に実現してもおかしくなかったというのに人間だからこそ、気付くのが遅いだけであって、誰もか前向きに変わろうとしないことが遅れてい

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聾学校の昔と今で変わっていることー前編ー

聾学校の昔と今で変わっていることー前編ー

きこえない学校のイメージというのは色々な考えもあるが、ここでいうろう学校は全国どこでも同じとは限らない。私が実際に見てきた北海道の聾学校それぞれの位置づけであって、一部の記述内容は、卒業生のコミュニティの中で共通することであると認識していただければと思う。あくまで記述する内容が、全ての人に思っているとは限らない。一つの話であり、実際に見る聾学校現場に伝わらない本当の事実は多様にある。という認識で前

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きこえない学校のイメージって?!

きこえない学校のイメージって?!

大阪府で起こった裁判の中で聾学校の教育についていろいろな意見があったわけなので、この際きこえない学校ってどういうものなのかということを自分の経験談として執筆する。

 かつて北海道の聾学校は、平成2年度(1990年)まで聴覚口話法が主体の教員研修及び、研究授業会が数多く実施されるほど、指導方法は手話を禁止され読唇術といった厳しい指導を児童生徒に叩き込みながら学習するということが一般的であった。手話

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ロイロノートの授業を考えてみた①

ロイロノートの授業を考えてみた①

ここで挙げる内容は、私が勤務するときに一度実践したある研究授業のために準備し温めてきた教材及び授業スタイルを伝えていきたいと思っている。先日の投稿(「GIGAスクール構想に思うこと」)で伝えたように今後、児童生徒にはICT活用する新たな授業環境において学ぶことに恵まれてくる時代になろうとしている。筆者は、提唱する以前から教職員の指導方法は古過ぎてつまらない。飽きてくるので楽しいことをやるためにはタ

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聴覚障がい教職員の存在

聴覚障がい教職員の存在

久し振りに配信するデフ・スタディの時間シリーズ第15回目に触れておく。YouTube動画「北海道における聴覚障がい教職員の歴史」をぜひ視聴して頂ければ幸いである。その上で、今勤務しているきこえない先生方の人数は昔と比べて増加している傾向にあるが実は残念ながら厳しい環境に置かれていることは改善しておらず。転職、または自主退職するなど教職から辞めていくという苦しい気持ちを抱えている方も数人いることを知

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味覚を知る

味覚を知る

みなさん、ご飯を食べて味をどのように伝えますか。多くは「美味しい」「不味い(美味しくない)」という2択でしょう。笑。でもテレビで見るグルメレポーターの話で出てくることばって非常に様々な表現がありますね。

「甘い」「まろやかな甘さ」「ふわーとした甘さ」「とろける甘さ」・・・

 これってどういうイメージだろうか。と聞いたら、人それぞれイメージするものは違いがあるはず。きこえる子なら、その言葉を聞い

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「動詞」を学ぶ

「動詞」を学ぶ

先日の投稿「品詞には色々な種類がある」の続きで、これから一つ一つの授業の中で気付いたことを記述していきたい筆者であるがこれはあくまで実際に起こった中での出来事である。この出来事が他に似たような経験やすべてのきこえない子どもが必ずしも同じ事があるとは限らないということを前置きしておく。

 まず「名詞」から一つ一つ話したいと思ったが、ここはあえて「動詞」から始めていく。まず、どのようにして授業を行っ

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理由・根拠を説明する力

理由・根拠を説明する力

これから何回か、授業例で痛感したことを少しずつお伝えしていけたらと思うので、ぜひ読んで頂ければ幸いです。この気付きというのは、先日の投稿「オンライン授業を考える」にてお伝えしたように2つの授業を通して自分が得た新たな学びである。この学びというより、得た経験談として後における聴覚障がいの指導とは何かという教育者の視点から真面目に語っていきたい。暑苦しい内容かもしれませんが、一つの視点であるということ

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品詞にはいくつかの種類がある

品詞にはいくつかの種類がある

ことばの引き出しを増やしていくことで、自分の話す力がどれだけ日常生活の中で活かせること出来るのかが決まってくる。語彙力が多い人は、この人は頭賢いね・・・。とか仕事で色々と頼れそうな人だな・・・。と第一印象がそれぞれ違いが出てくるかもしれない。

 でもことばの引き出しを増やすことが良いことではない。私は一番とても大事にして欲しいなと思っているのが、ことばの使い分けが上手く出来る人ではないかと思って

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助詞の重要性に気付くこと

助詞の重要性に気付くこと

私がいつもオンライン授業で心掛けていることを一つお話ししたい。とはいえ、日本語について考える内容になるが実に言うときこえない子どもが学ぶことは苦手であることが多い。また教育者として、指導する側にとっても難しいというのが日本語による言語指導であることはみんな同じことを意識している。

 言い方を変えれば、きこえない子どもに日本語を教えるというのは外国人が日本に来た時に教えるのと同じことである。同じ日

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GIGAスクール構想に思うこと

GIGAスクール構想に思うこと

今の時代はコロナ禍で多少の大きな変化が起きている。特に教育現場では、対面授業が難しいというところも教員の悩みである。感染しないように気を付けながら、出来る限りの授業を実践するというのはいつも通りのスタイルから変えていかなければならないところがある。

 例えば、いつも通り、生徒が前に出てチョークをもって黒板に書いてもらうように答えさせるという行動も制限される。プリント配布するときに生徒にお願いする

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今だから言える聴覚障がい教育③

今だから言える聴覚障がい教育③

私は、これまでの投稿の中で伝えている一貫性のテーマが手話に対する考えであるということを読んでいるみなさんは一つの受け止めとしているだろう。その原点は、以下の通りある講義で履修した際に提出したレポートが教員としての持っている姿勢であることを物語っている。 第3回目のテーマは、「聴覚・口話を活用して指導を行う際の配慮事項、また手話を活用して指導する際の配慮事項」とは何か。私なりの考察と感想を合わせて述

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