現代語俳句への旅 19
「大日向ぼこ」
~現代語俳句集~
ちんもくが初雪になるふるさとよ
コンビニの一灯ふゆにまむかうか
人びとはとどまりもせず行く年よ
さいげつをみおくることが落葉焚
賀状書くおもいは遠嶺こえてこそ
おでん酒自分が見えてくることよ
一家してわらったはての古ごよみ
忘年会なんだかんだで生きてこそ
駄菓子屋がふっとなくなる年末よ
どっしりとなるようになる年末よ
おおいなる安心のなかとしの暮れ
◇
富士のあとにほんの子らに初雪よ
大ぞらというちんもくが降る雪よ
ふるさとをこばみつづけて初雪か
浮寝鳥居るともしれず居ることよ
江戸明治写真のなかのふところ手
アメリカがひとすじ冬の飛行機雲
白息がひろがってゆくおおぞらよ
そのうえを舞うはとんびか落葉焚
いちりんの冬のすみれの一途こそ
町じゅうがおおひなたぼこ鎌倉よ
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