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俳句 まとめ記事 一覧

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俳句作品のまとめの記事を集めています
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#note俳句部

現代語俳句への旅 42 〜明らかに鶴〜

現代語俳句への旅 42 〜明らかに鶴〜


「 明らかに鶴 」
~現代語俳句集~

平和通りいまは静かに木の葉降れ

恋二人セーターに陽があたるまで

あるときは嶺々あるときは冬光よ

コート着て都会は都会富士は富士

さいごにはゆう焼けてこそ十一月

奈良じゅうに耳をすまして冬の空

木枯らしのあちらこちらで疫病か

だれも行くマスクの白を盾として

能登がただ散っているだけ冬怒涛

あかるさよはるかに滅ぶふゆの星



おおさかのこ

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現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜

現代語俳句への旅 40 〜テント出て〜


「 テント出て 」
~現代語俳句集~

笛吹いて天にとどくかあきまつり

ふるさとはきえのこる灯よ秋の雨

あかるさよ京都しずかに紅葉して

絵を描いてつぎの秋またつぎの秋

ひととして暮れのこったか秋遍路

すみだ川みずのひかりの朝寒むか

既視感のなかにたたずみ赤とんぼ

生きてこそかずかぎりない草の花

とうきょうもひと粒の灯よ星月夜

国じゅうがこころやすめよ十三夜



ふるさとか一

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現代語俳句への旅 38 〜百年のこと〜

現代語俳句への旅 38 〜百年のこと〜


「 百年のこと 」
~現代語俳句集~

また一人あかるみに出て十五夜よ

手かざしてぬける改札きょうの月

ひとの世を知ってしみじみ名月よ

柿食べてにっぽんがあるむねの奥

秋すずめとんとんとんと跳ねて空

旅びとが吹きゆくかぎり草絮とぶ

とかいとはなんの栄華ぞ銀杏ちる

船に風まったくもってさわやかよ

はるかさよ飛鳥寺まであきのそら

じぶんへのいのりしすかに星月夜



なが生きの幸

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現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜

現代語俳句への旅 37 〜西へ東へ〜


「 西へ東へ 」
~現代語俳句集~

スカイツリーさえ大自然鳥わたる

そのままで富士そのままで秋夕映

あしおとも熊野の音かほととぎす

ほんもののひびきか奈良の秋の鐘

にわ石よしずかながらも秋のこえ

見ても歌聴いてもうたよもみじ川

琵琶湖からとおい都市まで水の秋

たくさんの船たくさんの秋の暮れ

隠岐の島いついつまでも秋夕映え

千ねんは生きていられず草絮吹く

住む街が問いかけてく

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現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜

現代語俳句への旅 35 〜かえってこない雲〜


「 かえってこない雲 」
~現代語俳句集~

しずかさをひびかせている風鈴よ

この世から消えてもきえず京の虹

いまの世の後ろすがたよ奈良団扇

目をつむっても瑠璃光寺蝉しぐれ

人として梅雨のなかゆく熊野古道

草笛は吹いてこそ野は晴れてこそ

富士の嶺はるかにひいてゆく汗よ

故郷までつらなって山ほととぎす

そのはてに都市いくつもよ夏の河

平およぎ海をひらいてゆくことよ

夜釣りして月

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現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~

現代語俳句への旅 31 ~寝静まるころ~


「 寝静まるころ 」
~現代語俳句集~

えいえんにときがとまった故宮春

淋しさの行きつくところ奈良よ春

野にふたりだまっていても風薫る

富士の山すえひろがりの涼しさよ

にっぽんよとおくしずかな夏の音

ぼんやりとちきゅうを思う水中花

ハブラシがまだいっぽんの恋よ夏

あたらしい鼻歌がでてシャワー後

扇風機羽根うしなったげんだいよ

生涯に別れがいくつかき氷

咲くいえにやがて婚ある

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現代語俳句への旅 29 ~そだった家~

現代語俳句への旅 29 ~そだった家~


「そだった家」
~現代語俳句集~

千ねんよ泣いてわらってはるの月

地球から借りたからだで野に遊ぶ

そのはてにわらいがでたか卒業生

たんぽぽとともに時代を吹く人よ

雲雀野よつなぐ右手とひだり手と

書きものよいずれはしまう春炬燵

ねこの子と鏡のなかのねこの子と

遍路杖日々はやいことはやいこと

ときをこえ生きている人はるの墓

雨おとよはるの地球の子もりうた



蝶として羽ばたい

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現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~

現代語俳句への旅 27 ~はじめての風~


「 はじめての風 」
~現代語俳句集~

立ちあがるひと湯柱かはるの風呂

春の雨流行りやまいをしずめるか

傘にあめ春のにおいのゆたかさよ

男らがあおぐお日さま野にあそぶ

春星よかなしいものはじんるい史

はるぞらのしたがふる里そして墓

原子力はつでん所ごとかげろうか

今日までのさいげつのおと草笛よ

顔上げていのちかんじている春よ

草の芽よ大地はおまえたちのもの

植えた木もおおき

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現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜

現代語俳句への旅 26 ~地球ごと〜


「 地球ごと 」
~現代語俳句集~

何もかもあたらしい朝うぐいすよ

日だまりに木のたましいか梅の花

この家にもあるものがたり飾り雛

飾り雛流行りやまいもなんのその

わらうときみないちぞくよ雛の宴

酒酌んで過去もみらいも春のゆめ

ひなの宴かたらうによい月が出て

耕人よおおむかしからそらのした

豊じょうのゆめひとにぎり春の土

耕人にかわりつづける世のなかよ



いなかから来た

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現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~

現代語俳句への旅 24 ~春あかつき~


「 春あかつき 」
~現代語俳句集~

むこうに富士むこうに筑波草の餅

はるのあめ大阪に来てみたものの

一つ一つちいさな地球木の芽吹く

昔とはまぶしむものよねこやなぎ

きたぐによ木の芽はひとつずつ光

そらんじて一句のなかのはるの旅

ロケットが飛びたった空まさに春

居ながらにはるかな隠岐よ春夕焼

はるの月絵本にゆめがあるかぎり



のぼるまで富士ははるかか春夕焼

たからづか歌

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現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~

現代語俳句への旅 22 ~春の足おと~


「 春の足おと」
~現代語俳句集~

ひとすじのひこうきぐもよ大枯野

大うちゅうの小さな家の日脚伸ぶ

ボイジャーは今どのあたり冬銀河

ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ

世の中にすこしおくれて焼き芋屋

飛行機がとんでいったぞ焼き芋屋

あるくたびとおざかるのが一月よ

とおい島寒ゆうやけとともに消え

家じゅうのこともろともに寄鍋よ

プロキオンカペラシリウス庭焚火



霜ばしらはるば

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現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜

現代語俳句への旅 21 ~白鳥座〜


「 白鳥座 」
~現代語俳句集~

しんねんをおおきくひらく朝刊よ

かがみ餅さかのぼること神代まで

初富士と一つになったこころこそ

初みくじ大ひだまりのなかにいま

つながっているのはこころ初電話

パスポートひとりのこらず初空へ

しずかさのはてのしずけさ三が日

去年今年へだてて暖簾いちまいよ

たき火して変らないもの変るもの

ホットティー戦争へいわそして今



ロボットがひょこ

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現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~

現代語俳句への旅 20 ~こころは天に~


「こころは天に」
~現代語俳句集~

あじさいが咲けばさくほど鎌倉よ

ひろい空秋になったということか

一人とは聖なることかクリスマス

いのる手はちいさな平和聖夜の鐘

おこってはほろびゆく国聖夜の鐘

クリスマスツリーは光こころせよ

人びとにときどき花屋クリスマス

談笑のいっぽんみちを柚子湯まで

旅で来て綺麗なことよこの世の雪

愚痴もでて熱燗にするころあいよ

一つたべてまるごとあ

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現代語俳句への旅 19

現代語俳句への旅 19


「大日向ぼこ」
~現代語俳句集~

ちんもくが初雪になるふるさとよ

コンビニの一灯ふゆにまむかうか

人びとはとどまりもせず行く年よ

さいげつをみおくることが落葉焚

賀状書くおもいは遠嶺こえてこそ

おでん酒自分が見えてくることよ

一家してわらったはての古ごよみ

忘年会なんだかんだで生きてこそ

駄菓子屋がふっとなくなる年末よ

どっしりとなるようになる年末よ

おおいなる安心のなかと

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