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ショートショート2

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#毎日note

ショートショート 君は今

一点の曇りしかない空を見つめ、
失踪した君のことを考えていた僕は、
一面に広がるコスモス畑へと視線を移した。

君は今、何をしているだろうか。
お煙草中かな。
上品な君は、
「お煙草してきていいですか?」
ってよく言うほどの
ヘビースモーカーだもんね。
そう考えると今君は、
お煙草中じゃないかな。
僕はそう予想しておく。
どうか至福の時を過ごしていてほしい。

なんて思ったところで僕は、
「死」

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ショートショート 面接

人見知りだということを長所にあげた彼女は、
「故に友達が少ないです」
とアピールし、
「人と目を合わせて話すのは苦手です」
と笑顔で言う。

それから彼女は、
親との関係が上手くいってないことを告白し、
「時折、殺したくなる」
などと正直な思いを述べ、
「親に対する感謝はありません」
とキッパリ言って笑顔を消した。

それに対して面接官は、
「なるほど、そうですか。
まぁ他人の家の親子仲なんてどう

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ショートショート パスタ

今日のランチは
明太子パスタを食べたと仰る女性に、
「美味しかったですか?」
と尋ねたところ、
「言われてみれば美味しかったです」
という答えが返ってきた。

では、
カルボナーラはどうなんだ?
と思った僕は、
「カルボナーラはお好きですか?」
と尋ねてみる。

すると女性は、
「カルボナーラはお好きなほうです」
と答えてくれた。

それだから調子に乗った僕は、
「ナポリタンはどのような感じですか

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ショートショート ファッションリーダー

仲間内でのファッションリーダーな君は、
性的な表現を含む内容の作品を病的なほど嫌っているから、
それが行き過ぎて恐いところがある。

なんせ自分や他人、つまり人間を、
性的な表現を含む内容の作品と捉えているから、急にスイッチが入って嗚咽しまくった後、大発狂かますんだもの。
やめてほしいよ。
もう少し冷静になるべきだ。
損するのは君なんだからね。

あと僕のエコバッグやフードの中に吐き気を催すのもや

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ショートショート 二時間

「君をこの二時間後、
二時間前に飛ばしてみせるからね」
と黒スーツの人に言われた僕は、
確かにその二時間後、
二時間前に飛ばされた。
時計は二時間前の時間になってるし、
間違いない。
僕は二時間後、二時間前に飛ばされたんだ。

正直なところ、
何を言ってるんだこの黒スーツは、
と怪しく思ってたんだけど、
見事その二時間後、
二時間前に飛ばされてしまったな。

とか思っていると、
「やぁ、言った通り

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ショートショート 束の間2

祠に清らかな水と、
なめらかなプリンをお供えしたのも束の間、
祠にイタズラ書きをしたいなと思った僕は、
とりあえず、
「バカ」
だの、
「アホ」
だのとイタズラ書きしてやった。

本来このようなことをしてはいけないのだろうけど、僕は今後、
このようなことを積み重ねて人間性というものを作り上げていきたい。

なので、
こういう行いはどんどんやっていく。
その中で、イタズラ行為がどんどんエスカレートし

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ショートショート 束の間1

育休をとったのも束の間、
なんの迷いもなく育児放棄をした僕は、
今現在、
仲間達と楽しく脱出ゲームをして遊んでいる。楽しすぎて、
「ギャハハ」
って感じだ。

はっきり言って
乳幼児のことなんかどうでもいい。
大切なのは、僕が楽しいか楽しくないかだ。
つまり、育児は楽しくない。
面倒臭い。
だから僕は、育児を放棄する。

ただ、それにより死なれても困るから、
あの乳幼児は山の奥に住む仙人にあげてき

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ショートショート 昔話

おい、ボケコラッ! ゴミ! ダスト! 
どうも二行目です。一行目がすいません。
あ、三行目です。僕の方からもすいません。
四行目です。一行目は無視していいですよ。
いやいや、一行目最高! 俺は大好き!
俺も別に嫌いじゃないな。いいぞ一行目。
前の二行、終わってんな。本当すいません。
ということで、次の行からスタートです。

昔々、
ある所とあの場所で、
そして、
不治の病に侵されたあの娘が好きなあ

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ショートショート 口裂け女

口裂け女の後を継ぐことになった私は、
現役の口裂け女さんから、
こういう時はこうした方が良いというような
レクチャーを受けていて、特に、
「私きれい?」
のとこなんかは厳しく指導された。

厳しすぎてちょっと不貞腐れたのだけど、
そういうところを
口裂け女さんは見逃さないので、
「オラッ!」
という声と共に、
私の腹を一発殴り、
「殺すぞ!」
と言ってくる。

そこで私は、とりあえずの、
「すいま

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駄悪文

どこかの誰かと愛と平和が
血と涙を流しながら、
生と死について清く正しく語り合っていた。

その一方では、
嘘と真と夢の狭間が
君と恋と空と大地について、
月を見ながら話し合っていた。

そのまた一方では、
僕と謎の何かが罪と罰を許せずにいて、
音と歌を楽しく公開処刑した。

と言ったそれぞれの夜が終わり、
朝と昼が始まる。

彼は金と世界を綺麗な花にして、
幸福と勇気を手にしたように見えたが、

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