【H】中学生でも分かるMMTの「お金」の話ー明るい未来をつくる経済学
本記事ではMMT(現代貨幣理論)の「お金」の話を、中学生でも分かるよう、できるだけ簡単な言葉で説明したいと思います。
1、MMTってなに?なぜMMTのお金の話を理解するべきなの?
MMTとは、「Modern Monetary Theory(現代・貨幣・理論)」という名前の通り、現代の世界で実際に通用しているお金について、その仕組みをきちんと説明しようとした、おそらくは史上初の理論です。
これに対して、世の中で語られている経済の常識や経済学は、お金についての考え方が、現代のお金には合っておらず、時代遅れなものになってしまっています。
なので、従来の経済の常識や経済学を学んだ、経済学者たち、学校の先生たち、テレビのキャスターやコメンテーターたち、官僚たち、政治家たち、そういった人々が経済について語ることは、根本のところが間違っているので、どれも的外れなものとなってしまっています。
こういう人たちの言うことを聞いてきたせいで、日本の経済は一向に良くならず、多くの日本人の生活が苦しかったり、若い人が将来に希望を持てなかったりするのです。日本が衰退の一途を辿っているのです。
みんながMMTのお金の話を理解し、それに基づいて経済や政治について考えるようになれば、こんな状況を終わらせ、明るい未来を作ることができます。だから、私たちはみなMMTのお金の話を理解するべきなのです。
2、MMTのお金の話には三つのポイントがあります
MMTのお金の話には三つのポイントがあります。それを難しい言葉でいうと、①主権通貨論、②租税貨幣論、③信用貨幣論、となります。一個一個、分かりやすく説明していきます。
2-1、主権通貨論:お金は国家が作っているよね!
私たちが使っているお金は「円」です。この「円」がどこから来たかを考えたことはありますか。「円」は500円玉のような硬貨や、1万円札のようなお札の形で存在しています。
皆さんは、そのような「円」が、お米のように田んぼに生えていたり、魚のように海を泳いでいたり、イノシシのように山を駆けているのを見たことがあるでしょうか。たぶん、ないでしょう。「円」は自然のモノ、天然のモノではないからです。
では、「円」はどこから来たのでしょう。ちょっと考えてみれば、国が「円」という貨幣を使うぞ!と宣言して、「円」を発行したと考えるほかないと分かるでしょう。このこと、現代のお金は、国が決定し発行したものであり、そうでしかありえないというのが、「主権通貨論」が言いたいことなのです。簡単ですね。
これ、一昔前までは現実に当てはまらない話でした。そのころまでは「金本位制」といって、金(ゴールド)が本当のお金で、硬貨や紙幣はその代用品という扱いでした。国は、紙幣が持ち込まれたらゴールドに交換しなくてはならず、だから好き勝手にお金を発行できなかったのです。あまり発行しすぎると交換するためのゴールドがなくなってしまうからです。
でも、50年ほど前に、もともとゴールドの大金持ちで最後まで金本位制をやっていたアメリカが、手持ちのゴールドが少なくなってきたので、「もうドルを金とは交換しない!」と宣言して、あっさり金本位制は終わりを迎えました。それ以後、現代のお金は完全に国家が好き勝手に発行するものになっています。この事件は、とってもショッキングだったので、当時の大統領の名前を取って、ニクソン・ショックと呼ばれています。
さて、従来の経済学や経済の常識は、まだ金本位制であるかのように、お金を金(ゴールド)のような量に限りがある自然のモノだと考えてしまっています。だから、従来の経済学は、国家の経済政策については、何もかも的外れになってしまうのです。
2-2、租税貨幣論:税金を払うために、お金が必要!
でも、そんなふうに国家が好き勝手に発行するだけのお金を、なぜ私たちは受け取るのでしょうか。それは単なる「紙切れ」なのに。
それを説明するための一つの仮説が、難しい言葉で言うと、「租税貨幣論」です。これは要するに、国はまず初めに国民に税金をかけておき、「税金は円で払ってね!」ということで、円を人々に受け取らせるのだ、という理屈です。
国は税金を払わない人を、最終的には刑務所に送ることもできます。なので、日本に住みたい人は円を集めて納税せざるを得ないし、ということは円を受け取って集めないといけない。
こうして円をみんなが受け取るようになれば、そんなみんなからモノを買いたい人たちも、円を受け取って集めようとする。こうして「紙切れ」にすぎない円が通用するようになっていくというわけです。
円はただの「紙切れ」で、それ自体には何の価値もないのに、現に私たちは円を受け取っています。なぜなのか。「租税貨幣論」は、それを説明する一つの有力な仮説なのです。
2-3、信用貨幣論:えっ、お金って借金で生まれるの?
最後の三つ目のポイントを難しく言うと、「信用貨幣論」です。ここで信用というのは「借金」のことです。「信用」されるから、「借金」ができる。英語では信用のことをクレジットと言います。クレジットカードとは借金をして買い物をするカードです。
だから、「信用貨幣論」というのは、お金とは借金だよ、お金は借金で生まれるよ、そういうことを言っているのです。
あれ、お金は国家が発行するって「主権通貨論」のところで言っていなかったっけ?と思うかもしれません。この疑問は鋭い。
この疑問の通り、お金の究極の出どころは国家の通貨発行なのですが、今の社会では、通貨発行の大部分を銀行が行なっています。国家と銀行、二つの通貨発行権があるのです。そして、銀行ではお金は借金で生まれます。銀行が行う通貨発行は「信用創造」とよばれています。
実はこれはあまり正確な説明ではないのですが、はじめの一歩として「信用創造」はざっくりと以下のように説明できます。
私が100万円を銀行に預けます。私の通帳には100万円と書かれています。私は100万円を持っているなと思います。さて、銀行はこの100万円のうち一部、たとえば、10万円を日本銀行に預ければ、残りは貸し出すことができます。銀行は残りの90万円(100万円-10万円)を太郎くんに貸し出します。
このとき、太郎くんの通帳には90万円と書き込まれます。太郎くんは、いずれ返さなければならないものだと分かっていますが、それでも自分はいま90万円を持っていると思っています。太郎くんのお金は90万円、その借金も90万円です。
このとき、私の通帳の100万円は10万円に書き換えられたりしません。私は相変わらず100万円を持っていると思い、太郎くんは90万円を持っていると思う。お金の合計は190万円になっています。
その後、太郎くんが何かを購入して、花子さんの口座に90万円を振り込みました。花子さんの口座がある銀行は、この90万円のうち、81万円を次郎くんに貸し出します。そうすると、私が100万円、花子さんが90万円、次郎くんが81万円を持っていると思います。
このようなことを繰り返していくと、数学的な計算(高校三年生で習う無限等比級数の和の公式)によって、最初の100万円が1000万円まで増えることが分かります。と同時に、増えた分と同じだけの借金が必ずあるのです。今回の場合は、900万円の借金があることになります。
この意味で、現代のお金は借金で生み出され、お金の量と借金の量は同じなのです。
いや、同じじゃないじゃん、最初の100万円分だけ、お金の方が多いじゃん、そう反論されるかもしれません。これは鋭い反論です。
でも、これに再反論することができます。
その最初の100万円は、銀行の「信用創造」からでなければ、どこから来たのでしょうか。もちろん、究極的には2-1で語った、国家の通貨発行です。でも、この国家による直接の通貨発行、現代社会では基本的に封印されているのですね。国家は自らを縛っているのです。そして、国家の通貨発行は、この2-3で語っている銀行の「信用創造」に倣った仕方で行なわれています。それが「国債」という借金のような形での通貨発行です。
いろいろと複雑なことはあるのですが、本質をざっくりいえば、政府は国債を中央銀行に引き受けてもらい、その代わりに支出可能なお金を得るわけです。ここでも借金の形をとってお金が創造されています。
だから、最初の100万円も借金から来ており、お金の量と借金の量は一致しているのです。
ただ、もう一度確認しておくと、国が「国債」という借金の形をとって通貨発行を行うことは、自分で自分を縛っているだけのことです。お金は国が作らなければ存在しないし、国はお金を作ることができる。そんな国がお金を借りる必要は一切ないのです。もし借りているとしても、返せと言われたら、究極的には作って渡せばいいのです。ただ、仮に借金のような形をとっているということです。
3、明るい未来のための経済学としてのMMT
これまでのところをまとめましょう。
①現代のお金は、国家が決定し、発行するものですし、そうでしかありえません(主権通貨論)。
②国家は、そのお金での納税を課すことで、お金を人々に受け取らせ、流通させます(租税貨幣論)。
③現代のお金のほとんどは、銀行から人々が借金するときに生み出されます(信用貨幣論)。ちなみに、国家もその真似をして国債で通貨発行をしているので、お金の量は借金の量と一致します。
以下では、ここから分かることを整理してみましょう。
3-1、政府に「財源」なんていらない
まず分かるのは、国家にお金が足りないなんてことは、あり得ないということです。
いまの日本ではまだ、現代のお金の本質がわかっていない、根本のところで間違っている経済学や経済の常識が主流です(その賞味期限はせいぜいあと数年でしょうが)。それは、お金を金(ゴールド)のような量の限られたモノだと思っており、まずそれを集めないと、政府もお金が使えないと思っています。
だから、国の政策を考えるに当たっても、お金が足りない、もっと無駄を削って節約をしないと、あるいはもっと税金を取らないとなどと考えてしまうのです。
でも、上の①から明らかなように、国家に「財源」なんて要りません。国家はお金を作ることができます。
3-2、でも、お金の作りすぎ・使いすぎは禁物だ
だからといって、いくらでも作っていいということにはなりません。お金を作りすぎ、使いすぎれば、それで買えるモノやサービスの方は有限で、すぐには増やせませんから、それらの値段がどんどん上がってしまいます。これをインフレ(ーション)といいます。
モノの値段があがることは、逆側を見れば、お金の価値が下がることです。お金を作りすぎ、使い過ぎれば、お金の価値が減ってしまうのです。あまりに急激にお金の価値が減ってしまうようなことは、世の中が混乱してしまうので、やってはいけません。
そうならないように使える手段は、お金をあまり作らず使わないことであり、あるいはお金を回収することです。それには、たとえば、税金を上げるといった方法もあるでしょう。
3-3、政府のお金づくりが足りなくて日本は30年を失った
ただし、日本を30年間苦しめてきたのは、ここで心配されているインフレではなく、その反対のデフレ(ーション)です。デフレでは、モノやサービスの値段が下がり、逆側を見れば、お金の価値が上がっていきます。
なぜ、こんなことが起きたのでしょう。③を思い出しましょう。お金の量は借金の量と同じです。みんながどんどん借金をして事業をおこそう、モノを買おうなどとすると、どんどんお金が増えて使われ、お金の価値が下がっていきます(インフレ)。
反対に、みんなが将来不安になり、借金はやめておこう、いまある借金はさっさと返そうと思うと、お金は増えず、むしろ、返済によって減っていきます。お金が減り、使われず、モノやサービスの値段は下がっていきます(デフレ)。お金の価値はどんどんとあがっていきます。
すると、お金は使わずに持っていたほうが有利になります。モノの値段は下がっていくので買うのを待った方がお得です。すると、誰もお金を使わないので、お金を稼ぐことが難しくなり、みんながどんどん将来不安に陥っていきます。そうして…悪循環が生まれます。
ここで、お金を大胆に作り出し使うことで、この悪循環を反転できるのは国家だけです。
なのに日本は、いまや時代遅れの経済学と経済の常識に捉われ続けていたため、国の借金が大変だなどというニセモノの問題を気にして、国が大胆な支出をできなかった。国が普通の人たちと同じような節約思考に陥って、悪循環を止めるほどの大胆なお金の創造と支出を伴う政策ができなかったのです。
3-4、これから数年が日本のラストチャンスかもしれない
いまの日本は、コロナのあとの世界経済の流れを受けて、一時的にインフレになっています。でも、ここでこの30年間と同じ間違いを繰り返すと、またデフレに逆戻りしてしまうかもしれません。
デフレでは、お金の価値がどんどん上がり、モノやサービス、それを作り出す人間の価値はどんどん下がっていきます。人々は価値が下がって自信を失い、お金が手に入らなくて将来が不安になり、しまいには未来に絶望していきます。そんななかでは子どもも生まれにくく、日本はどんどん衰退していきます。
そんな日本にしてはいけない。一時的にインフレになっている今が、日本のラストチャンスかもしれない。だからこそ、お金と経済についての正しい考え方、新しい常識をみんなが身につけ、声を上げ、政治を変えていく必要があるのです。
この新しい常識によれば、政府にお金が足りないことはありえない。もちろん、細かいことはいろいろと考える必要はありますが、基本的に政府は必要な政策ならなんでもできる。
だから、政府はお金自体を大事にする必要はありません。そこでケチケチする必要はないのです。本当に大事なのは、実際にモノやサービスを作る国家の能力、難しくいえば、供給能力であり、その根本にあるのは、ひとりひとりの国民です。健康で、やる気や希望に満ち、しっかりした教育と訓練を受けた国民、これが政府にとって本当に大事なものであり、政府がお金をケチって、国民の健康や希望、教育や研究を阻害するなど、論外なのです。
このことを教えてくれるMMT、そのお金の話は、明るい未来をつくるために、まずはおさえなくてはならない、新しい経済学なのです。
4、生きるか死ぬか、それが問題だ
最後に政治について一言。以上のことがある程度以上に分かっている真っ当な政党は、参政党、れいわ新撰組、国民民主党だけです。
これ以外の政党ははっきり言って百害あって一利なしですので、以上のお金の話がしっかり分かった人は、日本をこれ以上壊さないために、この三つの政党以外に投票してはいけません。
それは、立憲民主党・公明党・自由民主党を選んで、日本をますます壊し続けるのか、それとも、参政党・れいわ新選組・国民民主党を選んで、日本を立て直す第一歩を踏み出すか、そういう選択に他なりません。
日本の未来は、すべて私たち一人一人の選択に掛っているのです。
5、別の記事の紹介
以上の内容を、もう少し詳しく説明したり、いろいろ細かい点を批判的に検討したりしたのが、以下の記事たちです。もっと詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。