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現代語俳句への旅 19


「大日向ぼこ」
~現代語俳句集~

ちんもくが初雪になるふるさとよ

コンビニの一灯ふゆにまむかうか

人びとはとどまりもせず行く年よ

さいげつをみおくることが落葉焚

賀状書くおもいは遠嶺こえてこそ

おでん酒自分が見えてくることよ

一家してわらったはての古ごよみ

忘年会なんだかんだで生きてこそ

駄菓子屋がふっとなくなる年末よ

どっしりとなるようになる年末よ

おおいなる安心のなかとしの暮れ

富士のあとにほんの子らに初雪よ

大ぞらというちんもくが降る雪よ

ふるさとをこばみつづけて初雪か

浮寝鳥居るともしれず居ることよ

江戸明治写真のなかのふところ手

アメリカがひとすじ冬の飛行機雲

白息がひろがってゆくおおぞらよ

そのうえを舞うはとんびか落葉焚

いちりんの冬のすみれの一途こそ

町じゅうがおおひなたぼこ鎌倉よ



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