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俳句 まとめ記事 一覧

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俳句作品のまとめの記事を集めています
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#ポエム

現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜

現代俳句 作品集 10 〜春を待つ〜


「 春を待つ 」
~現代俳句集〜

野のはてのけはい見つめて冬の鹿

飛立ってまた飛んでくる寒すずめ

早梅よ二階のまどのきょうあした

そしていまつむじ風吹く風邪の町

無心というこころ花咲く冬すみれ

たんものをひろげたように川よ雪

すなはまの松くろぐろとふゆの霧

マンションのいっ戸いっ戸が春隣

あしあとはバス停で消えけさの雪

発つ鳥よ日がさしこんで狩りの山



枝さきをぽたりぽ

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現代語俳句への旅 38 〜百年のこと〜

現代語俳句への旅 38 〜百年のこと〜


「 百年のこと 」
~現代語俳句集~

また一人あかるみに出て十五夜よ

手かざしてぬける改札きょうの月

ひとの世を知ってしみじみ名月よ

柿食べてにっぽんがあるむねの奥

秋すずめとんとんとんと跳ねて空

旅びとが吹きゆくかぎり草絮とぶ

とかいとはなんの栄華ぞ銀杏ちる

船に風まったくもってさわやかよ

はるかさよ飛鳥寺まであきのそら

じぶんへのいのりしすかに星月夜



なが生きの幸

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現代語俳句への旅 36 〜天球儀〜

現代語俳句への旅 36 〜天球儀〜


「 天球儀 」
~現代語俳句集~

これ以上踏みいらず山ほととぎす

目つむってしずかな光ひぐらしよ

はるばると呼びあうことよ秋風鈴

あれからのこれからの鐘へいわ祭

年々よ身にしみてくるへいわの鐘

たましいが呼びあってこそ迎え盆

せんそうもえきびょうも越え盆踊

鳥わたる見えるかぎりの山河越え

京よりも奈良のふかさよあきの色

星あかりたたずむ橋の名もしらず

かがやいていのちの故郷

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現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜

現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜


「 いつからとなく 」
~現代語俳句集~

みな都市を育ててばかり夏の灯よ

まどあけてまっただなかへ天の河

柔らかにふれればともる夏の灯よ

盛りつける手ゆびやわらか冷素麺

おとこらに飲みほすちから生麦酒

ふるさととほろぶかくごの白団扇

遠ぞらよわすれた日々は蝉しぐれ

嶺いつかながし去るのが梅雨の河

ぜんいんの人生が夏ロックフェス

えいえんに明日あるような夏浜よ



とびうお

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現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜

現代語俳句への旅 32 ~おなじ時代を〜


「 おなじ時代を 」
~現代語俳句集~

都市のゆたかさ村のゆたかさ夏祭

ひとびとがうつくしいのは祭の夜

はるかさよいまじんせいの夕涼み

生きてふとたどりつくのが冷や奴

那智の滝天地のものということか

草笛よあしたへつづくじんるい史

飛びたっておもたい尻のこがね虫

ハンモックわかる地球の大きさが

ハンモック歳月というわすれもの

ダイバーとひとつになった海は夏

カクテルに沈んだ

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現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~

現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~


「 寝静まるころ 」
~現代語俳句集~

えいえんにときがとまった故宮春

淋しさの行きつくところ奈良よ春

野にふたりだまっていても風薫る

富士の山すえひろがりの涼しさよ

にっぽんよとおくしずかな夏の音

ぼんやりとちきゅうを思う水中花

ハブラシがまだいっぽんの恋よ夏

あたらしい鼻歌がでてシャワー後

扇風機羽根うしなったげんだいよ

生涯に別れがいくつかき氷

咲くいえにやがて婚ある

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現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~

現代語俳句への旅 30 ~故郷ほたる籠~


「故郷ほたる籠」
~現代語俳句集~

桃いちりん鳶舞う空に晴ればれと

ゆく川のさいごはひかりはるの海

藤垂れてむらさきのそらしろい空

せんねんのなかのことしの白藤よ

くっきりと富士がみえた日四月尽

かたらうかコーヒー店で尽きる春

はるがらがらごっとん自動販売機

飛ぶひかりふたつでひとつ蝶の恋

たんぽぽが現代らしく咲く日なた

老画家にえがくしあわせひとり静

八十八夜こころに故郷

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現代語俳句への旅 29 ~そだった家~

現代語俳句への旅 29 ~そだった家~


「そだった家」
~現代語俳句集~

千ねんよ泣いてわらってはるの月

地球から借りたからだで野に遊ぶ

そのはてにわらいがでたか卒業生

たんぽぽとともに時代を吹く人よ

雲雀野よつなぐ右手とひだり手と

書きものよいずれはしまう春炬燵

ねこの子と鏡のなかのねこの子と

遍路杖日々はやいことはやいこと

ときをこえ生きている人はるの墓

雨おとよはるの地球の子もりうた



蝶として羽ばたい

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現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜

現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜


「オカリナ」
~現代語俳句集~

深空からひかりひとすじはるの滝

じんるいのゆめの初めの畑打ちよ

祈るとはこういうことかぼたん雪

コーヒーのかおり千年おぼろの夜

春あかつき逢瀬は夢でげんじつで

われわれもたいようの塔春めくよ

大ホールピアノひとつが春のおと

指揮棒もはずむオーケストラよ春

ふるさとを深呼吸してうららかよ

また一人またひとり消え春の風邪

いちにちの沈黙エープリル

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現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~

現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~


「 はじめての風 」
~現代語俳句集~

立ちあがるひと湯柱かはるの風呂

春の雨流行りやまいをしずめるか

傘にあめ春のにおいのゆたかさよ

男らがあおぐお日さま野にあそぶ

春星よかなしいものはじんるい史

はるぞらのしたがふる里そして墓

原子力はつでん所ごとかげろうか

今日までのさいげつのおと草笛よ

顔上げていのちかんじている春よ

草の芽よ大地はおまえたちのもの

植えた木もおおき

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現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜

現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜


「 地球ごと 」
~現代語俳句集~

何もかもあたらしい朝うぐいすよ

日だまりに木のたましいか梅の花

この家にもあるものがたり飾り雛

飾り雛流行りやまいもなんのその

わらうときみないちぞくよ雛の宴

酒酌んで過去もみらいも春のゆめ

ひなの宴かたらうによい月が出て

耕人よおおむかしからそらのした

豊じょうのゆめひとにぎり春の土

耕人にかわりつづける世のなかよ



いなかから来た

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現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~

現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~


「 春あかつき 」
~現代語俳句集~

むこうに富士むこうに筑波草の餅

はるのあめ大阪に来てみたものの

一つ一つちいさな地球木の芽吹く

昔とはまぶしむものよねこやなぎ

きたぐによ木の芽はひとつずつ光

そらんじて一句のなかのはるの旅

ロケットが飛びたった空まさに春

居ながらにはるかな隠岐よ春夕焼

はるの月絵本にゆめがあるかぎり



のぼるまで富士ははるかか春夕焼

たからづか歌

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現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~

現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~


「 春の足おと」
~現代語俳句集~

ひとすじのひこうきぐもよ大枯野

大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ

ボイジャーは今どのあたり冬銀河

ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ

世の中にすこしおくれて焼き芋屋

飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋

あるくたびとおざかるのが一月よ

とおい島寒ゆうやけとともに消え

家じゅうのこともろともに寄鍋よ

プロキオンカペラシリウス庭焚火



霜ばしらはるば

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現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜

現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜


「 白鳥座 」
~現代語俳句集~

しんねんをおおきくひらく朝刊よ

かがみ餅さかのぼること神代まで

初富士と一つになったこころこそ

初みくじ大ひだまりのなかにいま

つながっているのはこころ初電話

パスポートひとりのこらず初空へ

しずかさのはてのしずけさ三が日

去年今年へだてて暖簾いちまいよ

たき火して変らないもの変るもの

ホットティー戦争へいわそして今



ロボットがひょこ

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