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読書記録_本

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読書(漫画以外)の記録。 名前が覚えられないため、外国の本があまり読めない。まほろ市出身。 Instagramにも載せています。 https://www.instagram.co… もっと読む
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#本好きな人と繋がりたい

『延長戦に入りました』 奥田英朗

『延長戦に入りました』 奥田英朗

「レスリングのタイツはどうして乳首を隠さないのか」「スポーツにおける大きな顔の影響」「子供の頃の足の速さがその後の人格形成に及ぼすこと」などスポーツや運動に関するエッセイ。「面白いから」と友人に渡された。

小説家という人は普段こんなに面白いことやどうでもいいことを考えているのか、と「プププ」と吹き出しそうになりながら戦慄を覚える。奥田英朗さんは『空中ブランコ』を以前読んだことがあるくらいで、まだ

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『私がオバさんになったよ』 ジェーン・スー

『私がオバさんになったよ』 ジェーン・スー

森高千里は仮定法で『私がオバさんになっても』と歌ったけれど、『私がオバさんになったよ』は完了形で、なんなら誰かに向けた報告である。何、このざわざわするタイトル。39歳の私は、未婚で子供もいないし、弟も未婚なので姪っ子や甥っ子もいない。部下もいないし、相対的「年長者・オバさん」ポジションに入らないまま軽薄に時間をすごしてきた。今40になるのがめっちゃ怖い。20歳になるときも30歳になるときも「私、若

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『愛なき世界』 三浦しをん

『愛なき世界』 三浦しをん

道端のお花に「わぁかわいいわね」と心の中で語りかけるくらいには植物が好きだが、昔理科で習ったような気孔やメンデルの法則なんかに全然興味はない。でもそういうことまでひっくるめて植物にときめいて研究をしている人たちが集うT大松田研究室が今回の舞台。近所の美味しい古びた洋食屋さんの藤丸くんが出前のついでに、この世界に足を踏み入れる。

辞書や駅伝、文楽、林業、同人誌と、決して超メジャーではないけれど驚異

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『COCOON』 今日マチ子

『COCOON』 今日マチ子

神戸にある沖縄本の本屋さん「まめ書房」にて購入。(素敵なお店だった)ひめゆり学徒隊に着想を得て描かれたという思春期の女の子たちのお話。

今日マチ子さんの漫画を読むのは初めて。抒情的で思春期の女の子たちが丁寧に描かれている。でも、少女漫画には不得意なことがあるなあ、と思った。例えば、被弾してお腹からでてしまったはらわた。盗賊が跋扈していた時代のお坊さん漫画でも思ったけれど、少女漫画の世界で切った張

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『カフェノナマエ』川口葉子

『カフェノナマエ』川口葉子

もしも世界からカフェがなくなったら。多分私は病む。私は昼休みにお弁当を食べて、その後カフェに行くことを日課にしている。ずっと会社の中にいるのがいやだから。ちょっとでもいい、外に出たい。毎日数百円の出費だが、メンタルの健康のための必要経費である。お昼休みでなくても、がんばった後に、やっとやってきた金曜の朝に甘いラテで自分をねぎらうこともあるし、待ち合わせまで時間をつぶしたり、家では集中できない考え事

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『東京タラレバ娘 リターンズ』東村アキコ

『東京タラレバ娘 リターンズ』東村アキコ

はい、あのタラレバ娘から結婚する人が出ますよ~!さて誰でしょう?彼女は東京オリンピックまでに結婚できたんだな!

結婚式と、そこに集う元カレたちと、結婚式場で出会う担当者がやたらハンサムで恋の予感・・・、といった話でとても「マンガ的」。でもところどころに挟まれるエピソードがやたらリアル。(同窓会あるあるとか)そうか、漫画って現実離れしすぎても感情移入できないし、現実すぎてもつまらないのかも。

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『中国行きのスロウ・ボート』村上春樹

『中国行きのスロウ・ボート』村上春樹

村上春樹について書くなんて気がひける。だけどまぁ、がんばってみましょう。先日読んだ『注文の多い注文書(本99)』に村上春樹の短編『貧乏な叔母さんの話』が取り上げられているので、収録されているこの本を読んだ。

『1Q84』『騎士団長殺し(本20)』と新作が出て話題になるたびに「私はかつて村上春樹が読めなかった」と恐る恐る告白すると、「それわかる」「自分もそうだった」と返してくれる人がいてホッとする

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『きみの隣りで』 益田ミリ

『きみの隣りで』 益田ミリ

益田ミリさんはどれを読んでも「あたり」だよなあ。なんでこんなに言葉にしにくいような気持ちを、登場人物とシチュエーションで表すことができるんだろう。(ちなみに私は『僕の姉ちゃん』が好き。)

主人公は翻訳家の早川さん。森の近くに住んでいて、旦那さんと小学生の子供と住んでいる。子供と森でおやつを食べたり、時々独身時代の女友達が美味しい手土産を手に東京からやってきて話をしたり、大きな「優しい木」に思いを

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『声めぐり』齋藤陽道

『声めぐり』齋藤陽道

彼の文章を読むと「厚手のふわふわの、ピンクの毛布」を思い出す。毛足が長くて、ついスリスリしちゃいたくなるような毛布。そしてこれも思い出す。「柔突起(じゅうとっき)」。腸は栄養の吸収を高めるために、表面を多数のヒダにすることで表面積を増やす。何が言いたいかというと、「とてもなめらかで、情報量が多い」ということなんだけど。音が聞こえない夫婦の子育てについての『異なり記念日』(本79)に続き彼の本を読む

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『しびれる短歌』 東直子 穂村弘

『しびれる短歌』 東直子 穂村弘

しびれる短歌?どういうこと?読めばわかる。31文字の力。

最初の章のテーマは「恋」。

したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ
(岡崎裕美子)

「わーお、刺激的」くらいしか私は思い浮かばなかったが、そこに東さんと穂村さんの解説が入る。そんなに情景を読み取るのか。うわあ、それは相当だるい。

焼肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き
(俵万智)

「ひっ」として俵

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