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【BL二次小説(R18)】 卒業旅行⑦


チュ。チュ。……チュ。


新開が荒北の背中にキスの雨を降らせる。


荒「ウ……ん」


新「そろそろ集合時間だよ。起きて」


目をこすりながら身体を起こす荒北。

ベッドから降りてパンツを履く。


荒「……腹減った」

新「昼メシ食ってなかったもんな。ディナーが楽しみだ」


ガイドブックをパラパラとめくる新開。


荒「……なァ、新開」

新「ん?」


荒「東堂のヤツ、巻島に電話する頻度が減ったって?」

新「ああ。巻島くんは元々マメなタイプじゃないから……。だから今はほとんど連絡取り合ってないんじゃないかな」


荒「……」


考え込んでいる荒北を見て、新開は背後から腰に手を回す。


新「なんか力になってやりたい、って思ってるだろ」

荒北のうなじにキスしながら耳元で囁く。


荒「オレぁそんな優しくねェよ」

新「ははっ。いつも尽八と喧嘩ばかりしてるくせに。そういうの放っておけない性格なんだからな」

荒「っせ」

新「そういうとこも好きだよ靖友。全部好きだ」

荒「ウウ~」

顔を赤らめてもがく荒北を新開はギュッと抱き締めた。





東「これからダウンタウンネズミーへ行くぞ」


シャトルバスの中で東堂が説明する。


東「土産物屋や飲食店、映画館、劇場、ゲーセン、本屋、何でもある。そこで食事をして、花火を観る」

新「ヒュウ!完璧!」




ダウンタウンネズミーへ到着した。

鮮やかなネオンが煌めき昼間のように明るい。
様々なショップが建ち並び賑わっている。
あらゆる方向から騒々しい音楽が聴こえてくる。


福「いろんな大道芸をやっているな。レベルもかなり高い」

東「みんなミルクドソレイユのダンサーだ」

荒「マジ?そんなのタダで観ちゃってイイのかよ!」

東「ダウンタウンの突き当たりに劇場がある。気に入ったら来てくれ、という宣伝だ」

新「ふぇ~。贅沢な話だなぁ」


ウインドウショッピングしながら歩いていると、大きなゲートが現れ入口で何やら持ち物チェックをしている。


福「あれは何だ?ゲートの向こう側にも華やかな店が並んでいるようだが」


東「あそこはオレ達は入れない」

新「え?なんで?」

東「あのゲートより先は大人の世界だ。21歳にならんとな」

荒「マジか!」


荒北がピョンピョンとジャンプしてゲートの向こうを一生懸命覗こうとする。


東「馬鹿者。べつにストリップ小屋のようないかがわしい店があるわけではない。バーやクラブなど酒場が並んでいるだけだ」

荒「なんだつまんね」

東「あってせいぜいブーターズ程度だろう」

福「ブーターズとは?」

新「あ、日本にも数店舗あるよな。巨乳のオネーサン達がタンクトップ姿で働く明るいアメリカンbar」

福「ほう」

荒「あ~あ。福ちゃんが興味示しちまったぜ」

東「酒が呑める歳になればオレ達も好きな店へ入れるさ。あと少しの辛抱だ」




一行はポップでカジュアルなテーマレストランに入った。

店員は皆60年代の格好をしている。
男性はリーゼント、女性はポニーテール。
足元はローラースケートだ。

真っ赤なオープンカーの形をしたテーブル席に案内された。


東「18歳のオレ達にはこのランクがお似合いだ。大人になったらまた改めて皆で来ようではないか」

新「ああ!絶対また来よう!」

福「そうだな」

荒「絶対だぞオイ!忘れンなよ!」


メニューを開いて物色する。
いかにもなアメリカンフードがズラリと並んでいる。

新「オレさぁ、本場のでっかいハンバーガー食べてみたかったんだよな~」

福「映画でよく見る、アイスと生クリーム山盛りのミルクセーキみたいなのはあるか」

荒「マッシュポテトだよ絶対マッシュポテト!日本じゃ滅多に出会えねェんだ!」

東「落ち着け。心配せんでも全部ある」



それぞれ人数分注文し、しばらくすると運ばれてきた。


新「あっははは!でけぇ!マジでけぇ!これこれ!」

ハンバーガーのあまりのデカさに新開は笑いが止まらない。


福「ミルクセーキと思っていたがシェーキだったのか。しかしこの優勝カップほどのデカいジョッキ。壮観だな」

優勝カップにソフトクリームやフローズンヨーグルトや生クリームやフルーツや様々なものが乗っている。


荒「マッシュポテトって、付け合わせのつもりで注文したのに何だよコレ!ボウルっつーか洗面器山盛りィ!これで一人分かよ!どーすンだよコレ!」

食べる前から敗北宣言の荒北。


東「うむ、実にいい絵だ。オネーサンにお願いしよう」


東堂がテーブル担当の女性店員を呼び、シャッターを押してもらえるよう頼んだ。


店員「sm~ile」

パシャッ!


テーブルいっぱいの食事と共に、4人組の素晴らしい記念写真が出来上がった。



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